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 Space Trans Story Page 4:分裂星

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 私達が星の皆に見送られ、変身星……いや、ルナ星を出発してから1日経ちました。
「うぅっ……もう私、やだ……」
 ルナちゃんは昨日からずっとへこんでいます。
「ルナどうした、輝月の件がそんなに恥ずかしかったのか?」
「違うの……おいしいケーキが食べられない宇宙旅行だなんて……」
「ひぃっ!?」
「ツキちゃん落ち着いて! ツキちゃんはもう戻ってるから大丈夫……」
「そ、そうだよね……ガクガク……」
「まだケーキを引きずってるのか。きっと何処かの星で食べられるだろ」
「だってー……あんなにおいしそうだったのに」
「や、止めて……あたしを食べないでぇ!」
「ツキちゃん、大丈夫だから……」
 変身星での一件以来、ツキちゃんは「ケーキ」と言う言葉に過剰反応を示すようになって。
 あはは……相当食べられるのが怖くて、トラウマになっちゃったのかな……。
「ケーキ食べたい、ケーキ食べたい……」
「ガクガク……ブルブル……」
「この2人、大丈夫だろうか……」
 私もソラさんと同じ事を思っていました……。

「よし、じゃあ次の目的地だが……」
「お兄ちゃん、あの星何だかケーキみたい!」
 ルナちゃんが宇宙船内の窓から見えた星を指差しました。
「わー、確かに何だかケーキみたいな色だねー」
「生クリームの下地にいちごとフルーツが乗ってるみたいで……あの星おいしそー」
「わー、もう止めてってばぁ……」
「ま、まあ次の目的地はあの星だから……降りるけどな」
「え、本当!? わーいわーいケーキあるかなー!?」
 どうやら次の目的地は、見た目がケーキみたいな色をしている星のようです。
 あれ、そういえばソラさんからまだこの星について聞いてないけど……。
 きっとルナちゃんがはしゃいで説明を忘れちゃったのかな?

 うん、ケーキみたいな星だしきっと危ない物は無いよね?

「よし、到着だ」
「わーいわーいいい匂いー、ここはケーキ星なのかなー」
「いや、この星はだな」
「お兄ちゃん早く行こー、外からいい匂いがするよー」
「あ、こら待てルナ! 待てってば!」
 ルナちゃんは勢い良く、宇宙船から外へ飛び出して行きました。
「くっ、間に合わなかったか……ルナのケーキ騒ぎで説明をしそびれた。先に言っておくべきだった……」
 この星にも……何かしらあるのかな?
「まあルナは仕方ない、せめて輝月とツキちゃんにはバリアを張っておこう」
「あ、お願いします」
「お願いしまーす」
 ソラさんは私達に手を開いて集中を始め、私達に超能力を掛けました。
「よし、これで大丈夫だ。じゃあ外へ行くぞ」
「ソラさんの力なら安心できますよねー」
「うん、ルナちゃんには悪いけど昨日は……散々だったものね;」
「もう忘れたい……」
 私達はルナちゃんを追って外へと出ました。
「ねえねえお兄ちゃーん」
「あっちからケーキの匂いがするよー」
「あれ、ルナちゃんの声が左右から聞こえる気が……」
「と言うかこれ、ルナちゃんが2人居るよね?」
「はあ、やはり遅かったか……ルナ、勝手に外に出るからだ」
「だってケーキの匂いがしたんだもーん」
「そうだよねールナちゃーん」
「ねえソラさん、これって一体」
「どういう事なの?」
「この星は分裂星だ。どうやらエムピ星の超能力と似た力が出ているようだから、俺の超能力でバリアを張れば分裂を防げたのだが……」
「分裂星……どおりで」
「しかも2人のルナちゃんのうち、1人は何だか男の子っぽい?」
「この星の分裂の力はエムピ星の超能力に近い。つまり男性的な精神力が混ざっているようだな。だから分裂すると片方が男として出てくるようだ」
「それで男の子のルナちゃんが……」
「ねえねえお兄ちゃーん」
「早くケーキ食べに行こうよー」
「何だか元々の双子みたい……」
「性別以外はほとんど本人と違いが無いからな」
「わー、何だか賑やかになりそうだね……」
 ルナちゃんは何事も無かったかのように、分裂状態に馴染んでしまっていました。
 それにしてももう1人のルナちゃんは男の子だ、と言ってたけれど……。
「ねえ、男の子の方のルナちゃん」
「うん、なーに、輝月ちゃん」
「男の子なのにルナちゃんと全く同じ格好なんだね?」
「うん、だって私はルナちゃんから分裂したからねー。男の娘のルナだよー」
「お、男の娘のルナちゃんなんだ……」
「元のルナより胸が無いのと、下半身にきっと付いてるアレ……が違う以外は、きっと大差無いのだろうな」
「そういう事ー、皆宜しくね!」
「わールナちゃん男の娘だったんだー、どおりでかわいい訳だね!」
「当たり前でしょー、だって元がルナちゃんだもーん」
「な、何だか凄いね……」
「う、うん、ルナちゃんが1人増えただけなのに……」
「本当に騒がしくなりそうだな……まあ仕方ない。行くぞ」
「「行くってケーキ屋にー!?」」
「違う、欠片探しだ……」
「えー、ケーキ屋行こうよー! いい匂いもするしあるんでしょー?」
「そうだよそうだよ! 妹の言う事聞かないと私に嫌われちゃうよー?」
「ああもううるさい……分かった、分かったから。寄るから黙れ」
「「わーいやったー! さっすが私のお兄ちゃん!」」
「あはははは……」
「ケーキ、怖い……」
 こうしてまずはケーキ屋へ寄る事になりました。

 街を歩いていると沢山のケーキ屋さんがあります。
「この星ってケーキ屋が多いみたいだね?」
「分裂星でのケーキ生産量は宇宙一なんだ」
「へぇー、どおりで凄い訳だ」
「色々な星から誕生日やお祝い用の注文が殺到してて、ケーキを宇宙船で届けたりしているんだ。そしてこの星では対応しきれなくなり、分裂の技術を生み出した」
「へー、そうなんだ。ケーキを分裂させて数を増やしているのかな?」
「そんなところだな。しかしこの星の力はエムピ星のような力を感じるし、恐らく……」
「きっと誰かが願って、エムピ星の人が願いを叶えて分裂技術ができたのかもね」
「そういう事だな」
「そういえばエムピ星の超能力者達は、密かに願いを叶える事を請け負ってるって言ってましたよね」
「うむ、そうだ。それだから恐らく俺の星の住人が、強力な力でこの星の願いを叶えたのかもしれない」
「なるほど……あれ、そういえばルナちゃん達は?」
 いつの間にか2人のルナちゃん達が見当たりません。
「お兄ちゃん達ー」
「早くおいでよーーー」
「早っ! もうお店でケーキ食べてるよ……」
「ル、ルナちゃん達……凄まじい」
「あいつのケーキへの執着心は凄いからな……」
 私達はルナちゃん達に呼ばれて、ケーキ屋さんのお店へ入って一休みです。

 店内でケーキを食べていると……私は少し気になる事がありました。
「ねえ、何だかお客さんも双子みたいな人達が多いね?」
「うむ、双子以外の人はきっと、分裂しないようにバリアでも受け続けているのかもな」
「皆分裂して双子になっちゃった星の住人なのかなー」
「でもお客さんを見てると、女の子同士の双子が居ないよね。男の子と女の子か、男の子同士みたいで」
「それはさっき言った通り、男性的な力が混ざっている影響だな。元が女の子だったらルナ達みたいになるが、最初から男だけなら分裂で男の自分自身が増えるだけだ」
「なるほど、良く分かりました」
 男性的な力が混ざっている為、分裂元からは男の子の自分しか出てこないようです。
「あ、ソラさん。それならばもし……今の私がバリアを消して、分裂すれば……」
「ああ、男としての輝月が出てくるな」
「じゃあそれだったら私、もう欠片を集めなくても」
「でもそれは輝月であって輝月自身ではない。言ってる意味、分かるか?」
 私が分裂すれば男の子の私が出てくる。
 でも男の子の私が居たって、女の子としての私自身がここに居る。
 男の子のかずきが居るけれど、私自身は女の子の輝月のままで……。

 それはつまり、自分自身だけれど自分自身ではない……?

「何となく分かります……そうですよね」
「だから輝月が分裂して男の子を出しても意味が無い。欠片は集めないとな」
「まだまだ迷惑掛けそうですが……宜しくお願いします」
「何、いいって事さ。地球人の輝月とこうして出会ったのも、きっと何かの縁だろう」
「そうかもしれないですね。それよりツキちゃん、ケーキ食べないの?」
「あ、あたしは……ちょっと」
「ツキちゃんもケーキ好きだったろ? よっぽどトラウマか?」
「な、何だか共食いに思えてしまって……」
「よっぽど重症だね……」
 ツキちゃんは変身星での一件で、よっぽど重症みたいです……。
「ツーキちゃん、ほらーケーキ沢山だよーどんどん食べてー」
「わ、男の娘のルナちゃん!?」
 男の娘のルナちゃんが、山のようなケーキをツキちゃんの目の前に。
「だ、だからあたしは……」
「もーうせっかくのケーキだからきちんと食べるのー!」
「むぐっ、んぐ、んぐっ……!」
 ルナちゃんが無理やりツキちゃんの口にケーキを押し込んで……。
「おいしーい! もぐもぐ。幸せー」
「何だかこう見てると同じルナちゃんでも……」
「ふむ。同じに見えてもやはり微妙に違うようだな」
「男の娘のルナちゃんは少し豪快で気が強い感じ?」
「げほっげほっ、ちょ、ちょっと2人共のんきに観察してないで……助けて」
「ほーらもっともっとー。食べろ食べろーあははははー」
「むぐっ! んぐ! んぐっ……!」
「わー、私って男の子だったらこんな感じだったのかなー」
 女の子のルナちゃんは幸せそうにケーキを食べながら、ツキちゃんを気にもせず男の娘ルナちゃんを観察しています。
「何かツキちゃんの扱いが段々散々に……;」
「仕方ない、1人くらいはきっとこういう役回りになるものだ……」
「何だかメタ的ですね……;」
「ほーれほれほれー、もっと沢山だからねー!」
 ケーキ屋さんで私達は……何だかとってもカオスな事になっていました。

「「ふーお腹いっぱいー!」」
「凄まじかったね……」
「ルナ、お前そんなに食べて太るぞ……」
「私男の娘だから気にしないもーん」
「やだ、ダイエットしないと……」
「こういう所では反応も分かれるみたいだね」
「そうみたいだな……って、ツキちゃん大丈夫か?」
「うぅぅぅぅーーーケーキ怖いケーキ怖いケーキ怖い……」
 ツキちゃんは精根が尽き果て、まるで口から言葉を垂れ流しにしているようでした……。
 ケーキにされて食べられそうになって、更にトラウマで共食いに見えて、なのに無理やり沢山押し込まれて……。
「あははははー……」
 ツキちゃんがかわいそうだったけど……何だかもう、苦笑いするしかありませんでした。
「お兄ちゃーん」
「輝月ちゃんの欠片は見つかりそー?」
「今、探っているのだが……思いの他、昨日力を使い過ぎたようだ」
「ソラさん、力が足りないの?」
「1日じゃ回復しきらなかったようだな……」
「お兄ちゃん昨日ね、パンツになって飛ばされちゃった輝月ちゃんを捜すのに必死だったから……」
「あ、それで……何かごめんなさい」
「いいんだ、輝月は悪くない。それにさっきバリアを張るにも力を使ったからな」
「うーん、じゃあまたゆりゆり星みたいに近場から総当たりかな?」
「何かいい方法でもあれば良いのだが」
「うぅーーーケーキ怖いー……」
「ツーキちゃん、大丈夫ー?」
「誰のせいだと思って……」
「ほらールナちゃーん、協力してよー」
「あ、はーい。いい方法、そうねー」
「ケーキ怖いケーキ怖い……」
「ツキちゃんは……うん、ダメそうね;」
「そうだね、大分参ってるみたい……」
「まあ仕方ないな……」

「くんくん、ねえねえー何かいい匂いしないー?」
「え、何の匂い?」
「この匂いはきっと……わーいパフェの匂いだー」
「あ、ルナちゃん待ってー!」
 男の娘のルナちゃんはおいしいパフェの匂いを嗅ぎ付けたようで、猛スピードで行ってしまいました。
 女の子のルナちゃんは追い掛けようとしたけれど……。
「もう見えなくなっちゃった……うーん、ほのかに香るけど、そんなに匂い強いかな?」
「きっと男のルナは、若干元のルナより嗅覚がいいのかもな?」
「そうなのかなー?」
「男の子の方が何かと身体能力が強い場合もあるかもね?」
「うむ、そうだな。それより男のルナを追い掛けるぞ」
「もう見えなくなっちゃったけど、そのうち戻って来るんじゃないかな?」
「戻ってくればいいが……2人揃ってないと、元の1人に戻る事ができないぞ」
「え、そうなんだー。でも私、2人のままでもいいかなーって思ってたけど」
「ルナ、そういう訳にも行かないんだ」
「え、何で? お兄ちゃん」
 ルナちゃんはどうやら2人のままでいい、と思っていたみたい。
 でもソラさんはそれをダメだと言って……。
「この星にずっと居るならば、星の力を受けられるから2人のままでもいい。でも俺らはこれから地球へ向かうんだ」
「星の力を受けてないと、何かまずいの?」
「力の影響が消えて、分裂したルナが普通に消えるだけならいいが……しかしルナ自身にどんな影響が出るか分からない」
「どういう事なの?」
「いずれ1人になるからどっちか消える事になるが……必ずしも消えるのは、男のルナとは限らないぞ」
「え、つまりそれって……今まで一緒だった、このルナちゃんが消えちゃう可能性も!?」
「そうだな。男のルナが元々居たルナだった、と言う事になるかもしれない」
「そんな……じゃあ私はどうすればいいの?」
「元に戻る時、男のルナを1人に戻すと納得させられればいいが」
「なるほど、納得させられればいいのね?」
「うむ、そういう事だ。とりあえず男のルナを見つけないと」
「場合によっては私が消えるかもしれない……何だかそれ、怖いな」
「大丈夫、男のルナだって同じルナ自身だろ? きっと分かってくれるさ」
「……うん。そうだよね、お兄ちゃん」
 大丈夫だよね、女の子のルナちゃんは……消えないよね?
 とりあえずまずは男の娘のルナちゃんを捜さないと。

「……そうだったんだ。とんでもない事を聞いちゃったなぁ」
 先に行ってしまった男の娘のルナちゃんは、皆が心配で実は近くまで戻って来ていて……。
 何だか話をしていたので、物陰に隠れてこのお話を聞いてしまっていたのです。
 もちろん男の娘のルナちゃんが聞いていた事は、本人以外誰も知りません……。

「うーん、パフェのあるお店はそれなりにあるけど……ルナちゃん見当たらない」
「男とは言えルナ自身だ。特に好みのパフェとか、心当たりないか?」
「分かんない……私、恐らくどれも好きだから」
「ルナちゃんは何だか、本当に女の子って感じだね」
「だってパフェ大好きなんだもーん」
「うん、パフェならあたしだって」
「ツキちゃん、今度はパフェにでもなってみる? おいしく食べてあげるよ」
「ルナちゃーん、何であたしばかりいじめるのぉ……」
「強いて言えば、ゆりゆり星の恨み?」
「うえーん、この子まだ根に持ってるよぉー……」
 あはははは……大丈夫かな、この2人;
「おいおいルナ、そのくらいにしといてやれ……」
「はーいお兄ちゃん、ごめんなさーい」
「もう本当に勘弁してよね……」
「あ、お兄ちゃん……」
「どうした、ルナ」
「私、おトイレ行きたい」
「ああそうか、じゃあ何処か適当に近くのお店で借りてきな」
「はーいお兄ちゃん」
「あ、じゃああたしも……行きたいけど、やっぱり後でいい……」
「ツキちゃん、我慢は良くないぞ?」
「またルナちゃんにからかわれそうで、一緒に行くのやだ……」
「ルナのせいだぞ、ツキにもう1度謝っとけ」
「うーっ、ごめんなさーい……」
「う、うん、もういいよ……」
「じゃあツキちゃん、一緒に行こ?」
「で、でもやっぱり後でいいよ……」
「ぶー、ツキちゃんまだ怒ってるのー? いいよいいよ、私1人で行くからね、ぷんぷん」
 ルナちゃんは何だか顔をぷくっとさせて、1人で行ってしまいました。
 ルナちゃん、何だかかわいいなぁ……。
「もうルナちゃんは許したいんだけど、どうしてもトラウマがね……」
「ツキちゃん、大丈夫だよ。私達が一緒に居るからね」

「すみませーん、おトイレ借りまーす」
「どうぞー」
 ルナちゃんは適当なお店へ入って、おトイレへ入ります。
『ガチャ』
「あれ、ルナちゃん? こんな所に居たんだー」
「やあルナちゃん、会いたかったよー。えへへ!」
「うん、私もー。あれ、ルナちゃんいつの間にか胸が同じくらいあるね?」
「あ、ちょっとねー。胸パッド入れて同じ風にしてみたんだよー」
「へぇーそうなんだー。ならばお揃いだねー!」
「ねえ、ルナちゃん」
「んー、なーにー?」
「……ごめんねっ!」
「え、ルナちゃん……!?」

 しばらくするとルナちゃんが戻って来ました。
「輝月ちゃん達ー、お待たせー」
「あ、ルナちゃんが戻って来た」
「うぅ……もういじめないで……」
「えーツキちゃん、そんな事しないよー」
「さてルナも戻って来たし、男のルナを捜そう」
 私達は男の娘のルナちゃんを捜し続けました。
 しかし街中を探索しても……ルナちゃんが見つかる気配はありません。
「ねえソラさん」
「ん、何だ?」
「少し時間が経ったし、精神力もある程度回復したんじゃないかな?」
「む、そうだな。もしかしたら男のルナを捜すくらいはできるかもな」
「じゃあソラさんの超能力で、男の娘のルナちゃんを」
「ま、待って! お兄ちゃん」
「ん、ルナ。どうした?」
「超能力で男の私を捜すのは止めとこ!?」
「え、でもルナちゃんが2人居ないとルナちゃんが消えちゃうかもだし、困っちゃうよね?」
「うん、そうよ。早くもう1人のルナちゃんを捜さないと」
「そうだな、それじゃあ早速」
「違うの! えっとえっと……精神力を残しておいた方がいいと思って!」
「力を残しておくの?」
「うん、私達は輝月ちゃんの欠片を探しに来たのよ? 欠片探しに力を使った方がいいなって。それに男のルナちゃんは、きっとそのうち戻って来るよ!」
「まあ……それもそうだな。欠片を探す為に精神力の回復を伸ばして、それで探しちゃった方が賢明かもしれないな」
「うんうん、男のルナはきっと戻って来るってー。だから大丈夫だよー」
「うん、そうだねルナちゃん」
「う、うん……?」
 何だか私には……ルナちゃんが焦っているように見えました。
 言っている事は普通なのに、ルナちゃんは何でこんなに焦っていたのかな?

 辺りが段々と薄暗くなってきて……夕方になった頃。
「地球じゃないのに、この星もちゃんと暗くなるんですね」
「星が光を反射したりして、太陽的な役割を持っている星があるからな」
「それにしても、欠片もルナちゃんも見つからないねー……」
「うん、そうだね。ねえねえそれよりお腹空かなーい? そろそろお夕飯を」
「でもまだ欠片も男のルナも見つかってないぞ」
「せめてもう1人のルナちゃん見つけてから、一緒にご飯にしよ?」
「えー大丈夫だよー。きっと何処かで何か食べてるんじゃない?」
「うーん、そうかなぁ……?」
 何だかルナちゃんの言葉に対して……私はいまいち腑に落ちない感じでした。
「あ、あのファミレスなんておいしそうだよー。ねえ行こ行こー」
「わ、ちょっと、ルナ!」
 ルナちゃんはソラさんの腕を強引に引っ張って……店内へ入ってしまいました。
「ねえ輝月ちゃん。何だかルナちゃん、やけに豪快だよね」
「うん、そんな感じがする……」
「とりあえずあたし達も追い掛けよっか」
「うん……行こっか」
 私達もルナちゃんを追い掛けて、ファミレス内へ入りました。

「私、ハンバーグ食べたーい。あと食後のパフェもー」
「ルナちゃん、本当に甘い物が大好きだよね」
「うん、だっておいしいしー」
「俺は適当にパスタでも頼むか」
「あ、じゃああたしはグラタンのドリアでも」
「私はどうしよう、じゃあオムライスでも食べようかな?」
「えーと、パフェはどうしよう……」
「ルナちゃん、何の味にしようか迷ってるの?」
「うん、そうだねーこのいちごのパフェでいいかな!?」
「いちごのパフェ、おいしそうだよね」
「うんー、とってもおいしそうだね!」
「でもルナちゃん、こっちのバナナやりんごなんかもおいしそうじゃない?」
「えー、私はいちごがいいのー。他のパフェには興味無いもーん」
「あ、そうなの。他のもおいしそうなのに」
 あれ、ルナちゃんってさっきは……。

『うーん、パフェのあるお店はそれなりにあるけど……ルナちゃん見当たらない』
『男とは言えルナ自身だ。特に好みのパフェとか、心当たりないか?』
『分かんない……私、恐らくどれも好きだから』
『ルナちゃんは何だか、本当に女の子って感じだね』
『だってパフェ大好きなんだもーん』

 パフェはどれも好きって言ってたよね?
 なのに他のパフェには「興味無い」と言っているルナちゃん。
 私の中で何かが引っ掛かる……でもルナちゃんの胸を見ると、ちゃんと女の子で。
「あたしだけ回想中のセリフ、拾われてないー……こんな扱いばっかり」
「ご、ごめんねツキちゃん……と言うか、勝手に人の思考読まないで;」
 ツキちゃんは置いといて……何だか私には、ここに居るルナちゃんが男の娘のルナちゃんに見えるような気がした。
 でもどう見てもきちんと胸がある……男の娘のルナちゃんは、最初見た時に胸が無かったよね?
 まあ男の娘だから普通はそうだよね、でも男の娘って……下着もルナちゃんと同じなのかな?
 もしそれでブラジャーでも着けていたとするならば、そこに何かを詰めれば……可能性は十分有り得る。
「わーい、私、いちごパフェ楽しみー」
「そうだな……しかし男のルナは大丈夫かな」
「そうだよね、ちゃんとご飯食べてるといいけど」
 それと他にも引っ掛かっていた事……皆薄々もう1人のルナちゃんを心配しているようだけど、当のルナちゃん本人はまるで心配している様子が感じられない。
 何だか見ていると、自分自身の事なのに他人事のような……。
 きちんとご飯を食べているかどうかだって分からないのに。
 それにソラさんがルナちゃんを捜そうとした時の焦り様。
 何だか私には……ルナちゃんが妨害しているように見えてしまった。
 凄い焦って必死で捜すのを止めさせようと……そんな感じに。

「お待たせしましたー。ハンバーグでーす」
「わーいおいしそうー! お先にいただきまーす!」
 ルナちゃんはハンバーグが来た早々、無邪気にご飯を食べ出しました。
 本当にこうして見ていると……もう1人のルナちゃんを心配している様子が全く感じられない。
「続いてパスタとグラタンドリアでーす」
「男のルナには悪いが、いただくか」
「ルナちゃん大丈夫かな……いただきます」
「えーきっと大丈夫だよー。それよりこのハンバーグおいしいー!」
 明らかに私の中では、このルナちゃんが男の娘のルナちゃんにしか見えなかった。
 でも仮に本当にそうだったとすると、女の子のルナちゃんは一体何処へ?
 そしていつの間に元のルナちゃんと入れ替わっていたのだろう……。
「ねえ、ルナちゃ」
「お待たせしましたー。オムライスでーす」
「輝月ちゃんのも来たよー。さっ、食べようよ!」
「え、うん。いただきます……」
 ルナちゃんに確認しようと思ったけど……ご飯が冷めちゃう。
 とりあえず先に食べてからでも……遅くはないよね?

「お待たせしましたー。いちごパフェでーす。ご注文は以上でしょうかー」
「はーい、以上でーす」
 最後にルナちゃんのパフェがやって来ました。
「わーおいしそう! それでは早速いただきまー」
「ちょっと待ったー! はぁはぁ……やっと見つけた」
「ルナちゃん!」
 ここに居たルナちゃんがパフェを食べ始めようとした時、もう1人のルナちゃんがやって来たのです。
「お、ようやく戻って来たか」
「ルナちゃんおかえり……って、あれ?」
「何かルナ、2人共胸があるな?」
「え、どっちも……女の子の、ルナちゃん?」
「ルナちゃん酷いよー! 私にあんな事するだなんて……」
「えー、あんな事ってなーにー?」
「この子、私に酷い事して途中から女の私に成り済ましてたんだよ!?」
「成り済ましてた……って何の事ー? あなたが男の娘のルナでしょー? 胸までまねして何のつもりー? 私に成り済まそうって言うの?」
「なっ……あなたが男の娘のルナでしょ! どうせ胸パッドでも入れてるんでしょ!?」
「それはあなたでしょー?」

「えーと、何が何やら」
「良く分からない状況に……」
「……私、知ってたよ。ここに入る時から一緒に居たルナちゃんは、男の娘のルナちゃんだったって」
「輝月ちゃん……! 分かってくれてたのね!? さすが輝月ちゃんだよー!」
「輝月ちゃん何言ってるの? 私、今まで一緒に居た女の子のルナだよ?」
「どっちが本当なんだ……?」
「さあ、分からない……」
「くっ、こうなったらルナ……白黒着けるしかないわね」
「望むところよ……きっと輝月ちゃんは分かってくれている。でもそれよりも今は……」
「「溶けちゃう前にパフェを食べちゃおう!」」
 後から来たルナちゃんは先に居たルナちゃんの横に座って……。
「「いただきまーす!」」
「このパフェおいしいー!」
「いちご選んで正解だったー!」
「……まあ、とりあえずどっちかが本物って事だよな」
「うん、どっちかが女の子のルナちゃんよね」
「だから本物のルナちゃんは、後から来た方……」
「いいのいいの、後で白黒着けるからー」
「それより今はパフェが先ー」
「で、でもどっちが本物なのかはっきりしないと」
「あーうるさいわねーパフェの邪魔しないでよー! 私の魔法でパフェにしちゃうよ!?」
「あ、それいいねーパフェ1個ずつで分けられるよー」
「いいねいいねー」
「あーうーまたルナちゃんがいじめるぅ……」
「……もうどうしようもないな、コイツらは」
「ルナちゃんったら……」
 パフェにがっつく2人を見ていると、その時のルナちゃん達は全く同じにしか見えませんでした。

「「ふー食べた食べたー」」
「これでご飯はOKだな」
「うん、だけれど後は……ルナちゃん達だね」
「大丈夫。女の子のルナちゃんがどっちか私には分かるから」
「輝月ちゃん、私が本物よ!」
「違うよ、私が女の子のルナよ!」
「えーと……あれ、後から来た方のルナちゃんって……どっちだっけ?」
 外へ出るまでにルナちゃん同士が仲良く交わっていたから……。
 私はどっちがどっちのルナちゃんなのか、分からなくなってしまいました。
「わーどうしよう……分からなくなっちゃった」
「そんな、輝月ちゃん」
「そんな、輝月ちゃん」
「反応も同じだな……」
「えーどっちがどっちなのー?」
「うー……で、でも、男の娘の方には股間にアレが付いてるよね? 直接股間を調べれば……」
「「やだ! そんなの恥ずかしい!」」
「で、でも……私、変身星ではパンツとして密着してたし……」
「「思い出させるなーーー!」」
『パチーン!』
「うわ、またもや痛そうだな……」
「凄い音したね……しかも2人から左右で叩かれて、痛さも2倍……」
「うぅ、何で私ばかりぶたれるのー……;」
 何だか散々な扱いだよぉ……。
「輝月ちゃん、少しは私の気持ち……分かった?」
「うん、分かったかも……ってツキちゃん、また人の思考読んだの?;」

「これじゃあ埒が明かないな……」
「ずっと2人のままじゃダメなんだよね?」
「ああ、1人に戻る時にどうせ片方は消えるが……」
「でもどっちが元なのか分からないと、女の子のルナちゃんが消えちゃうかもなんだよね……」
「そういう事だな」
「だからきちんとどっちが本物か分かっておかないとね」
「でも本当にこれじゃあ埒が明かないから……どうしよう」
 どうにかする方法は無いのかな……。
「ねえルナ、じゃあこんなのはどう?」
「うん、何?」
「私は……輝月ちゃんを信じる。だから輝月ちゃんに選んでもらうの」
「輝月ちゃんにどっちが女の子の私か、選んでもらおうって事?」
「うん、それでどう?」
「……分かった、受けて立つわ」
「と、ルナ達は言っているが……輝月はそれでいいか?」
「輝月ちゃーん、責任重大だよぉ……?」
「う、うん。ルナちゃんがそう言うなら……!」
 それはつまり、ルナちゃんが私を信じていると言う何よりもの証拠。
 ならば私は……そんなルナちゃんにきちんと応えたい。
 でもどうしよう、ルナちゃんが混ざっちゃって……どっちが本物なのか。
「じゃあ輝月ちゃん」
「どっちが本物か選んで」
 今はともかくルナちゃんを良く見るんだ。
 そう、本物のルナちゃんはとても優しい性格で……そして男のルナちゃんは豪快。
 でも今は交ざり合っちゃってるから、それだけで判断する事は……。

 ならば私は……自分の選択を信じるのみ!

「本物のルナちゃんは……こっちだ!」
 私が選んだルナちゃんは……左のルナちゃんだ!
「わ、輝月ちゃーん! 信じてたよー!」
「輝月ちゃん、正気なの? そっちは偽物よ」
「輝月ちゃーん、ありがとー!」
「騙されないで! そのルナは輝月を陥れようとしてるのよ!」
「うん、今のではっきりと分かったよ。右のルナちゃんが男の娘だってね」
「え、何でなの……?」
「私の知ってる女の子のルナちゃんは優しいもん。陥れるだ何て絶対言わない」
「輝月ちゃん……!」
「くっ、ここまでか……」
「同じ自分に向かってそんな酷い事は言わないもんね? いくら騙そうとしてても」
「輝月ちゃーん! 大好きっ!」
『ちゅっ』
「わわっ、ルナちゃん……(///」
「ルナちゃん、輝月ちゃんにキスを……くっ、羨ましいー!」
「ルナ、大胆だな……でも、どうやらこれで白黒着いたようだな」
 女の子のルナちゃんがどっちなのかはっきりと分かりました。
「で、でもやっぱり納得行かない……! 本当は私が本物……うわっ!」
「わ、危ないー!」
 男の娘のルナちゃんは焦っていたようで、バランスを崩し掛けました。
 私はとっさに男の娘のルナちゃんの身体を押さえて……。
「わ、ルナちゃん当たってる! 股間のアレが私に当たってる!」
「わわっ……輝月ちゃんの、ばかぁー!」
『パチーン!』
「……うぅっ、私、悪くないよね?」
「輝月ちゃんも散々だね……」
「ルナ、程々にしとけよ……」
 不慮の事故もあって、完全にはっきりと白黒着きました。

「さあルナ、教えてちょうだい。何で私に成り済ましたの!?」
「そ、それは……」
 その後男の娘のルナちゃんは、元のルナちゃんに問い詰められました。
「私が消えるかもって話……実は聞いちゃってたんだ」
「え、そうだったの?」
「私が消えちゃう事になるってさ……私、ずっとこのままで居たいもん!」
「だから私に成り済まして……自分が消えたくなかったから?」
「ごめんなさい、いくらでも怒ればいいよ……」
『ぎゅっ』
「え……ルナ?」
「そうよね……消えるって、誰だって怖いよね……私だってそうよ」
「ルナちゃん……」
「でもねルナ、良く聞いて。あなたは消えるんじゃないわ」
「消えるんじゃ……ないの?」
「見た目上は確かに居なくなっちゃうけど、でも私と1つになるんだよね?」
「うん、元のルナちゃんと1人に……」
「じゃあそれって、あなたは私の中でいつまでも一緒よね?」
「うーん……そうだよね。そっかー、いつまでも一緒……」
「だから大丈夫。男の子のルナは消えないし、1人なんかじゃない」
「うん、ありがとう。何だか安心したよ」
「うぐっ、うぐっ……」
「ツキちゃんどうしたの?」
「何だかあたし、感動しちゃって……心が温かいの」
「ふう、これにて一件落着かな」
 元のルナちゃんの言う通りで。
 元に戻ってしまっても、男の娘のルナちゃんは同じルナちゃんなんだ。
 ずっといつまでもルナちゃんと一緒だから、1人なんかじゃないもんね。

「さて、後は輝月の欠片だが……」
「あ、欠片なら私が見つけたよ!」
「え、嘘ー!?」
「ほんとだよー、ほら!」
 男の娘のルナちゃんは服の中に手を入れて、胸元から欠片を取り出しました。
「嘘ー、ずっとそんな所にしまってたの!?」
「ブラとパッドで挟んでたんだよー」
「よくもまあそんな事を……良く光が漏れなかったわね」
「でも今回の欠片は、あんまり光ってないみたいだよ?」
「そういえばそうだね、何でだろう……」
 私が欠片に手を触れてみると……。
「わー、欠片が急に光り出した!?」
「もしかしたら、輝月に反応したのかもしれないな」
「眩しいです……」
「よし、欠片も見つけたし引き上げるぞ」
「「うん、お兄ちゃん」」
 欠片も見つかったし、私達は宇宙船へ戻りました。

「じゃあ宇宙船へ乗り込むが……中に入ったら星の影響が無くなる。きっと男のルナは消えるだろうから、ここでお別れだ」
「お兄ちゃん、そんな言い方しないでよ」
「お別れじゃなくて、1人になるだけだから。私はいつまでもルナの中に居るよ」
「ああ、そうだったな。ごめんな、ルナ」
「男の娘のルナちゃん、ありがと。また出れる時があったらいつでも出ておいでね」
「うん、ありがとう輝月ちゃん」
「ルナちゃん……ケーキの件は散々だったから、もういじめないでね……」
「うん、ごめんねツキちゃん……」
「ルナ……私達、いつまでも一緒よ」
「うん、ルナ。いつまでも一緒だね」
「よし、じゃあ乗り込むぞ」
「はい、ソラさん」
「行こう、ルナちゃん」
「うん、輝月ちゃん。ほら、ルナも行くよ」
「うん、ありがとうルナちゃん。それと輝月ちゃん」
「うん、男の娘のルナちゃん、何?」
「輝月ちゃん、だい」
 男の娘のルナちゃんは言葉を言い掛けてたけれど……元のルナちゃんが宇宙船に乗り込んでしまい、言葉が途切れてしまいました。
 身体が光で覆われたルナちゃんは、そのまますーっと元のルナちゃんの中へ溶け込んで行きます。

 男の娘のルナちゃん……だい?
 だい、だい……一体私に、何が言いたかったのだろう?
「輝月ちゃーん、早く中へ行くよー」
「あ、今行くよー」
 ……うん、分からなかったけど、まあいいかな。
「ルナちゃん、お待たせ」
「輝月ちゃん、あの時は……私に気付いてくれて、ありがとう」
「え、うん……」
 実はあの時……私はどちらのルナちゃんが本物なのかを迫られて。
 左か右か選ぶ時点では、どちらのルナちゃんが本物か分からなかったのです。
 だから実際の所、当てずっぽうの勘で選んじゃったんだよね……。
 でも選んだ方が正解で良かった。あの後、男の娘のルナちゃんが発した言葉で確信する事ができたものの。
「えー、輝月ちゃんは当てずっぽうでたまたまルナちゃんを当てただけなんだー」
「うん、そうなんだ……ってツキちゃん、また人の思考を勝手に読んじゃって!」
「え、輝月ちゃん、それ本当なの……?」
「え、えーっと……エムピ星人って、人の思考を読んだりできるの?」
「えー、多分それ、今回だけの設定よー。ソラさんからバリアで力を受けてたから、一時的にそういう事ができたのかもねー」
「輝月ちゃん、誤魔化さない!」
「は、はい……ごめんなさい当てずっぽうでした」
「私、輝月ちゃんを信じてたんだよ。気付いてもらえてたと思って」
「ルナちゃん……ごめん」
「うん、結局どうにかなったんだし、輝月ちゃんは悪くない」
「そう、私は悪くないよね? ありがとうルナちゃ」
「でも、でも……輝月ちゃんのばかぁー!」
『バチーン!』
「な、何で結局こうなるの……きゅうーーーっ」
「わ、輝月ちゃんが凄い勢いでぶたれて倒れちゃった!」
「輝月、大丈夫か……?」
 何だか私、本当にぶたれてばかりです……。


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  • 最終更新:2018-02-09 23:12:17

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