第5話:気付いてる?

 幼なじみなう 第5話:気付いてる?

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「わーい! 今日は3人でプールだー」
「ふふっ、みうったらはしゃいじゃって」
「みうちゃんは嬉しそうだね」

「だってみう、プール大好きだもーん!」

 今日の僕はみーちゃんとみうちゃんで市民プールに行きます。
 元々は入れ替わってしまって以降、幸いにも雨の影響などでまだ学校側で水泳の授業が無く。
 体育の授業でぶっつけ本番の水泳だと身体の違いでお互いの水着に戸惑うかな、と思い。

 それなので授業で困らないように先にプールで慣れておこう、とみーちゃんが提案していたのです。

 更にプールが大好きなみうちゃんもお休みにプールへ行きたかったようで、今日はこうして3人一緒にプールへ行く事になりました。

 正直なところは……みうちゃんには申し訳ないけれど、お互いそれぞれの身体での水泳に慣れる為のプールだった事もあり。
 みうちゃんが居ると、色々みーちゃんとのやり取りがしづらいかもしれない。

 でも授業中だったらそれこそお互い不振に思われる行動なんて取れないし、だから今日だって公共の場なんだから、と言う事を意識しつつお互いなりきらないと。

 お互いになりきりつつ、水泳に慣れる……何だか大変な事なのかもしれない。
 只でさえ女の子の身体にまだ慣れてないし、その上みーちゃんの身体は生理期間。
 僕は応急処置でタンポンと言う物を使いつつ、プールへ入る事になったのです。

「着いたー! わぁー今から楽しみだー!」

 僕達はプールへと到着しました。
 まあ今日はお互い慣れるだけでなく、純粋に皆で楽しめればいいな。

 この時の僕はみーちゃんがあんな事になるだなんて……まだ思ってもいなかったのです。


「じゃあろっくん、一旦ここでね?」
「うん、行って来るね」
「おにいちゃんまた後でね!」

 プールへ入場後、更衣室の分かれ道でみーちゃんと一旦別れました。
 さてこれから持って来たスクール水着へと着替える訳ですが……。
 当然今の僕は女の子、女子更衣室で服を着替える事になるのです。

「うわあああ………」

 更衣室へ入ってそうそう、僕は早くも挫折しそうになってしまいました。
 見ないようにしようとしても、更衣室を進んでいると自然と女の子達の下着姿が目に入って来るのです。
 お風呂とかトイレとかでみーちゃん自身の色々にはさすがに慣れてきたけれど……。

 まだ僕には他人の裸や下着姿にまで慣れる余裕は無いようでした。

「おねえちゃんどうしたの? 何だか顔が凄く赤いけど」
「えっ、そ、そーかな。多分暑いせいじゃないかな」
「確かにプールへ入る程暑いけどね。でもおねえちゃん程赤い人なんて他に居ないよ?」

「ま、まあ大丈夫だよ……ははっ」
「もしかしておねえちゃん……アレなのに無理してる?」
「あ、恐らく大丈夫……タンポンも挿れてきたし」

「うーん、本当に大丈夫ならいいけれど」

 みうちゃんは純粋に心配しているのか、それとも僕の事を不振がっているのか……。
 しかしみーちゃんの身体は女の子でも僕の心は普通の男の子であり、こういう自然的な現象はどうにもならないし反応するべき物はしてしまう。

 でも女の子になってからは、僕の下半身に反応するべき物は付いてないんだよね……。
 何だかこういう時って女の子だと身体が疼いて来て、凄く不思議な気分になってしまう。

「おねえちゃん? 本当に大丈夫なの?」
「えっ、うん大丈夫……ってみうちゃん何で下着なの!?」
「えっ、だって水着に着替えるんだよね?」

 どうも僕は変な気持ちになっていたようで、少し頭が混乱していたようです……。

「あ、そーだよねごめん……」
「ねえおねえちゃんってさ、自分の下着姿や裸で興奮したりする?」
「えっ、何でそんな事訊いてくるの……」

「何かおねえちゃん見てるとさ、女の子の裸で恥ずかしがってるような感じがして」

 うぐっ……みうちゃんは相変わらずピンポイントを突いてきます。
 やはり未宇ちゃんの記憶で、自分が入れ替えてしまった心当たりを信じているのでしょうか……?

「そ、そんな事無いよ?」
「じゃあ別にみうの裸も大丈夫だよね? 今、下着外しても大丈夫だよね?」
「ごめんみうちゃんみい子隅っこで着替えるから!」

「あ、おねえちゃん……あの反応って女の子、と言うよりかはまるで……」

 僕はみうちゃんの言った言葉に耐え切れず、そそくさと端っこへ逃げてしまいました。
 慣れてないのもあるけれど、これ以上みうちゃんの裸を見てしまう事に対する申し訳なさもあり。
 昨日はみうちゃんと突然一緒にお風呂へ入る事になっちゃったし……。

「ねえねえおにいちゃんー」
「えっ、ろっくんはあっちの更衣室よ?」
「だよね? もしかしたら返事があるかな、とも思ったけどまあそうだよね」

 みうちゃんはどうやら、ストレートな探りを入れてきたようです。
 やはり今のお姉ちゃんが僕である可能性を考えているようです……。
 でもばれる訳にはいかないんだ、ばれたらみうちゃん自身だってどうなっちゃうか……。


「おねえちゃーん、終わった?」
「えーとこれどうやれば……」

 着替え終わったみうちゃんが元気に声を掛けて来ました。
 一方僕は良く分からない女の子のパンツみたいな物と、スク水を持ったまま立ち往生してます……。

「おねえちゃんまたなのね、大丈夫だよみうが付いてるから」
「あぅっ………」

「えーとまずそのパンツみたいな物、サポーターね。まずはそれを先に穿くのよ」
「う、うん……」
「それを穿くとお股の……あーもうみうだっていちいち恥ずかしいよ(///」

 ごめんねみうちゃん……僕が女の子に慣れきらないばかりに。
 みうちゃんもみうちゃんできっと色々と困ってるよね……。

「ごめんねみう……」
「だ、大丈夫だよ。じゃあ次は水着を着て紐は肩に掛けて」
「えーと、水着は穿くように着ればいいのかな……で、紐は肩にっと」

 実際やってみたらどうって事はありませんでした。
 ただ単にパンツみたいなのを穿いて、水着を穿いて全身を包み肩紐を掛けるだけだったのです。

「うん、できたね」
「ありがとみう……ダメなおねえちゃんでごめんね」

「おねえちゃんここ最近少し変だから、まあ仕方無いよ?」

 みうちゃんにはっきり「変」と言われてしまいました……。

「それにしてもこのスクール水着って……」

 ブルマの時にも感じたようなグッドなフィット感。
 更にそれに加えて身体全体を覆っている安心感、繊維のスベスベな気持ち良さ。
 女の子の水着って……何だか男の物と違って信頼の安心感があってずるいかも。

「どうしたの?」
「スク水って凄いんだね……みうちゃん」
「えっ? 凄いけど……何が?」

「あ、えーと……私今何言ってたっけ?」

 どうやら僕はスク水と言う物の魔力に取り込まれてしまっていたようです……。



「みーちゃーん、みうちゃーん」
「ろっくんー、お待たせ」
「お待たせおにいちゃん!」

 女の子と違って男の子だと早く着替え終われるのね。
 みい子は先に着替え終わって、2人をしばらく待ってたけどようやく来ました。

 男の子の更衣室で1人で着替えるのは正直不安だったけど……。
 ろっくんはみい子の身体なんだし、一緒に来てもらう訳にはいかないもの。
 それにお互いになりきらないとみうにばれちゃっても困るし……。

 だからみい子頑張ったよ。
 慣れない男の子の身体で、一生懸命頑張って着替えたよ。

「あれっ、みーちゃん何だか顔が赤くない?」
「うん、何だかさっきからずっとなんだよね。何だろうね?」
「そ、それは……」

 ははっ、何となく察しちゃった……。
 きっとろっくんったら、男の子なのにみい子の立場だから色々大変な事があったのかな。

「ところでおにいちゃんもおねえちゃんもスク水なんだね」
「うん、まあ色々あってね。でもみうちゃんもスク水だよね? 普通の水着でも良かったのに」
「そーなんだけど、いつも学校で慣れてて面倒だからスク水にしちゃった!」

 みい子達は水泳の授業でも困らないようお互いの身体に慣れる為、なのでスクール水着だけれど……みうは面倒でスク水にしたようです。

「じゃあ早速準備運動して泳ごっ!」
「う、うん………」

「えーと、おにいちゃん何? みうに何か付いてる?」
「あっ、べ、別に何にも……」
「ふーん、おかしなおにいちゃん」

 私はついつい思わずみうをじーっと見つめてしまっていました。
 何故か良く分からないけど……みうの素振りが物凄くかわいく見えたのです。
 そして今まで感じた事も無いような気持ちになって、思わず心がきゅんとしてしまい。

 な、何だかスク水姿のみうの事がとっても気になって……。
 でもみうはみい子の妹だし、それに女の子同士なのに……な、何でなの!?

「ろっくん、大丈夫?」
「あっ、大丈夫だよ!?」
「ならいいんだけど……じゃあ行こっか」

 ろっくんにそう言われたと言う事は……多分みい子、色々と不自然だよね?
 みうを困らせないようにする為にも、平常心にしなくちゃ……。


「ははっ、みうは相変わらず元気だね……」
「そーだね、楽しそうだし凄いね」

「おにいちゃんとおねえちゃんも早くおいでよぉー!」

 みうは元気そうに1人で「きゃっきゃ」とはしゃいでいっぱい泳いでました。
 姉妹だけれどプールの時間はいつも一緒じゃないし、みうが泳いでるところを見るのは実は初めてです。
 プール大好きなのは知ってるけど、こんなにはしゃいじゃって本当に大好きなのね。

 あ、あれっ……みうの事を見てると……何だか胸がドキドキして。
 えっ、何でこんなにドキドキするの……? ドキドキが止まらないよぉ……。

「ろっくん……?」
「は、はい、僕ろっくんです」
「ちょ、混乱してないかい……本当に大丈夫?」

「あっ、えーと……ご、ごめん」

「どうしたの? やっぱり色々と慣れないかな?」
「いや、そんな事は無いの。男の子の水着を着てみたら意外とすんなりだし」
「うん、じゃあ良かった」

「最初は正直、上半身を隠さない感覚に戸惑ったけどね……でももう慣れたよ。みーちゃんは?」
「何だか全体を包み込んでくれて凄く安心できる感じ。それにタンポンだと生理でも平気みたいだし」

 ろっくんはみい子の身体でも大丈夫みたいで良かった。
 一方みい子は……うぅっ、早く男の子の身体に慣れないと……。
 心配掛けない為にろっくんには本当の事を言わなかったけど……実はみい子は今。

「おにいちゃーんおねえちゃーん早くぅー!」

「あっ、ごめんねみう! 今行くよっ! 行こうろっくん」
「う、うん。ごめんねみーちゃん、ちょっとゆっくりでいいかな?」
「うん? 大丈夫だよ」

 みい子は下半身を気にしながら、少しもじもじとプールの中を歩きました。
 そうです、みい子は今、股間に付いている男の子のアレが何だか反応してしまっていて……戸惑っているのです。

 でもこんな事、凄く恥ずかしくてろっくんには言えないよぉ……。


「じゃあそろそろお昼にするかい?」
「うん、さんせーい!」
「そ、そうだね。そろそろ頃合いかな」

 結局みい子は午前中ずっと、股間の事情が気になっていてまともに泳げませんでした。
 ろっくんが察してくれたかどうかは分からないけど……うぅっ、明らかにみい子ったら不自然だよ。
 でもこういう時ってどうしたら良いか分からないし……それに気になるものは気になっちゃうよ。

「じゃあ一旦上がろー!」

 そう言ってプールサイドへと上がって行くみうの後ろ姿を見る。
 すると何だかスク水で包まれたみうのおしりが凄くかわいく見えて……。

「ろっくん、何だか凄く顔赤いけど」
「えっ、だ、大丈夫だよ!?」
「えーとその反応……何かあるね? 正直に話してみて?」

「え、えーと……ちょっと今、プールサイドへ上がりづらい」
「……あー、なるほどね。そういう時は何も考えないか、難しい事を考えるといいかも」
「えーと、難しい事……?」

 みい子だってバカじゃないんだから、どういう時に男の子のこれがこうなるか……。
 大体そういう事の予想は付くもの、でも逆にどうやったら治められるか。
 なるほどね、何も考えないようにすればいいみたいだね。

「ごめんね、ちょっと待ってね。みーちゃん先に行ってて」
「えっ、でもそれだと……」
「またみうちゃんに不振に思われるよ? だからみーちゃんだけでも先にね?」

「う、うん、分かった。ゆっくりでいいからね?」

 本当はこんな状況で1人なんて色々と焦るけれど……でも今はみうに不振に思われないようにしないと。
 なのでみい子はろっくんを促して、先にみうの元へと行かせました。

「あれー、ろっくんー?」

「えっ、この声は……くーちゃん?」
「うん、偶然だね! ろっくんもプールに来てたんだ?」
「うん、最近暑いものね……」

 偶然プールでお友達のくーちゃんと出会いました。

「ろっくんは1人なの?」
「えーとみーちゃんとみうちゃんと一緒だよ」
「そーなんだ、みうちゃんってみーちゃんの妹さんだよね?」
「うん、そうだよ。くーちゃんは1人なの?」
「ううん、未来と一緒だよ!」

 未来ちゃんって……あ、確かくーちゃんの妹さんだったよね。
 そして確か未来ちゃんはみうと同じクラスメートの……。

「あ、おにいちゃん居た居た。遅いから何かあったのかなー、と思って来てみたけどお友達さん?」
「うん、たまたま来ていたみたいでね」

「くーちゃんこんにちは」
「みいちゃんこんー! えーとそっちの子が妹のみうちゃん?」

「あ、初めましてーみい子の妹のみうです!」
「同じ学園だけど2人はお互い初めてだったんだね」
「いつもおねえちゃんがお世話になってます!」
「あらあら、とても礼儀正しい妹さんねー」

「おねえちゃーん」
「あら未来、沢山泳いで来た?」
「うん、あれっ? みうちゃん!?」

「あ、未来ちゃんも来てたんだ!?」
「うん、久美おねえちゃんと一緒にね!」

 くーちゃんの妹さんは確かみうのクラスメートさんだったよね。
 やっぱりみうは妹さんとお友達だったようね。

 くーちゃんの本当の名前は久美ちゃんって言うの。
 でも皆からはくうちゃんとかくーちゃんって呼ばれてるから、そっちの方が定着してるけどね。

「ねえねえ未来ちゃん、一緒に泳がない?」
「うん、いいよー。一緒に泳ごっ!」

「相変わらず未来は元気ね」
「ははっ、みうもね……でもまずは先にお昼を済ませちゃおっか」
「うん、そーだね。皆で一緒に食べよっ?」

 思わぬ所でくーちゃんに出会って……お話しているうちに、みい子の下半身はすっかりと治まっていました。
 良かった、これなら何とかプールサイドに上がっても大丈夫そうね……。


「さーてお昼も済ませたし、目いっぱい泳ぐよーっ!」
「おーぅ! 泳ぎまくるよーっ!」

 5人で楽しくお昼をしていたら、ろっくんの身体でもあまり気にならなくなって。
 色々と気が紛れたようで、みい子は平静を保つ事ができているようです。

「せっかくだからあたし達も泳ごっか」
「うん、そうだね」

「おねえちゃーんおにいちゃーん!」

 みうちゃんが向こうからぶんぶんと手を振っています。
 相変わらずはしゃいじゃってかわいいみう、そんなみうの姿を見ていると何だか……。

「あっ、また………」
「ん、どうしたの? 六君」
「何でもないよ? 大丈夫大丈夫……」

「でも何か様子がちょっと変に見えるけど」
「あー、くーちゃん、ろっくんは本当に大丈夫だから……」

「そう? ならいいんだけどね」

 うぅっ……きっとろっくんには悟られちゃったかな……。
 みい子の下半身のアレがまた大きくなってきてしまったのです……。

 でもなんでみうの事を見たり考えたりするとそうなっちゃうのだろう?

「ねえねえみいちゃん、あっちまで泳いで競争しない?」
「競争? うん、いいよ。負けないからねっ!」

 ろっくんはすっかりとみい子の身体には慣れてきたのかな?

「じゃあ六君、ちょっとみいちゃんと競争して来るからね」
「うん、2人共頑張ってね」
「じゃあくーちゃん、行くよっ!」

 ろっくんとくーちゃんは泳いで遠くへと行ってしまいました。
 さてみい子はどうしよう、せっかくプールへ来たのだし泳がないとね。
 この身体でもきちんと泳げないと、学校で水泳の授業の時困っちゃうもの。

「とりあえずクロールでも……」

 周りの他の人達の邪魔にならないよう、隅っこの方を目指してクロールをしてみました。
 な、何だか下半身のアレがまだ治まらないから気になって……凄く泳ぎづらい。

「うぅっ、早くこれどうにかならないかな……」

 泳ぎづらいけれど……でも変にプールでもじもじしてるのも不自然だよね。
 それに男の子の身体だから、それは尚更不自然な事であって。

「まあ不自然じゃないように下は気にしないで泳いでれば……あ、あれっ!?」

 みい子は下半身を気にしていたせいか、何だかバランスを崩してしまい足をつってしまいました。

「う、嘘っ、足が……た、助けてっ!」

 足をつってしまい溺れそうになる私、でも人の邪魔にならない場所に居たから近くに人はおらず。
 そしてろっくんとくーちゃんは競争で遠くへと行ってしまっていて……。

「た、助けっ……!!」

 だ、だめっ……お、溺れちゃうっ……沈んじゃうよぉ。
 ろっくんの身体なのに溺れちゃったりするなんて嫌……み、みうっ、助けてっ!

「おねえちゃん!! おねえちゃん!? もう大丈夫だからねっ!?」

 あれっ、みう……みうがみい子を呼んでいる。
 私は意識が水の中で遠ざかって行く中……確かにみうが「おねえちゃん」と呼び掛ける声を聞きました。


「あ、あれっ……こ、ここは」

「ろっくんっ! 良かった……気が付いた」
「六君溺れちゃってたんだよ、みうちゃんが助けたんだよ」

「えっ、みう……が?」

「おにいちゃん気が付いて良かったー!」
「気が付いて良かったです……」

 あれ……私の身体……この下半身の違和感、間違い無くろっくんのままだよね?
 でも何だかみい子……意識が途切れる直前、みうが「おねえちゃん!!」と呼ぶのを聞いたような……。

 きっと溺れ掛けていたから、頭が混乱でもしていたのかな?

「みう……助けてくれたんだ。ありがとっ」
「ありがとなんていいよ、おにいちゃんが助かって良かったよ……」

「でもびっくりしちゃったよね。とっさにみうが猛スピードで泳いで行ったから」
「うんうん、そしたらその先でろっくんが沈んでいてさー」
「みうちゃん凄まじかったよね……」

「ありがとっ、みう。ありがと……」

 端から見ればみうがろっくんを助けた事になるけれど。
 でも実際はお姉ちゃんであるみい子が、妹のみうに助けられたのです。

 何だかそれはそれで姉として情けないような……。
 それに今のみい子は男の子なのに、女の子であるみうに助けられただなんて。

「まあ……男とか女とか関係無いよね? 溺れたりする事は誰だってあるからさ」
「えっ?」
「だからおにいちゃんも助かって良かった、とだけ思っておけばいいと思うよ」

「みう……」

 もしかしてみうったら……私達に気を遣ったのかな?
 男とか女とか関係ない……うん、そうだよね。
 男の子でも女の子でも同じ人間なんだもんね、そうだよね。

 うぅっ……本当にみうは私の自慢の妹だよ。
 かわいくて優しくて思い遣りもできて……みうのお姉ちゃんで良かった。

「ろ、ろっくん……気付いてそうそうだけど立てる?」
「えっ、う、うん。何とか大丈夫……」

「ごめん、ちょっとろっくん向こうに連れて行くね? くーちゃん達、みうをお願いできるかな」
「うん、いいよー」
「えーと何だか良く分からないけど……大丈夫だよ」

 私はろっくんに手を引っ張られて、プールサイドの奥へと連れて行かれました。


「みーちゃん……調子はどう? 大丈夫?」
「うん、大丈夫……察してくれたのね、ありがとろっくん」
「そりゃまあ今のみーちゃんは僕の身体だし……何かピクピクなってたものね」

 そうなんです……みい子ったら、みうに助けられてみうの事を考えていたら。
 また股間が大変な事になってしまっていたのです……。

「さすがに皆の前でこうなるのは恥ずかしいよ……」
「うん、だから慌てて連れ出して良かったよ……とりあえずさ、難しい事考えよ?」
「う、うん………」

 みい子ったら何でみうの事を考えるとこんな風になっちゃうのだろう?
 とりあえず今は難しい事を考えて落ち着けないと……。

「みーちゃん大丈夫?」
「うん、何とか。ねえねえろっくん、これがこうなる時ってどういう時なのかな……」
「うーん、言いづらいけどえっちな気分になったり、あとは好きな人の事を考えてる時とか」

「好きな人の事……?」

 断定しちゃうけど、みい子はえっちな事なんて全然考えてない。
 でも妹のみうの事を考えると最近は胸がドキドキして、下半身も大変な事になっちゃって……。

「うん、そうだよ」

「ろっくん……みい子、凄く大変な事に気付いちゃった」
「凄く大変な事……?」

「みい子ね……どうやら、みうの事が好きみたい」

「えっ? 好きって……姉妹だからだよね?」
「違うの……ライクじゃなくて……ラブなの」
「ら、らぶ? って……恋愛感情での好き?」
「うん……最近ね、みうの事が愛おしくて……みうの事を考えると」

「えーと、みーちゃんまた下半身が何だか……」
「あっ……も、もうっ! 男の子の身体も結構大変なのね……」

 みうの事を考えると私の身体の男の子が反応する。
 それはつまり紛れもなく、私がみうを恋愛感情として好きになってしまっていると言う事。
 それ以外には考えようがないと言う訳で……で、でもみうは妹だし女の子同士なのよ!?

「えーと……な、何て言えばいいのかな」
「大丈夫よ、妹なのに好きとか……明らかに私がおかしいって分かってる」
「おかしいだなんてそんな」

「お二人共ー大丈夫ですかー?」

 あ、未来ちゃんだ……お互い身体に合わせないとだね。

「未来ちゃん」
「大丈夫だけど、どうしたの?」

「2人が遅くて心配だから、おねえちゃんが捜そうかって」
「そっか、また心配掛けちゃったね。ごめんなさい」
「大丈夫なら良かったです。そろそろ戻りましょっか」

 私は未来ちゃんと共に皆の元へと戻りました。
 皆には心配掛けちゃったりもしたけれど、でもろっくんと2人きりでお話できて良かった。

 だって、私の本当の気持ちに気付く事ができたんだもの……。


「おにいちゃんが溺れた時は大変だったけど、でもプール楽しかったー」
「ごめんね、みうちゃん……」

 プールでの帰り道、くーちゃん達も交えて5人でお話をしながら帰ります。

「でもあの時のみうちゃん凄かったね。溺れたおにいさんを持ち上げちゃうなんて」
「火事場の馬鹿力みたいな?」

「本当何でだろうね、みうも必死だったからなのかな」

 今の私はろっくんであって男の子の身体だし、みい子の時より体重もある筈だよね。
 それなのに女の子であるみうが、ろっくんの身体を持ち上げちゃうだなんて。
 お姉ちゃんの事、想ってくれて必死になってくれていたのかな……。

「あれ、そういえば」
「んっ、なーに?」
「あ、いや、何でもないよ」

 そういえば……私が溺れて意識が途切れる直前、みうは私に「おねえちゃん」と言ったような気がする。
 溺れて意識が途切れ掛けてたから聞き違いだったのかな……今の私はろっくんだもの。
 それに万が一みうや周りに私達の事がばれちゃったら、色々と大変な事になる訳で。

 ろっくんにも良く言われているし、絶対周りに私達の秘密をばらせないもの。

「じゃああたし達はここでね」
「ばいばいー」
「学園からもこうやって一緒に帰れれば楽しいのにね」

 あ、もう2人とお別れの所まで来てたんだね。
 いつもは学園からだと方向的に帰る道が違うけど、今日はプールからなので途中まで一緒だったのです。

「そうだよね、でも方向的に全然道が違うものね……」
「まあしょうがないよね。じゃあまた明日」
「うん、また明日学園で」
「ばいばい」
「ばいばーい」

 くーちゃんと未来ちゃんは帰って行きました。

「ねえねえおねえちゃん」
「なーに? みう」
「おねえちゃんはもう授業の水泳も大丈夫そうだね?」
「うん、大丈夫……って、それどういう意味かな?」

「さあねっ?」

 何だかみうの言動を聞いていると……正直ばれちゃうんじゃないかと不安になってしまいます。
 でもばれたら私達だけじゃなくて、みう自身も大変な事になっちゃうのだし。
 どうしても周りに秘密をばらしちゃう訳にはいかないんだもの。

 やっぱりみうは薄らと夢の出来事を覚えていて、自分がそうやったと確信しているのかな?

「あっ……」
「どうしたの? おにいちゃん」
「えーっと……な、何でもないよ」

 ばれたりしたらみうも大変な事になっちゃうから……とみうの事を考えていた私。
 どうやらまた、私の男の子の部分が反応しそうになっているのです。
 本当に男の子の身体って不便でやーね……慣れれば制御もできるようになるのかな?

 性による身体の違い……そういえばろっくんは、みい子の身体だから生理だったよね。
 タンポンをしてまでプールに入ったけど大丈夫そうだったかな?

「じゃあね、おにいちゃん!」
「えっ……あ、もうここまで来てたんだね」
「うん、また明日だよ」

「じゃあね、今日は良く休んでね?」
「うん、ありがとう。また明日」

 お互いのおうちの分かれ道まで来て、今の私はろっくんだからそちらのおうちへ帰ります。
 元気良く手を振る妹のみう、優しく手を振る私の姿をしたろっくん。
 そんな2人を見届けつつ、私はろっくんのおうちへ帰って行きました。


「ねえ、おねえちゃん」
「なーに?」

 みーちゃんと分かれた後、僕はみうちゃんとお話をしながら帰り道を歩いてました。

「今日のアレ……大丈夫だった?」
「アレ……? あっ、アレだよね。すっかり忘れてたけど……」
「そうなんだ、忘れてたくらいならば普通に平気だったみたいだね」
「うん、タンポンって凄いんだね」

「ところでさおねえちゃん、プールから上がった後きちんと新しいのに取り換えた?」

「あ、使ってたのも忘れてたくらいだったから……」
「えーと、プールから上がったら絶対すぐに取り換えないとダメだよ? 生理の時は雑菌が入りやすいから」
「あ、そうだよね……生理の事、聞いた時に雑菌の事も言ってたよね」

「おねえちゃんの身体、なんだから……尚更さ」

「えっ、みうちゃん今何て」
「さっ、帰ろっかー! 早く取り換えないとダメだから急いで帰るよ!」
「あ、みうってば待ってよっ!」

 みうちゃんは急に駆け足になりました。
 プールが大好きなみうちゃんは、運動神経も良いようでそこそこ足も速いです。
 僕はそんなみうちゃんを頑張って走って必死に追い掛けます。

 みうちゃん……本当のところはどうなんだろう、やっぱり僕達の事……察しているのかな?


「ふぅ……これで一安心だね」

 帰宅そうそう僕はトイレで一安心していました。
 生理の方の処理を終えて、いつものナプキンに取り換えたのでもう安心です。
 そうだよね、みーちゃんの身体なんだから……女の子の身体の事、良く覚えなくちゃ。

『おねえちゃんの身体、なんだから……』

 みうちゃんの言う通り、自分の身体じゃないんだもの。
 その上只の他人ではなく幼なじみであるみーちゃんの身体、尚更大事にしないとだよ。

『コンコン』

 おや、ノックを叩く音が……みうちゃんかな?

「おねえちゃーん、大丈夫ー?」
「あ、みう。おねえちゃんは大丈夫よ」
「なら良かったー。ゆっくりでいいからねっ」

 みうちゃんはみうちゃんなりに、お姉ちゃんの異変に気付いて色々と心配してくれてるみたいです。
 只みうちゃんの中では、お姉ちゃんが最近突然倒れたりしておかしくなっている事になっているのか、それともやはり僕達の秘密を察した上での心配なのか……どっちなのかが少し気掛かりです。

 正体がバレちゃったら、みうちゃん自身も大変な事になりそうだもの。

 未宇ちゃんに相談でもできればいいんだけどね……。
 でも未宇ちゃんはみうちゃんの身体の負担を考えると、あまり表に出て来れないらしいよね。

「あら、少しくらいなら大丈夫よ?」

 と、トイレのドア越しに聞こえるみうちゃん……もとい未宇ちゃんの声。

「あ、えーっと……もう1人の、未宇ちゃん?」
「そうよ、何だか必要とされた気がしたから……ね」
「う、うん。えーと、今トイレから出るからごめんねっ」

 僕はトイレを済ませて、みーちゃんのお部屋へと戻りました。


 みーちゃんのお部屋に未宇ちゃんを招き入れて、2人でお話です。

「未宇ちゃん、もしかして僕の思っている事を読んだりでもしたの?」
「そんな事は無いわよ。私に心を読む魔法は無いもの。ただね……そろそろお話もしたいかなって」
「うん、そうだね。僕も色々と心配な事や不安な事が多いから」
「そうだよね、みうちゃんの中からずっと見てて、何だかそんな感じがしたもの」

「ずばりみうちゃんの事なんだけど……やっぱり僕達の事、察していたりするのかな?」
「さあ、同じ身体を借りてるだけで気持ちは別々だから……私にもそこまではね」
「でも未宇ちゃんの取った行動が、みうちゃんの記憶にも薄ら残るのだとしたら」

「みうちゃんとしては自分がやった事、のように錯覚する可能性はあるかもね」
「そうだよね……でも、みうちゃんや周りにばらしちゃダメなんでしょ?」
「そうよ、最初に言った通りだもの」

「うぅっ……じゃあどうすれば」
「どうするって何が?」

「あ、あれっ……みうちゃん?」
「ん、そうだけどどうしたの?」
「えーとえーと……な、何でも無いよ!」

 突然未宇ちゃんがみうちゃんに戻っちゃいました……。
 未宇ちゃんが少しなら大丈夫、って言ってたけどもしかしてもう時間切れだったのかな?

「何か今みう、凄い事を聞いちゃってたような気が」
「えっ、気のせいでしょ!?」
「そもそも何でみうったら、いつの間にかおねえちゃんのお部屋に?」
「えーと……な、何でなんだろうね?」

「……もう、誤魔化しがヘタね」

「えっ、何か言った?」
「ううん何でもなーい、じゃあみうはお部屋に戻るね」

 みうちゃんは何だかくすっと笑う素振りを見せて、自分のお部屋へと戻って行きました。
 ……何で今、くすっと笑ったのだろう。何で誤魔化しがヘタだなんて言ったのだろう。

 やっぱりみうちゃんは僕達の秘密の事……。


 そして次の日の朝の事。
 入れ替わってから数日経った事もあり、僕はそれなりに慣れた手付きで朝の準備を済ませて学園へ。
 生理の処理だってきちんとできたけど……何だか男の子であった自分が遠ざかって行くような気がする。

 今の僕はみーちゃんであって、本当に女の子なんだ……と実感させられてしまう。
 一方僕として男の子になってしまったみーちゃん、朝の準備などはいつも大丈夫なのだろうか。
 だって男の子は男の子で、朝はまた女の子と違う大変さがあったりでね……。

 ……みーちゃん、絶対戸惑っていそうな気がします。

「おはよう……」

 と、そんな事を考えていると、僕の姿をしたみーちゃんがやって来ました。

「おーはよっ、って何だか元気無いね?」
「う、うん……ちょっとね」
「何か悩み? えーっともしかして……朝の股間のアレの事とか?」

 僕はさっきまでそういう事でみーちゃんが戸惑っているかもしれない、と考えていて。
 なのでついついそのような事を口走ってしまったのですが……。

「ち、違うよっ! も、もうろっくんったら……」
「ご、ごめんっ。それと私はみーちゃんね!?」
「あっ……ご、ごめんなさい。みーちゃん」

「おねえちゃんがろっくんなの?」

「わっ! み、みうちゃん!?」
「は、早いねー……あははははー」

 朝の家事などをやっていた筈のみうちゃん。
 僕はいつも先に家を出るから、みうちゃんはまだ来ない筈だったのだけれど……。

「えへへっ、たまにはみうもゆっくりと一緒に登校したいからね。家事急いじゃった」
「そ、そうなんだ。もし大変そうだったら私も手伝うよ!?」
「大丈夫だよ、みうの役割だから。その分おねえちゃんは自分を大事にして?」

「う、うん……?」

 自分を大事にして、か……どういう事だろう。

「そういえば何だか今日のおにいちゃん、元気無いみたいだけどどうしたの?」
「うん、私もそれ気になってる」

「えっとね、あのね、昨日あれから色々と考えたんだけどね……」
「昨日ってプールの時の?」
「うん、みうに助けられてね……気付いちゃったんだ」

「えーっ、何かな何かなー? みうの凄さにでも気付いたのかなー?」
「えーっとね……私、みうの事が、好き。大好き」
「えっ、みうの事を好きなの?」
「うん、もう大好きで大好きでみうの事を考えると愛おしくなるの」

「……おにいちゃんさ、嘘だよね?」
「えっ、嘘って……?」
「だってさ、おにいちゃんが好きなのはおねえちゃんなんでしょ?」

「えっ……」

「なのにおにいちゃんがみうの事を好きって……」
「えっ、私は本当にみうの事が……」

「みうちゃん、お姉ちゃんは本当にみうちゃんの事が……」
「えーと、お返事は放課後まで待ってもらっていいかな? それと2人共……」

 みうちゃんが何だか深刻な顔になり……そして発した一言。

「ボロ、出ちゃってるよ?」

「えっ……」
「あっ……」

「ともかく放課後まで待ってね? きちんとお返事するからね」

「う、うん……ね、ねえ」
「今は何も言わなくていいからね。じゃあみう、今日は先に行ってるね」
「あっ、みうちゃん……」

 みうちゃんはそう言うなり、早足で先に学園へ行ってしまいました。

「みう、一緒に学園行きたいからって言ってたのに……うぅっ、私のせいかな?」
「いや、みーちゃんは悪くない……それよりもさ」
「うん、どう聞いてもそうだったよね……」

「みうちゃんに、確実に僕達の事バレてたみたいだね……」
「どうしよう、私達だけじゃなくてみう自身も大変な事になるんじゃ」

 みうちゃんにはやはり僕達の秘密がバレてしまっていたようなのです。
 色々とボロが出てしまっていたから……?
 それともみうちゃんが、未宇ちゃんの記憶絡みでそう思い込んでいたから?

 ともかくこの状況は、何だかとてもまずいような気がするのです……。


「ついにこの時が来ちゃったのね……もう、お別れなんだね」

 一方、先に学園へ向かってしまったみうちゃん。
 この後3人にどのような展開が待ち受けているのか……僕にはまだ知る由もありませんでした。

「できればいつまでも皆と一緒に居たかったけど……」

 溜め息をついたみうちゃんは、つぶやきながら初等部へと入って行きました。


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  • 最終更新:2018-02-10 00:38:08

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