第4話:おかしな2人

 幼なじみなう 第4話:おかしな2人

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『キーンコーンカーンコーン』

 僕とみーちゃんが入れ替わってしまってから3日目のお昼休み。
 僕はみーちゃんと一緒に、いつもの購買部に来ていました。

「おねえちゃん! おにいちゃん!」

 そしていつものように購買部で、みーちゃんの妹であるみうちゃんとも出会います。
 一見いつもと何ら変わらない光景に見えますが、ただ明らかにいつもと見掛け的にも違う事がありました。

「おねえちゃんとおにいちゃん、今日もパンが逆なんだ?」

 購買部で僕が買ったパンは焼きそばパン、みーちゃんが買ったパンはあんぱんでした。
 客観的に観ればみーちゃんが焼きそばパン、僕があんぱんを食べるようにしか見えません。

「「だってこれだけは誰にも譲れないもんー」」

 入れ替わってしまってからは周りに不自然に思われないように、僕達はお互いになりきっていたけれど……でも、このお昼の楽しみだけは譲れないのです。

「何だか最近の2人って、少し変?」
「えっ、そんな事無いでしょ? みい子が焼きそばパンでおかしい?」
「僕だってあんぱんくらいは食べるよ……」

「んーまあ普通に考えれば、そーだよね?」

 普通に考えれば、いつも食べている物と必ずしも同じでない事だってあります。
 しかし僕らの場合、僕が焼きそばパンでみーちゃんがあんぱんと言うのが定着し過ぎなようで。
 なのでみうちゃんから取って、お互いの持つパンが逆になってる光景は随分と違和感のようです。

 中身で見れば正しいけれど、外見的に観ればどう考えても持っているパンが逆だものね……。

「それよりみうも早く買っておいでー」
「あ、そうだね! めろんぱんが売り切れちゃったら大変だぁー!」

「みうったら今日も元気だね」
「そうだね、みうちゃんのパワーはすごいね」

 みうちゃんはめろんぱんを探しにパン売り場へと行きました。


「えーと10円玉がー……あれー昨日入れた筈なのにー」

 お金を払う際、みうちゃんは何だかトラブってるようです。
 僕は昨日知ってしまいました、みうちゃんが2日に1回ペースで10円玉を忘れてくる理由を。

「はぁ、もうしょうがないんだから……」

 みーちゃんは少し困ったような表情を見せつつ、みうちゃんの元へ行きました。
 昨日のみうちゃんの言い様によると、恐らくみーちゃんもその理由を知っている筈です。

「あははははー……」

 僕は何だか苦笑いをするしかありませんでした。

 でもみうちゃんっていつも朝は忙しかったり10円玉をちょくちょく忘れたり、凄いドジっ娘なのかと思ってたけれど……みーちゃんになって側に居ると色々な面が見えて。

 実はみうちゃんって本当は凄くしっかりしてるんじゃないかな、と思ってしまいます。
 昨日だってみーちゃんの異変に気付いたんだものね……。
 そのおかげでみーちゃんの気持ちを明るくする事ができたんだものね。

 身体が違っていてもやはりさすがは姉妹、と言う感じもします。

「みうちゃん、はい10円」
「おにいちゃん、ありがとう!」

 10円玉が足りなかったみうちゃんは、無事にめろんぱんを買えたようです。

「ろっくん、ごめんねぇ……」

 一応僕はみーちゃんの立場として謝っておきました。

「まあいつもの事だもんね……」
「あははははー……」

「えーっ、何でおねえちゃんまで苦笑いするのー?」

「さあね……じゃあ中庭へ行こうか」
「うんっ!」

 僕達3人はいつもの中庭へと向かって行きました。


「あ、そーいえばろっくん。明日のプールだけどみうもいいかな?」

 僕は焼きそばパンを片手にみーちゃんへ問い掛けました。

「みうちゃんも来るの? 勿論大丈夫だよ」
「わーいやったー! おねえちゃんとおにいちゃんでプールだー!」
「もうみうったら。お口からめろんぱんをぽろぽろこぼす程はしゃいじゃって」

 みうちゃんは僕達と一緒のプールが余程嬉しいみたいです。

「あ、でもそういえばおねえちゃんさ……おにいちゃんも居る前で言い辛いけどさ」
「なーに? あ、もしかして……ま、まぁろっくんも察してるだろうからいいけど」
「うん、今アレだよね? プール、大丈夫なの?」

「そうだよね、そういえばアレじゃちょっと厳しいよね……みーちゃん」
「う、うん?」

「今日は放課後薬局に寄るよ」
「えっ、薬局?」
「うん、アレでもプールへ入れるようになる魔法のアイテムを買うのです!」

「そ、それって……みうがどーしてもアレの時でもプールに入りたくて使ってるあの伝説の……」
「そ、そんな凄い物が……」
「えっ、おねえちゃん分からないの? 本当におねえちゃん、何だか少し変だよ?」

 え、えーと……女の子だったら知ってて当たり前の物だったのかな……。

「え、えーと……多分昨日また倒れたせいかも」
「おねえちゃん……心配だから病院で診てもらった方が」
「だ、大丈夫! 普通に知らなかっただけだから!」

「た、多分みーちゃんは大丈夫だよ」
「んー、まあおにいちゃんがそう言うなら……でも、普通に知らなかったの?」

「あ、あぅっ………」

 明らかにみうちゃんに不振がられてるけど……でも知らない物を知ってるようには対応できないもの。

「おにいちゃんですら知ってた事なのに、ね」
「あははははー……」

 一体どんな凄いアイテムなのだろう……。

「まあ帰りに薬局へ行けば分かるから。みうも付き合うよ」
「じゃあ帰りは薬局へ寄って行こー!」
「いえーい! って、何だかおにいちゃん、今日はおねえちゃんみたいなノリだね?」

「えっ、そうだった、かな?」
「うんうん、一瞬おねえちゃんかと思っちゃったもん」

「えーと、もしおねえちゃんだったら?」
「うーん、そう言われると何て言えばいいのかな?」

「あははははー……」

 みーちゃん……そういう危ない問い掛けは止めとこうよ。
 早くみーちゃんには周りに知られちゃったらどうなるか、教えとかないとかな……。
 申し訳ないけど少しみーちゃんにも危機感を持ってもらわないと。

「「ごちそうさまでしたー」」
「ごちそうさまー!」

 僕達はお昼ご飯のパンを食べ終わりました。
 さて面倒だけど、僕はそろそろトイレへ行っとかないとかな……。

「ちょっと私、おトイレ行って来るね」
「あー……う、うん。行ってらっしゃい」

「おねえちゃん、今日はちゃんと替えはあるよね?」
「うん、昨日懲りたからね……」
「じゃあ行っておいで!」

 僕はアレの関係で3階の女子トイレへと向かいました。


 そんなろっくんの後ろ姿を見送りつつ、みい子はみうと2人きりになりました。
 みい子の身体がアレだったから……ごめんねろっくん、大変な思いさせちゃって。

 そういえばろっくんやみうから聞いてないけど……昨日やっぱり何かあったのかな?

「ねえねえみうちゃん。昨日あの後何かあったの?」
「あの後って昨日の今頃の事?」
「うん、みーちゃんが心配で様子を見に行ったよね」

「うーん、男の子のおにいちゃんには少し話し辛いけど……おねえちゃん、替えを忘れてたみたいなの」
「えっ、替えが無かったんだ? 大変だったね……」

「でもみうのを分けてあげたから大丈夫だったよ」
「そ、そっかー……ありがと」
「いいよいいよ別に。でも何でおにいちゃんがありがとなの?」

「えっ、そ、それは……みーちゃんを助けてくれたから?」
「あ、そういう事だよね。てっきりおにいちゃんがおねえちゃんのつもりで言ってたのかと」

 あぅっ……本当はみい子なんだけどね。

 それにしてもみうは本当に優しい。
 急にみい子の身体になってしまって困っているろっくんを助けてくれて。
 優しい妹のみうはみい子に取っての自慢だよ。

 優しいみうの事を想うと、とても温かい気持ちになれる。

「ねえねえおにいちゃん」
「ん、なーに?」
「みうね、最近変な夢を見たんだ」
「えっ、変な夢?」
「うん、その夢だとみうは不思議な力が使えてね」
「えーと、それって……」

「おにいちゃんとおねえちゃんの心を入れ替えちゃったりしてたの」

「えーと……」
「でも夢のお話だからね!?」
「う、うん、そうだよ。あくまで夢のお話だよね!?」

 みうはやはり未宇ちゃんの間の記憶を薄らと覚えているのかな……?

「でも何でだろう、それからなんだよね」
「えっ、何が?」
「みうがおかしいのだろうけどね。時々2人が逆に見えちゃう事があるの」

「え、えーと、でも入れ替えちゃったのって夢でのお話だよね?」
「うん、分かってる。分かってはいるけれど……時々おねえちゃんがおにいちゃんに思えたり」

「みう……」

 何だかみうに隠し通したり2人だけの秘密にしたり……。
 そういうのってみうの気持ちを考えると凄く申し訳無いのかな、と思ってしまう。
 みうは薄らと記憶がある感じもするし……あくまで夢だったと思い込んではいるみたいだれど。

 お姉ちゃんとして……妹のみうにはちゃんと話しておいた方がいいのかな?

「昨日のおにいちゃんの泣き顔がおねえちゃんに見えたりね。あとパンの事もそうだけど」

「あ、あのね。みう」
「生理の件もおねえちゃんが知らないのは不自然だなって。えーと、何? おにいちゃん」
「実はね、僕とみーちゃん……いや、私とろっくんは今ね……」

「お、居た居た六ー。わりぃちょっと付き合ってくれよー」
「えっ、悪友さん!?」

 私がみうに本当の事をお話しようとしたら……。
 そこへちょうどろっくんの悪友さんが現れたのです。

「ゲーム対戦で1人足りなくてさ。六ーお前埋め合わせでやってくれよー」
「えっ、えーと僕は……あっ、ちょ」
「えーと君は顔似てるけどみい子ちゃんの妹さん? わりぃけどちょい六借りて行くなー」

 ちょー……みうにお話しなくちゃいけないのにぃ。
 みい子はろっくんの悪友さんに引っ張られて行き、教室へと強制連行されてしまいました……。

「おねえちゃん、何話そうとしたのかな? それにおにいちゃんが私とろっくんは今、って言ってたけど……」

 その場に残されたみうちゃんは色々と考えていました。

「おにいちゃん、最近時々自分の名前呼んだり私って言ったりする事があって。何だかまるでおねえちゃんみたい……」


「ふー、今日は大丈夫で良かった」

 まだ女の子の身体になってしまって3日目と日が浅いけれど、家でもやってるし昨日も同じ場所で取り換えたのでさすがに段々と慣れてきます。

「さてと、みーちゃん達待ってるだろうしまた中庭へ戻って……」

 と僕が思っていたら、入口から聞き慣れた声がしました。

「おねえちゃん居るー?」
「え、みう? 今日も来てくれたのかな。私は大丈夫だよ」
「あ、違うの。ちょっと別件でね……もうトイレ出られるかな?」
「うん、大丈夫だけど……別件?」

 ちょうどナプキンを取り換え終わった僕。
 トイレの個室から出てみうちゃんのお話を聞きました。

「うん、誰も来てないから大丈夫だよね……えーとね」
「あ、もしかして君は未宇ちゃんかい?」
「うん、もう1人の未宇の方よ。えーと、実はさっきね……」

 みうちゃんはみーちゃんと一緒だった筈だけど……何かあったのかな?

「みい子ちゃんがみうちゃんに入れ替わっている事を打ち明けようとしちゃってね」
「えっ、そうなの?」
「うん。もしみうちゃんに聞かれたら大変な事になっちゃうものね……」

「う、うん。夢の中で僕にそう言ったよね? それで大丈夫だったの?」
「たまたまろっくんの悪友さんが近くに居てね。上手く引き寄せて話を中断させたよ」

「そ、そっかー……良かった」

 僕はひやひやしていましたが、話が中断されたと聞いてホッとしました。
 だってみうちゃんに知られてしまったら僕達は……。

「でもね、油断はできないからね」
「うん、分かってる」

「みうちゃんの中では、色々薄らと私の状態の記憶が残っちゃってるみたいなんだ」
「どうもそうみたいだよね……」
「だからみうちゃんを混乱させない為に、私も多くは表に出ないようにしてる。でも今回はちょっと危なさそうだったからね。緊急でみうちゃんの意識を私が遮ったの」

「なるほどね、それで今は未宇ちゃんなんだね?」
「うん、そうすればきっと記憶が曖昧になってくれると思うの。でもみうちゃんの身体に負担を掛けちゃうから……できればあんまり出たくなかったけどね」

「そっか……みーちゃんには早く色々な事を伝えないとだね」
「うん。誰にも聞かれないようにする為に大変なのは分かるけど……極力急がないとね」
「うん、忠告ありがと。できる限りどうにかみーちゃんへ伝えられるようにしてみるよ」

「うん、宜しくね。2人の為にも、そしてみうちゃん自身の為にも……」

 未宇ちゃん……助けてくれてありがとう。

「えーと……みう、今おにいちゃんと何か話していたっけ」
「あ、みうちゃん?」
「うん? おトイレへ来た事までは覚えているけれど……今何やってたんだっけ」

 どうやらいつものみうちゃんに戻ったようです。

「そういえばさっき、おねえちゃんが中庭で何か言ってたような……」
「えーと……きっと気のせいだよ?」

「……そうだったかな? 良く思い出せないしまーいいや」
「うん、そうだよ。思い出せない程ならそれはそれ程大した事じゃないよ」

「そうかな? おねえちゃんいつもだったらそんな事言わないと思うんだけど……まあいっか」

 今の返し方はちょっとまずかったのかな……。

『キーンコーンカーンコーン』

「あ、チャイムが鳴っちゃった」
「教室に戻らないとだねー。今日はプールが無いからつまらないよー」
「明日になれば3人でプールだから。だから授業も頑張ろっ?」
「そーだね。みう、明日が楽しみ!」

 僕達はそれぞれ教室へと戻って行きました。

 それにしてもみうちゃんは薄らと、僕達の違和感に気付いているようです。
 未宇ちゃんの助けもあったりでどうにかなってはいるけれど……。
 みーちゃんが時々そわそわしてたりで、不振に思われちゃう事は結構あるのかな。

 できる限り早くみーちゃんともお話しないと……。


「うぅー、みーちゃーん……」

 教室へ戻るなり、へとへと顔のみーちゃんが声を掛けてきました。

「無理やり悪友さんに慣れないゲームに付き合わされて大変だったよぉ……」
「あららー……それはご苦労様でした……」

「次の授業何だったっけー……えーと国語だっけ?」
「うん、そうだったよね」
「じゃあ僕戻るねー……」

「あ、待って。ろっくん」
「えーと、なーに?」

「今日学校が終わったら……ろっくんのおうち行ってもいい?」
「うん、いいけど。お話かな?」
「そういう事だよ。じゃあまた後で」

 僕達はお互いにそれぞれの席へと戻りました。


 残り時間の授業も終わって放課後となり、僕達は3人で帰路に着きます。
 でも今日はこれから薬局へ寄って、更に僕のうちでみーちゃんとお話もしないと。

 みーちゃんに早くお話をしないと不安だものね……。

「さーて薬局屋に着いたよ! それじゃあ早速買ってこよーっ!」
「あ、あのさ。僕……外で待っててもいいかな? みーちゃん、みうちゃんと行っておいで」

 あ、そっか……アレに関係する物らしいものね。
 僕の姿じゃみーちゃんもさすがに一緒には来づらかったかな……。

「うん、分かった。ごめんねろっくん」
「じゃあおにいちゃんを待たせちゃうと悪いし、早く買っちゃおう!」
「行って来るね」

 僕はみうちゃんと共に店内へと入って行きました。
 一体どんな魔法のアイテムが待っているのだろう……。


「さすがにこの格好じゃ……一緒に着いて行くのはあれだよね」

 ろっくんとみうが店内へと行ってしまって。
 みい子は男の子であるろっくんの姿なので、外で2人を待ってます。

 正直ろっくんをプールに誘ったまでは良かったけど、生理の事まで考えていなくて。
 ただ体育の水泳で困っちゃわないように、授業前に慣れておいた方がいいかなと思って。

 タンポンを買う為に「薬局へ行こう」と言ったまでは良かったけど……。
 きっと2人で来てたらろっくんの姿だし、みい子は一緒にコーナーへ行けなかったかも。
 そしたらみうがろっくんと一緒に買いに行ってくれて。

 みうが居てくれて本当に良かったよ。ありがとう、みう。

 みい子の中ではろっくんを助けてくれる優しいみうの気持ちが溢れて、日に日にみうへの温かい想いが強くなっている感じがします。

「いつでも優しいみう、大好きよ」

 そういえばみうは……みい子達を入れ替えちゃった夢を見たと言ってたよね。
 きっとそれは未宇さんの記憶を曖昧に覚えていたのだと思うけど……。
 みうはもしかしたら、みい子達の事を勘付いてきているのかもしれない。

 ろっくんとお話する時、その事は言っておいた方が良いのかもしれないね。


「このコーナーは一体……」
「何って生理用品のコーナーだよね、何でおねえちゃんそんなにきょどってるの?」
「え、別にきょどってなんかは……」

「何かおねえちゃんおかしいよね、まるで女の子とは思えない反応……」
「ど、どう見ても私はみうちゃんのおねえちゃんでしょ?」

「おねえちゃん、いつもみうの事"ちゃん付け"なんてしてたかな?」
「あ、聞き間違えじゃないかな!?」

 僕は何だか不振がられた事で少し焦ってしまったようで、ボロが出てしまったようです。
 でもみうちゃんには絶対に知られる訳にはいかないんだ、だって知られてしまったら……。

「ふーん、そうだったかな。まあいいや」
「きっと昨日も倒れたから……」
「おねえちゃん、本当にお医者さんで診てもらわなくていいの?」
「た、多分大丈夫だよぉ……」
「うーん、やっぱりみうのせいなのかな」

「えっ? みうちゃんのせいって何で……」
「あっ、何でもないよ。それより早くタンポン買っちゃお」

 みうちゃんのせいって……みうちゃんは薄々勘付いているのだろうか。

「えーと、ところでタンポンって何?」
「それこそが生理中でもプールへ入れる魔法のアイテムなのです!」
「へぇー、そうなんだー凄ーい」

「おねえちゃん、本当にタンポン知らなかったの?」
「え、えーと……うん」
「でも前みうが生理の時、一緒にタンポン買いに行ってくれたよね?」
「えっ、そ、そーいえばそーいう事もあったような?」

「おねえちゃんは……本当におねえちゃんなの?」

「えっ、どうみてもそーでしょ……」
「みうね、何だかおねえちゃんやおにいちゃんがおかしい心当たりがあるの」
「心当たりって……」

「さーてタンポン買って早くおにいちゃんの所へ戻ろ!」
「えっ、みうちゃ!?」

 僕はみうちゃんに急に腕を引っ張られ、店内の会計へと引っ張られました。
 みうちゃんは確かに「心当たりがある」と言ったよね……?


「おにいちゃんお待たせ!」
「お待たせしましたー」

「2人共お帰りー。買えたかな?」
「この通りバッチリだよ! 前おねえちゃんが一緒に買いに行ってくれた時のと同じのだよー」
「そういえばそんな事もあったね」
「うんうん―! ……あれっ、何でおにいちゃんが?」

「えっと、あ、多分私がそれ教えたの」
「あれー、おねえちゃんはおねえちゃんで忘れてなかったっけ……まあいいや」

 みーちゃんもみうちゃんに流されてついつい……って感じかな。
 でもね、みうちゃんに僕達の事が知られちゃうと本当にまずいんだ……。

 だから一刻も早く、みーちゃんには伝えないと。

「今日はみうは先に帰ってて」
「えっ、おねえちゃん何か用事?」
「うん、ちょっとね」

 いつもの分かれ道、今日は僕のうちでみーちゃんとお話をします。
 なのでみうちゃんを先にみーちゃんちへ帰そうとしたのですが……。

「この分かれ道でって事は……おねえちゃん、おにいちゃんのおうちにでも行くの?」
「えっ、まぁ……うん」
「そうなんだー。みうも行きたいなー」

「ごめんみうちゃん。ちょっとみーちゃんと大事なお話をしたくてね」
「大事なお話? みうにも教えてよー」
「みう……ご、ごめんねっ?」

「じゃあみうちゃんは帰ってね。行くよろっくん」

「あっ、おにいちゃんおねえちゃん……大事な事でも大抵お話してくれるあの2人がみうに言えないって。それに今もまたおねえちゃんが"ちゃん付け"だったよね……やっぱりあの2人、何だか変だよ……」

 みうちゃんは何だか腑に落ちない様子のまま、帰って行きました。


「お邪魔します……」

 本当は僕のうちだけれど、みーちゃんになってる以上は一応ね……。

「じゃあ入って……って、何だかそれもちょっとおかしいけどね」
「う、うん。あははははー……」

 僕の部屋でみーちゃんと2人きり。
 ここでならば心置きなくお話をしても大丈夫だよね……。

「ねえねえろっくん。そういえばさ、今日のお昼休みなんだけど」
「お昼休み? みうちゃんと何かあった?」

「みうがね……みい子達を入れ替えちゃった夢を見たって言ってたんだ」
「えっ、そうなの? 僕はさっき薬局で、みうちゃんから心当たりがあるって言われて」
「心当たりって?」

「僕がタンポンを知らなくて、おねえちゃんとおにいちゃん最近おかしいってみうちゃんが」
「なるほど、それでみうの言う心当たりがみい子達を入れ替えちゃった夢の事なのかな」
「恐らくきっと未宇ちゃんの記憶……だよね」

 みうちゃんはみーちゃんに2人を入れ替えた夢を見た、と話していたそうなのです。
 恐らくみうちゃんはそれが夢ではなく本当の事なのかもしれない、と思っていて。
 それで現に少し様子のおかしい、僕達2人の事に勘付いているのかもしれないのです。

「みうちゃんは勘付いてるのかも」
「うん、何だかそんな感じはするよね。でもろっくん、何でみうには教えちゃダメなの?」
「うん、教えちゃうと色々まずいんだ」

「何で? みうの気持ちを考えると何だか酷いような気がして……」
「あのね、教えちゃうと僕達のこれからの運命……そしてみうちゃんの運命にも関わるんだ」

「運命に関わる……?」

 僕は夢の中で未宇ちゃんから聞いた内容を、みーちゃんに全て話しました。


「くれぐれも周りに2人が入れ替わっている秘密はバレないようにね」
「えっ、バレちゃうとまずいの……?」

「魔法って言うのはね、私の元居た星では普通だけど……この地球では超常現象みたいな物。だから人間に対して魔法を使うと言う事は、何かしらリスクが起こる事だってあるのよ」

「魔法……未宇ちゃんの元居た星の人達は魔法が使えるの?」
「うん、そうよ。現に2人が入れ替わっている事実を考えてもらえれば納得できる?」

 未宇ちゃんの話によると、僕達2人を入れ替えてしまったのは魔法による物らしいのです。

「なるほど、確かに納得できるね」
「そういう訳だから周りに魔法の存在が知られたらどうなるか……最悪、2人共戻れなくなるかも」
「えっ、そんなのって……」

「大丈夫よ、逆に言えば周りに2人の秘密がバレなければいいのよ」
「そうだよね。バレないように入れ替わったお互いになりきらないとかな……」

「うん、その辺りは徹底した方がいいね。それとみうちゃんには絶対にバレちゃダメよ」
「えっ、みうちゃんにすらもこの事は言っちゃダメなの……?」

「私は元居た星の影響で魔法が使える。でも普通の地球人であるみうちゃんは魔法が使えないの。人間の女の子は12歳になると、実は私の星の技術を受ける事で魔法少女になれるのよ」

「な、何と……そんな新事実があったなんて。僕もみーちゃんだから魔法が使えるのかな?」
「あくまで技術を受ければ、のお話ね。でもみうちゃんは魔法の技術を受けてないの」
「どういう事……? だって魔法で僕達を入れ替えちゃったんでしょ?」

 それなのに魔法が使えないって……。

「みうちゃんはあくまで只の地球人だからね。技術も受けてないし魔法も使えない。魔法が使えるのはあくまで私が表に出た時のみ、私の意思で使う事ができるのよ」

「なるほどね、未宇ちゃんならば使う事ができるんだね」
「うん、でもね、みうちゃんは普通の人間だから私が魔法を使うと身体に負担が係るの。だから2人をすぐに元に戻す事はできないし、戻すならばある程度力を蓄える必要があるのよ」

「ふむふむ、それで何でみうちゃんにばらすのはまずいの?」
「みうちゃんにばれると、恐らく力を蓄えられなくなるの」

「力を蓄えられなくなる?」
「うん、私の存在を知ってしまったら、きっとみうちゃんの身体は不安定な状態になる。そうなると私も力を集められないし、最悪不安定になったみうちゃん自身がどうなるかも」

「なるほど、じゃあみうちゃんにばれたら僕達も戻れないし、みうちゃんもどうなっちゃうか……」
「そういう訳なのよ。だから絶対2人の秘密は誰にもばらしちゃダメなの」
「それは分かったよ。でもじゃあ……何で僕達を魔法で入れ替えちゃったの?」

「それは2人が入れ替わればお互いの事がもっと分かるからー、って言ってたもん」

「えーと……それを真に受けて入れ替えちゃったって事?」
「うん、そうだけど……?」
「……ま、まあ入れ替えちゃった物は仕方ないよね。お互いなりきるしかないんだね……」

「絶対に周りにはバレちゃダメよ、絶対にね……」


 僕はみーちゃんに未宇ちゃんとのやり取りを話し終えました。

「周りにばれたらみい子達は元に戻れなくなって……更にみうにばれたらみうがどうなるか分からないのね」
「うん、そういう事だからお互いになりきる事を徹底して、ボロを出す訳にはいかないんだ」

「私達だけならばまだしも……みうまでもどうなっちゃうか分からないんじゃそうだよね」
「だから僕は徹底してみーちゃんになりきるよ。だからみーちゃんも協力してくれる?」
「勿論だよ! 私達とみうの運命が掛かっているならば……でもさ、それにしても」
「うん?」

「まさか入れ替えた理由がそれだけだったなんてね……」
「ま、まぁね……未宇ちゃんが言うにはね。僕が最初に余計な事を言ってたせいかな」
「いや、そんな事はない。私だってお互い入れ替われればもっと色々知れるのにって思ったもん」

「まあ入れ替えられちゃったものは仕方ないよね……元に戻れるまで頑張ろう」
「うん、頑張って行くしかないんだね……」

 みーちゃんにもようやく話せたし、これで一安心かな。
 正直僕自身はこのままどうなってもいいと思う、それがあくまで僕だけであったならば。

 しかしみーちゃんやみうちゃんも巻き添えに遭ってしまう。
 ならば2人を巻き込んでしまう訳にはいかないし、僕はみーちゃんになりきるしかない。
 みーちゃんには気の毒だけど、みうちゃんも危ないと分かれば少しは危機感を持ってくれるかな……。


「じゃあ私、帰るね」
「うん、気を付けてね、ろっく……みーちゃん!」

「君はろっくん、私はみーちゃん……大丈夫だね?」
「う、うん。何とか……みうまで巻き添えなんて嫌だもん」

「ろっくんはみう"ちゃん"って言うよね」
「あ、うん。みうちゃんにまで巻き添えはダメだもん!」

 みーちゃんはまだまだ粗が多そうで心配だけれど……大丈夫かな?

「本当はゆっくりしたいけど、あまり帰りが遅いとみうが怪しむかもしれないから」
「うん、そうだね。何だかさっきもみうちゃんったら腑に落ちなさそうだったし……早く帰ってあげてね」
「うん、じゃあね。ばいばい」

「みうちゃんを……宜しくね」

 僕はみーちゃんに見送られて、自分のうちを後にしてみーちゃんちへ帰りました。


「おねえちゃんっ! おっかえりぃー!」
「た……ただいま」

 帰ってきてそうそう、何だか明らかに変なテンションのみうちゃんが出迎えてくれました。

「でー、おねえちゃんったらおにいちゃんと2人きりで何やってたのかな? かな?」
「何でも無いんだよ? 別に普通にお話してただけだから」

 みうちゃんは恐らく、僕達の様子がおかしい事に対して不振がっている。
 ここは何としてでもみーちゃんになりきらなくては……。

「ねえおねえちゃん、明日のプール楽しみだね!」
「うん、そうだね。みい子も生理だけど泳げるみたいだから良かった」
「おねえちゃん、生理が心配だったら来週の水泳も全部タンポン使っちゃえば?」
「うん、そうだね。いっそ水泳の授業は全部使ってた方が安心なのかも」

「そうだよね。でもおねえちゃん、さすがに来週には生理止まるよね?」

「えっ……そ、そうだっけ」
「ねえねえおねえちゃん、何で女の子なのに生理の事分からないの?」
「だ、だから多分……」
「倒れたからって割りには他におかしい所は無さそうだよね?」

「あぅっ……」

 みうちゃんは何だか、相当探りを入れて攻めてきている感じで……。
 だけれどみうちゃんに知られる訳にいかないんだ、絶対に。

「まあいいや。だからってまさか、おねえちゃんがおねえちゃんじゃない訳ないものね」

 みうちゃんは……やっぱり何となく勘付いてる?
 そういえばさっきみーちゃんが言ってた、みうちゃんが変な夢を見たと。
 恐らく未宇ちゃんの記憶だろうけど、僕達を入れ替えてしまったような心当たりがある気がするって。

「おかしいな。最近ね、おねえちゃんとおにいちゃんが何だか逆に見えちゃう事があるんだ。明らかにみうがおかしいだけなんだって事は分かってる。でも何でなんだろう……おねえちゃん」

「みう……きっと疲れてるのよ。今日はゆっくりとお風呂に浸かってゆっくりと休も?」

「……うん、そうだね。ごめんね、おねえちゃん。自分でも分かってる。みうったら変な事言ってる」
「いいのよみう。みうがそう思っちゃうならばそれは仕方ないもの」
「でもおねえちゃんとおにいちゃんをみうが困らせてるかもしれない……ごめんね、おねえちゃん」

 みうちゃんもみうちゃんで僕らの事を変だと思いつつも、それなりに色々思ったり悩んだりはしていたようなのです。

(ごめんねみうちゃん……本当の事が言えなくて)


「さてと……明日はプールかー」

 明日はいよいよプールなんだね、みーちゃんの身体で初めて水着を着なくてはならないのです。
 でも体育の授業で水泳もあるのだし、いつまで入れ替わりが続くかは分からないので、さすがに慣れない訳にもいかないし……ぶっつけ本番で授業中困っちゃうのもね。

「そういえば……このタンポンって物、どうやって使うんだろ?」

 生理用のナプキンすらも、最初は何か分からず戸惑ってしまった程の僕。
 それ程僕は異性に関する知識が無かったのです……。
 そんな僕がこのタンポンと言う物を、果たして使いこなせるのでしょうか?

「えーと、何々……あそこに入れます、って」

 えーと……これをみーちゃんの大事な所に入れちゃうの?
 ま、まあ生理の事情を考えればおかしくはないよね……。

「どうにかなるかな……後でお風呂から出たら試してみよう」

 ちょっと不安だけど……きっと何とかなるよね?

「おねえちゃん、ご飯できてるよー」
「えっ、もうこんな時間なんだ。はーい今行きますー」

 外の廊下からみうちゃんの呼ぶ声が聞こえました。
 僕はドアを開けてみうちゃんに返事をしておきました。

「何だかボーッとしてたみたい。疲れたのかな……それとも生理だからなのかな」

 こんな感じなのに明日はプールへ入っても大丈夫なのだろうか?
 でもみうちゃんもみーちゃんも、タンポンなら大丈夫って言ってたよね?
 この疲れは身体の疲れではなく、もしかしたら気疲れなのかもしれないね。

 今日はみうちゃんに探られたり色々あったものね……。


「お待たせー、みう」
「あ、おねえちゃん。冷めないうちに早く食べよー」

 僕が台所へ下りてくると、エプロン姿のみうちゃんが色々支度をしてました。

「あれ……今日はお母さん居ないの?」
「うん、今日は遅くなるって昨日言ってなかったっけ」
「あっ、そうだっけ。これ、全部みうが作ったの?」

「うん、お母さんが遅い時はいつもそうでしょ?」

 台所のテーブルを見ると、おいしそうなおかずやサラダがありました。
 それを全部みうちゃんが作ってしまったようなのです。
 まだ小学6年生なのにこんなにも色々作れるんだ……みうちゃんって凄い。

「みうは凄いんだね」
「うん、みうお料理は大好きだもん!」
「きっといいお嫁さんになれるね?」

「えっ、ちょ……おねえちゃん(///」

 "お嫁さん"と聞いて、みうちゃんは何だか照れてしまっているようです。

「お、おにいちゃんもこういうお料理……喜んでくれるかな?」
「おにいちゃん?」

 と言うのは……僕の事だよね?

「うん、勿論だよ。こんなおいしそうなお料理を見て放っておく訳無いよね」
「うん、えへへっ」

 みうちゃんはお料理を褒められて、とても上機嫌のようです。

「みう、そんなに嬉しいの?」
「おかしいな、何でだろう……何だかおにいちゃんに褒められちゃった気がしてね」
「え、えーと……みい子はおねえちゃんだよ!?」

「そうなんだけどね。分かってるの、でも何でだろう……えへへ」

 みうちゃん……やっぱり何となく勘付いているのかな。
 もっと僕が上手くみーちゃんを演じられないとダメなのかな……。

「とりあえず冷めないうちに食べてね!」
「うん、じゃあお先にいただきます」

 多分みーちゃんの立場としては何度もある筈だろうけれど、僕としては恐らくみうちゃんの手料理を食べるのは初めて。
 おいしそうな手料理を目の前に、僕はわくわくしながら箸を動かしてみます。

「ん、おいしい!」
「そう? えへへっ」

 僕はみうちゃんのおいしい手料理を沢山堪能しました。


「ふぅー、最初は戸惑ったけどお風呂はやっぱり落ち着くねー」

 ご飯を済ませた後、僕はお風呂に沈んでいました。
 みーちゃんの身体だけれどお風呂へ入らない訳にもいかないし、それに慣れれば意外とすんなり。
 トイレでみーちゃんの大事な所は見ちゃったりするから……いちいち戸惑ってたらキリがないです。

「夏場だけど女の子の身体は冷やしちゃダメって聞くから、一応湯船で温まらないとね」

 プールに入れる程の夏だけどね、きちんと身体を温めないと何だか不安なのです。
 みーちゃんの身体だし、何かしらあったら僕の責任だものね……。

「さーてお風呂へ入っちゃお。あれ、おねえちゃん?」
「えっ、み、みう!?」

 僕がお風呂へ入っていると、何故だか突然みうちゃんが入って来ました……全裸で。
 タオルすらも巻いていません……って、そりゃ自分ちでのお風呂だしそうだよね。

「あー、おねえちゃん先に入ってたんだね。ごめんね、みう気付かなかった」

 脱衣所に着替えの服も置いてあるし、何でそれでみうちゃんったら気付かないの……?

「み、みうちゃ……ご、ごめ、私すぐ出るから」
「あ、気にしないでー。せっかくだから一緒に入ろうよー」

 ちょ、み、みうちゃん……一緒に入って来る気ですか!?
 中身が男の子としては、みーちゃんの身体は毎日の事になるからようやく慣れたけど……。
 そこへ全裸のみうちゃんまでやって来てしまうと言う状況はさすがに。

「おねえちゃんが良く温まろうね、ってさっき言ったんだもんねー」

 みうちゃんと一緒のお風呂で色々ありましたが、それはまた別のお話なのです……。


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  • 最終更新:2018-02-10 00:36:56

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