8.家畜豚を育てる授業

 魔法少女ゆいちゃん 8.家畜豚を育てる授業

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「ねーねー、聞いた?」
「今度学校に豚さんが来るんだってー!」

 ゆいちゃんのクラスは、豚の話題で持ち切りでした。
 この学校では校内に豚を飼育できる家畜小屋があって、毎年3年生達が半年間豚の飼育をします。

「豚が来るのー?」

 ゆいちゃんはクラスメートの子に訊きました。

「うん、そうらしいよー」
「来週辺りから家畜小屋に来るんだってさー!」
「ゆいちゃんも豚さん、好きー?」

 クラスメートのあみちゃんが、ゆいちゃんに尋ねます。

「豚って何だか汚いイメージあるしー、ゆいはあんまり好きじゃないなー」
「えー、そうかなー。豚さんかわいいと思うよー?」
「臭くて汚いのに何でかわいいのー?」

「…………」

 ゆいちゃんの反応に、あみちゃんもすっかり黙り込んでしまいました。


 そして豚が学校に来る1日前の事。
 どうやらトラブルがあったようで、教室では先生が皆にお話をします。

「明日は豚さんが来る予定だったけど、あっちの手違いで学校に送る分の豚さんが準備できなかったそうで……豚さんは来なくなってしまいました」

 先生の話を聞いて、クラス中の皆は騒然としています。

「えー! 豚さん来ないの!?」
「楽しみにしてたのにー!」
「そんなぁ……」

 クラスメートに直接お話はされていませんが、どうやら豚の出荷が予定以上に増えてしまった為、小学校へ回す予定だった豚をそっちに回さざるをえなくなっていたのです。
 それで小学校に回す分の豚が準備出来なくなってしまった、と言う事でした。


 そしてその日の放課後の事。

「あ、ゆいちゃーん」
「あみちゃんどーしたの?」
「今日は一緒に帰らない?」

 あみちゃんはゆいちゃんを下校に誘いました。

「うん、いいよー☆」

 ゆいちゃんのクラスは何故か突然行方不明になる生徒が多く、クラスメートも徐々に減って行きます。
 それなのでゆいちゃんの仲良くなる女の子はころころと変わるのですが、最近はあみちゃんと仲が良いみたいです。

 そんな2人は、一緒に仲良く帰路に着きました。

「ねえゆいちゃん、豚さん残念だったね……」
「えー、そうかなー?」
「あー、ゆいちゃんあまり好きじゃないんだったね」
「うん、だって豚って臭そうなんだもーん」
「そんな事ないよー? 意外と豚さんって綺麗好きなのよ?」
「ふーん、あみちゃんは豚が好きなの?」
「うん、大好き。豚さん来なくて残念……あたしにどうにかできないかなぁ」

 あみちゃんは自分がどうにかしたい、と思う程豚が好きなようです。
 そんなあみちゃんの言葉を受けて、ゆいちゃんはあみちゃんの為に人肌脱ごうと思ったようです。

「そうなんだー、ねえねえあみちゃん! じゃあゆいがどうにかしてあげるよ☆」
「え、ほんと!? でもゆいちゃん、どうにかするってどうするの?」
「学校に豚が来ればいいんだよね?」
「うん、そーだけど」
「あみちゃん、明日の朝少し早めに学校へ来られる?」

 ゆいちゃんはそう言って、あみちゃんを朝早く学校に来させました。


 そして翌日の朝。

「ゆいちゃん、おはよー」
「おはよー! あみちゃん☆」

 2人は朝早くの教室であいさつを交わします。
 朝早過ぎる教室にはまだ2人しか居なくて、学校全体にもほとんど人が居ません。

「じゃああみちゃん、家畜小屋の前に行くよー!」
「う、うん。でも一体どうするの?」
「ゆいに任せて!」

 ゆいちゃんはあみちゃんの手を引っ張り、家畜小屋の前へと連れて行きました。

「ゆいちゃん、一体何をするつもり?」
「まーいいからいいからー!」

 ゆいちゃんはあみちゃんの手を引いて、家畜小屋の中へ入りました。
 この家畜小屋にはまだ何も居ないので、誰でも出入りができるようになっています。
 とは言っても、普段出入りする生徒は特に居ません。

「さてここでいいかな?」

 ゆいちゃんはポケットから小さいステッキを取り出して、魔法の呪文を唱えます。
 ステッキが大きくなると、ゆいちゃんがあみちゃんに魔法を使いました。

「あみちゃんが豚になってね☆ えいっ!」
「え、ゆいちゃんそれって」

 あみちゃんがゆいちゃんの返答を聞く間もなく、あみちゃんの身体は光に包まれて変化して行きます。
 そしてあみちゃんが居た場所には、1匹のぽっちゃりとした子豚が居ました。

「ブヒッ!? ブヒブヒッ!?」
「あみちゃんどーかな!? 豚になった気分は」
「ブヒーッ!?」

 豚はとても驚いているような鳴き方をしています。

「あみちゃんはもうただの豚だよ! 言葉分からないけど、多分喜んでるのかな☆」
「ブヒッ!? ブヒー!」
「嬉しそうで良かった☆ それにしてもやっぱり豚って臭そー! ゆい、やだなー!」

『ガーン……』

 喋れない筈の豚ですが、ゆいちゃんは豚がこういう反応をしたように見えたそうです。

「ゆい臭そうなのは嫌いだから、もう行くね!?」
「ブッ! ブヒブヒーッ!?」

 ゆいちゃんは家畜小屋の豚を取り残して、小屋の鍵を閉めて行ってしまいました。


「わー、豚さんだー!」
「やったー!」
「かわいいなぁー」

 ゆいちゃんは担任の先生に朝早く業者が来て、豚を置いて行ったと報告をしました。
 先生は突然の予定変更に驚いていましたが、当初の通り豚の飼育を3年生にさせる事にしました。

「ブヒッ……」

 クラスメートに囲まれた豚は、皆に何かを訴えたそうな目をしています。
 でも何を訴えたいのか分かる者は誰1人居ませんし、そもそも訴えたい事があると気付く者も居ません。

「せんせーい、この豚さん名前なんて言うのー?」
「そうねー、名前は皆で付けましょ?」
「じゃあ豚さんだしトンちゃん!」

 1人の生徒がありきたりな名前を言いましたが、クラスメートからは賛成意見が上がりました。

「あはは、トンちゃんだってー☆」

 ゆいちゃんは遠くから豚に向かってトンちゃんと呼びました。

「ゆいちゃんも、もっとこっちおいでよー」
「えー、臭いからやーよ」
「そんな事ないよー、かわいいよー?」

 実際に臭い訳ではなく、ただ臭そうだと思っているだけなゆいちゃんでした。


 小学校に豚が来てから1ヶ月後。

(あたし……いつまでこの小屋で暮らさなきゃならないのだろう。ママ……パパ……皆……寂しいよ)

 この小屋で飼育されている豚は、元人間のあみちゃんと言う女の子。
 しかしその事実を知る者は、ゆいちゃんとあみちゃん自身しか居ません。
 人間の言葉すらも話せず会話すらもできなくなったあみちゃん。

 彼女はもう、本当にただの雌豚でしかありません。
 今日も1匹小屋で寂しがっているうちに、あっと言う間に朝が来てしまいました。

「トーンちゃん♪」
(あ、この声は……)

 ゆいちゃんが朝一で様子を見に来てくれました。

(ゆいちゃん、何だかんだ言っても優しいんだから……いつも朝1番に来てくれるよね)

 でもあみちゃん、そのゆいちゃんに豚にされた気もしますけど……。

(ねえゆいちゃん、いい加減もう戻してよ……)
「ん、なーにトンちゃん? ゆい、何言ってるか分かんない☆」
(だ、だから……はぁ、やっぱり無駄みたいね)
「それよりトンちゃん、あんまりこっち近付かないでねー。ゆい、豚って臭そうで好きじゃないからさ!?」
(うぅっ、臭くなんかないよぉ……)

 でもそう言いつつも、ゆいちゃんは毎朝あみちゃんの所に来ます。

「大事なお友達だからね! 一応顔だけは見せるけどさー」
(大事なお友達ならば、元に戻して欲しいよぉ……)

 こんな調子で毎日が繰り返されました。

「ゆい、もう行くねー☆ 朝ご飯ちゃんと食べるんだよ!」

 ゆいちゃんは小屋の入り口に豚のご飯だけを置いて、その場を去りました。

(うぅっ……豚のご飯って……何でこんなにもおいしいのかなぁ)

 あみちゃんは、必死にご飯にがっつきました。


 そして3ヶ月程経過します。

(あ、何だか騒がしい……皆が来たみたい)

 さすがに3ヶ月も経つと、あみちゃんも豚としての生活にある程度慣れたようです。

(今日もブラッシングしてもらえるかな? して欲しいな)

「トーンちゃん! 元気だったー?」
「トンちゃんおはよ、今日もいい天気だねー」
「トンちゃんおいで、ご飯上げるよー」

(わっ、ご飯欲しい!)

 クラスメートの数人がご飯を置くと、トンちゃんはご飯にがっつきます。

「トンちゃん、どんどん太っていくねー」
「みるみるうちにおデブちゃんだー」
「ご飯食べたらブラッシングもやるよー」

(わぁー、嬉しいなぁー!)

 トンちゃんは背中をブラシでお手入れしてもらい、とても満足そうです。

(豚としての生活も悪くないよね、おいしいご飯もあるしブラッシングは気持ち良いし、勉強だってしなくて良いんだもの)

 トンちゃんはもう自分が豚でも良い、と思い始めていました。


 そして6ヶ月後、トンちゃんが学校で飼育され始めてから半年後の事。

「トンちゃん、おはよー☆」
「ブヒブヒッ!」
「トンちゃん、元気だねー。今日はトンちゃん、学校から出る日みたいだよー!」
「ブヒッ?」

 ずっと豚で居るうちに人間の言葉を話せなくなり、すっかり人間の言葉を忘れてしまったトンちゃん。
 彼女の心はもはや、見た目通りのただの豚と同じになっていました。

「まあ何処へ行くかはすぐ分かると思うよ! じゃね☆」

 ゆいちゃんはトンちゃんにそれだけ告げると、去って教室へと向かってしまいました。


 しばらくすると、いつも通りクラスメート達が一斉にやって来ます。

「トンちゃーん、ご飯だよー」
「ブヒッ♪ ブヒッ♪」

 トンちゃんは上機嫌でご飯にがっつきます。
 クラスメート達も嬉しそうにトンちゃんを見ています。

「トンちゃん、半年で凄い太ったね」
「うん、ちょっとかわいそう」
「でも運命なのかもしれないよね……」

「ブヒッ?」

 何だかクラスメート達は、トンちゃんに悲しい目を向けている感じがします。

「さあトンちゃん、食べ終わったらブラッシングだよ」
「ブヒーッ♪」

 身も心も完全に雌豚となってしまったトンちゃん。
 彼女は豚の本能に従うがまま、ブラッシングを気持ち良く堪能しました。

 彼女がブラッシングで気持ち良くなっていると、1台の大型トラックが学校へ入って来て小屋の近くで止まりました。
 そしてトラックから作業員のような男性が2人下りてくると……。

「ブヒッ!?」

 トンちゃんの意識は、そこで一旦途切れてしまいました。

「トンちゃん、あみちゃんだったっけ……おいしい豚肉になってね☆」

 クラスメート達は悲しい目で、トラックの荷台に乗せられて運ばれて行くトンちゃんを見届けました。


「ブヒッ……」

 次に目を覚ますと、トンちゃんは何処か分からない建物の内部に居ました。
 何だか工場内みたいな感じで、トンちゃんは仰向けにされて手足を鉄の金具で固定されていました。

「ブヒッ!? ブヒブヒッ!?」

 豚の本能で異常事態を察したのでしょうか。
 トンちゃんは急に激しく鳴き声を上げました。

「コラッ、静かにしろ! 今楽にしてやるから!」

 1人の作業員の男性が、トンちゃんに向かって大声を掛けました。

「ブヒッ……?」(あれっ、この声……)

 すっかり人間の言葉すらも忘れていた筈のトンちゃん。
 しかし何故か、彼女の中に人間の思考が蘇ったのです。

「まだ娘さん、行方不明なままでしたっけ」
「ああ……あみは誘拐されてしまったのだろうか。無事に生きているといいのだけれど」
「色々と物騒ですからね……」
「娘が戻って来た時の為にも、豚を解体していっぱいお金を蓄えておかないと」
「娘さん、戻って来るといいですね……蓄えたお金で、沢山いい思いさせてやりたいですもんね」

(パパ……?)

 次の瞬間、豚の身体には物凄い電気が走りました。


「さて、これからトンちゃんと再会をします」

 今日の1時間目は先生に案内されて、ゆいちゃんのクラスは家庭科室へ向かいました。
 机の上には沢山の豚肉が並んでいます。

「これが1週間前まで、皆が育てていたトンちゃんです」
「…………」

 生徒達は皆、下を向いて俯いてしまっています。
 実は豚が学校へ来た当初から、最終的には育てた豚が肉にされてしまう事を聞いていたのです。

 自分達が一生懸命かわいがって育てた豚のトンちゃん。
 クラスメート達にも良く懐き、とてもかわいかったトンちゃん。
 そんなトンちゃんが、ただの豚肉になってここへ戻って来ました。

 そして最後は自らの手で育てた豚を食べるか食べないか、クラスメート達にその選択を迫ります。
 この授業の狙いは子供達へ食と命の大切さを教える事だったのです。

「食べてあげないと、きっとトンちゃんがかわいそう」
「このまま捨てられるなんて、私だったら考えられない」
「トンちゃんの命を無駄にしちゃうだけ……」

 生徒達で話し合った結果、トンちゃんを食べる事になりました。


 給食の時間、3年生のクラスには1枚の豚肉がそれぞれ添えられます。

「うーん、おいしい☆ やっぱり豚はお肉に限りますなー!」

 ゆいちゃんは満面の笑みで、豚肉を堪能しました。

「あみちゃんにも食べさせてあげたかったなー! あ、でも無理だよね! てへっ☆」

 そう、だって皆が食べているこの豚肉こそが……。


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  • 最終更新:2018-02-09 16:38:58

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