第5話:エムピ星の地球人

 魔法少女 The Reboot 第5話:エムピ星の地球人

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「うぅっ……やっぱり僕、超能力者になんてなれないよー!」

 それは未来ちゃんが魔法少女になる、少し前の出来事。

「まあそう嘆くな、ツキ」

 ツキと呼ばれた男子生徒は、どうも超能力者としての才能が無いようで嘆いていました。

「やはりツキの場合、心の事情で不具合が出るのだろうか」
「それとも元地球人だから、いくら魔法を掛けてもらっても完全にエムピ星人として順応できないのかな……」

 今ではすっかりソラさんの同級生で、度々ソラさんに助けられている高1男子のツキ君。
 実はこのツキ君、元は地球人だったのです。

「しかしツキが時空の乱れに吸い込まれて、この星に飛ばされてからもう大分経つな」
「うん、仮にもう今更帰れたとしてもねぇ……さすがにもうこの星の住人のままでいいかなとも思っちゃうよね。でも超能力の件は別!」

「ツキが地球人だからなのか、それとも心の問題なのか、どうなんだろうな。まあ後者な気はするが」

 元地球人のツキ君は時空の乱れに吸い込まれて、遥か彼方の地球からこのエムピ星へ飛ばされて来ました。
 最初は色々戸惑ったけれど、偶然出会ったソラさんに色々と助けられたのです。
 精霊のリリに協力してもらって住居の確保、エムピ星へ順応できる体質への変更、学園への編入手続きなど。

 そしてツキ君は見事元地球人のエムピ星人となりましたが、この事実を知る者は援助に関わった極一部の者しか居ません。
 しかし何処かで噂が流れたようで、ツキ君との特定はともかくとして元地球人のエムピ星人が居る、との噂は広まっていたようです。

 更にこれも知る者は本の一部しか居ませんが、ツキ君はこの星へ来た当初……。


「え、君は男だったのか!?」
「はい……今は何故か女の子ですけど、元は男の子です」

「ソラ、多分こういう事だにゃ。時空を越えるには男性より女性の方が精神力も強く、肉体が安定するんだにゃ。恐らくその過程でこの子の男の子の情報は、欠片となってあちこちの星へ飛び散ってしまったんだにゃ」

「なるほどな、それで君から男の部分が抜けてしまい、女の子としてこの星へ着いてしまった訳か……」

「僕には良く分からないですけど……でも僕、いや、あたし、いいです。女の子のままでも、いいです」
「何故だ? 君は元々男だったじゃないか」
「実はあたし……どうも心は女の子のようで、ずっと女の子になりたかったんです。男の自分に違和感を覚えていまして……」

「なるほどだにゃ。これはいわゆる性同一性障害と言うものだにゃ」
「性別に違和感があったと言う事か。しかしだな、君……いや、その前に俺はソラ。こっちは精霊のリリだ。君の名は?」
「あたしの名前は月です」

「ほう。今はツキちゃん、でいいのかな? それでツキちゃん、この星は地球と違って超能力と魔法で溢れているんだ」
「え、超能力と魔法、ですか?」

「そうだな、地球人からすれば少し近未来的に思えるかもしれないな。でもこの星ではそれが普通なんだ」
「だからツキちゃんもこの星に来たからには、この星の体質に合わせないと身体がどうなるか分からないにゃん」

「つまりそれって、どういう事ですか?」
「せっかく女の子になれて申し訳ないが、君をリリの魔法で男に戻す」

「え、何故ですか……?」

 ツキちゃんはソラさんの言葉を聞いて、動揺を隠せないようです。

「良く聞いてくれ。この星に来たからには、恐らくそう簡単に地球へは帰れない。仮に帰れるとしても、俺がある程度大きくならないと送り届けられないだろう。だからツキちゃんもエムピ星に合った体質になる必要がある」
「でもだからって、それと男に戻る事には何の関係が……」

「この星の女の子は、12歳頃になると体内で魔力が生成されるんだにゃん。それは常に星の影響を受けての事だから、絶対なんだにゃん。でも地球人の君が今の状態でこの星の影響を受け続けると、正常に魔力が生成されるか分からないにゃん」
「つまりは危険に晒されるかもしれない、と言う事だ」

「そんな……あたし、せっかく女の子になれたのに」

 ツキちゃんは大分落胆しましたが……。

「なーに、大丈夫さ。俺が超能力者になった頃には、恐らくリリの魔法を解く事もできる。もし安全だと分かったら、ツキちゃんが望むならいつでも解いて女の子にしてやるさ」
「え、本当ですか!? ありがとうございます!」
「そういう訳だから申し訳ないけど、今はまた男で我慢するにゃ……じゃあ早速魔法を掛けて男に戻ってもらうにゃん」


「で、僕、結局男に戻って大分経つよね。でも超能力者としては大分落ち零れだよ……進学試験も落ちちゃったもの」
「まあ心配するな。恐らくツキの超能力が落ち零れなのも、ツキの心が女の子だからなのかもしれないな。これを機にそろそろ女の子に戻ってみるか?」

「え、ソラさん! 僕、女の子に戻ってもいいの!?」

「まあ元が男だから戻る、と言う言い方も少しおかしいかもしれないがな……」
「是非お願いしたいよ! でもソラさん、僕が女の子になるのは安全なの?」
「実はツキが女の子に戻ると、ちょっとした副作用が起こるかもしれないんだ」

「副作用って……?」

「この星の女の子は12歳頃になると魔力が生成される。それはもう知ってるよな?」
「うん、知ってるよ?」
「でも今のツキは16歳だ。そして今年で17歳を迎える。そんなツキが急に女の子になっても、17歳の女性相応の魔力を生成するには身体が耐えられないかもしれないんだ」

「え、じゃあつまり……危険かもしれないって事?」
「いや、違うんだ。恐らくだが、ツキの身体が縮む」
「へ? 縮むってどういう事!?」

「魔力を生成する身体に順応する為、それ相応の年齢になるかもしれないんだ。つまり12歳付近だな」
「12歳くらいの女の子になっちゃう、と言う事?」
「そういう事だな。今はもうリリも地球へ行ってしまったから、確認は取れないが……恐らくな」

 それを聞いてツキ君は少し考えましたが……。

「うん、僕それでもいいよ! それに12歳って、ソラさんの妹さんと同じくらいだよね? ならば魔法少女だって一緒にできるかもしれないじゃない!」
「うむ、そうだな。もし仮にリリの魔法を解いて女の子になれたとして、本当にそうなってしまったら。ちょうどルナと一緒に魔法少女を頑張るのも良いかもな」

「じゃあ決まりだね! ソラさん! 早速僕を女の子にして!」

 こうして元地球人だった月君もといツキちゃんは、エムピ星の魔法少女として念願の女の子になれたのです。


「ツキと言います。宜しくお願いします……」

 新学期のエムピスクール高等部超能力科には、ツキ君の姿はありませんでした。
 代わりに小学部6年生の教室に、少し緊張気味な12歳の女の子が居ました。

 彼女こそがリリの男性化魔法をソラさんに解いてもらい、再び女の子となったツキちゃんなのです。
 一部の関係者を除き、ツキちゃんが元は高等部の男性だった事も、地球人だった事も知りません。


「ツキちゃん宜しく!」
「宜しくね、事情は聞いてるから安心してね。困った事は色々と言ってね」
「うん、ありがとう。ルナちゃん……未来ちゃん」

 ルナちゃんはお兄さんのソラさんから、未来ちゃんはルナちゃん経由でツキちゃんの事情を聞いていました。
 ツキちゃんは2人と同じ学年になって同じクラスへ編入となり、ソラさんが2人に協力を頼んだのです。

「ツキちゃん、大丈夫? 少しぎこちないけどやっぱり不安かな?」
「えっとね……こんなあたし、気持ち悪くないのかなって」
「ツキちゃん、気持ち悪いって何で!?」

 ルナちゃんがツキちゃんに尋ねます。

「だってあたし、元は男の子だったんだよ? しかも高校生で本当は年上で……」

 すると未来ちゃんが、ツキちゃんに対してこう言いました。

「ねえツキちゃん、性別とか元の年齢ってそんなに大事かな?」
「え、だって……高校生だった男が小学生の女の子として溶け込むなんて、普通は……」

「でも今はツキちゃん自身の意思で、こういう状況になったんだよね? それに身体も心も女の子なんだよね? 何か問題あるかな?」
「で、でもー……」

「あのねツキちゃん! 未来ちゃんは受け入れてあげようって言ってるのよ! あーだこーだ言わないで素直に好意を受け取りなさい! それに私だってその意思は同じなんだから! 何しろお兄ちゃんの頼みだからね」

「ルナちゃん、私、受け入れてあげようだなんてそんな上から目線じゃないんだけど……普通に協力するよ。逆の立場だったら、私だってそうしてほしいもの」

 それを聞いてツキちゃんは安心したようです。

「本当にこんなあたしでも大丈夫なの? 2人に迷惑掛けちゃったりしない?」
「大丈夫だってば! 私達にまっかせなさーい!」
「迷惑なんて好きなだけ掛ければいいよ。助け合うのがお友達ってものでしょ?」

「こんなあたしでもお友達、って認めてくれるんだ……嬉しい!」

 ツキちゃんは2人にお友達と思われたようで、心が温かくなりました。

「だからツキちゃんはもっとね、今の自分に自信を持って? 12歳の女の子でしょ? 私達とおんなじでお友達だよ」
「そうそう! だからちゃんと仲良くしてあげるんだから! お兄ちゃんの手前ね!」

「ルナちゃんはやたらソラさんの頼み、を強調するような気がするけど……本当に大丈夫なのかなー」

「ルナちゃんはね、少し素直になれない面がある子なのよ。でも本心は優しいから大丈夫よ」
「ちょ、未来ちゃんってば何言うの!? 私は本当にお兄ちゃんの頼みだから! 仕方なくお友達になってあげるだけなんだからね!?」

「はいはいルナちゃん、そういう事にしておけばいいのね?」
「ち、違うのよ! 本当に仕方なくなんだからー!」

「ルナちゃんってツンデレタイプなのかなー……?」

 こうしてツキちゃんは2人に受け入れられ、その後順調にクラスへと溶け込んで行けたのです。


 そしてそれから4ヶ月後の事、エムピスクールは8月となり夏休み中です。

「ツキちゃん、それじゃあまた遊ぼうね!」
「うん、ルナちゃんありがとうね!」

 ツキちゃんは元男の子ですが、心の事情もあってなのか今では普通に女の子慣れしています。
 嘗てルナちゃんの周りに居た仲間達は地球へ旅立ってしまい、更にみうっちも失ってしまいました。
 今ではこの星でルナちゃんと関わりがあるのは、お兄さんのソラさんとお友達のツキちゃんくらいです。

 ルナちゃんはツキちゃんをきちんと1人の女の子として見て、良く一緒に遊んだり魔法の事を教えたりしていました。

「はー、今日もたっくさん遊んだー。それにしてもツキちゃんって、本当に元はお兄ちゃんと同級生の男性だったのかな? そうとは思えないくらい普通に女の子よね」

 ルナちゃんはそんな事を思いながら、家への帰り道を歩いていました。

 するとその途中、ルナちゃんは何だか不安そうにしている女の子を見掛けました。
 その子は赤いキュロットスカートが似合っていて、ショーケースを見つめながら何だか深刻そうな表情をしています。

「何だろう、何だか只ならぬ雰囲気を感じる……声を掛けてあげるべきかな?」

 多くの仲間がエムピ星を出てしまった事で、ルナちゃんは少しでも多くのお友達が欲しいと思っていました。
 もしかしたら声を掛ければ仲良くなれるかもしれない、彼女はそう思い声を掛けてみたのです。

「ねえねえ、あなた、どうしたの?」
「えっ? 誰……?」
「私? 私の名前はルナ。宜しくね」

「ルナちゃん……宜しく」

 声を掛けられた女の子は、何だか少しホッとした様子でした。

「いきなり声を掛けてごめんね。何だか不安そうな顔をしてたから……えっと、あなたは?」

 こうしてルナちゃんは1人の女の子と出会い、この後彼女の運命は大きく変わる事になるのです。


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  • 最終更新:2018-02-09 15:26:42

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