第3話:2人のみうちゃん(改訂版)

 幼なじみなう 第3話:2人のみうちゃん(改訂版)

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  • TSF 入れ替わり 精神同居 ブルマ 生理



「できるだけ見ないようにしないと……」

 プールが中止となり、次の体育は室内で行います。
 僕の周りは下着姿の女の子だらけで、みーちゃんとしてそこに居ます……。

 みーちゃんの身体でブルマを穿くなんて、只でさえ恥ずかしいのに。

「みーいちゃん!」
「ひゃっ!?」

 誰かに声を掛けられて、僕は驚いてしまいました。

「ど、どうしたの!?」
「あ、ごめん。何でもないの」
「凄い声出すからびっくりしたよー」
「ごめんねっ、私着替えるから……」

「何だかみいちゃん、凄くそわそわしてて気になってさ」
「だ、大丈夫……ですっ、みい子いつも通りです」
「そうかな、じゃあ何であたしから視線逸らすの?」

「そ、それは……くーちゃん、できれば早くブルマ穿いてほしい、です」

 僕の目の前に立ってるのは、みーちゃんと仲良しなくーちゃん。
 僕もお話した事があるけど、彼女は下着姿のまま僕の視界に入ってきたのです。

「女の子同士だし、それにいつもの事でしょ?」
「女の子同士って……みい子達、いつもこんな感じなの?」
「何言ってるのかなこの子は。あたし達の仲でしょー?」

 本気なのか冗談なのか、みーちゃんとくーちゃんの関係って一体……。


 体育着に着替えた僕は、未知の感覚にびっくりしました。

 おしりを優しく覆ってくれる信頼のフィット感、女の子ならではの安心できる穿き心地。
 男のアレが無いからこそ、股間に完璧に吸い付くかのようで。
 少し喰い込む感じも、何だか思わず病み付きになってしまいそう……。

「くーちゃん、ブルマって凄いんだね……」
「え、何が? 今日のみいちゃん何だかおかしいよ?」
「あ、ごめん。私何か変な事言った?」

 僕は「ブルマと言う物の魅力」に取り込まれてしまっていたようです。
 無意識のうちについ変な事を喋ってしまい……。

「まあいいや。体育館へ急ごっ?」
「あ……もう残ってる生徒、誰も居ないね」

 着替えで戸惑って大分時間を掛けてしまったのかな。
 でも僕と一緒に残ってくれたくーちゃん。
 彼女はとても優しい子で、みーちゃんと仲良しなのも分かる気がする。


 今日は体育館で男女合同のドッジボールです。
 みーちゃんの様子が心配なので、体育が合同だったのは好都合です。
 みーちゃんも気にしてるようで、僕の方をちらちらと見てます。

「同じチームだね、ろっくん」
「う、うん。ねえ、みーちゃん」
「なーに?」

 みーちゃんは心配そうな様子で何か言い掛けましたが……。

「2人共ー、仲良しさんなのはいいけどもう始まるよー。早くコートへおいでー」

「あ、行こうろっくん」
「えっ、うん」

 くーちゃんに促されて、僕達はコートへ向かいました。


『ピーッ!』

 試合開始の合図が鳴り響き、僕のチームがボールを弾き先制攻撃です。

「ねえ、みーちゃん……」
「ん? 何か言いたいんだよね?」
「うん、あのね、えっとね」

「ボールが怖いの? 私が守ってあげるから大丈夫だよ」
「えっ、ありがと。でもね、そうじゃなくて」

「相手からの攻撃がくるよ!」
「えっ、ろっくん私の後ろに隠れて!」
「え!? う、うん」

 端から見るとみーちゃんの後ろに僕が隠れてる光景。
 女の子を壁に男の子が隠れてるなんて不自然だけど、周りの目なんて気にしちゃいられない。

 だって僕の後ろに居るのはみーちゃんなのだから。

「くーちゃんナイス!」

 相手からのボールをくーちゃんがキャッチ。
 彼女は初等部の頃から球技が好きで、ドッジボールも得意みたいです。

「いくよ!」

 くーちゃんが精一杯投げますが、しかし女の子の投げるボールでは力不足のようです。

「相手チームの攻撃が来るっ! ろっくん隠れて!」
「う、うん……」

 何だか周りからはみーちゃんに対する話が聞こえました。
 今日のみーちゃんは頼もしいだとか、活き活きしてるだとか。

「えいっ!」

 僕は両手でボールをキャッチしました。

(あ、あれっ、今クラッとしたような)

 激しい動きでボールをキャッチしたら、何だか一瞬立ち眩んでしまい……女の子の身体だから?

「みーちゃん大丈夫!?」
「み、みーちゃん……」

「だーいじょうぶだって! みい子に任せてっ!」

 僕は元気に振る舞って、勢い良く全力投球しました。

「いっけぇーっ!」

 身体にあまり力が入らず、ボールは緩い球となってしまったようです。
 あれっ、何だかまた身体がクラッとする……。

「六ー、みい子ちゃんの後ろに隠れてビビってるのかー?」

 悪友がボールを取り、みーちゃんを僕だと思って挑発してきます。

「みい子ちゃんの後ろに居ないで出てこいよー!」

 悪友はみーちゃん目掛けてボールを投げました。

「みーちゃん!」

 僕は無意識のうちにみーちゃんの名前を呼んでしまい、自らボールへと立ち向かいました。

『ドンッ!』
「あうっ!」

 その後ボールは凄い勢いで、僕の……みーちゃんのお腹に直撃です。
 自ら突っ込んだ事で、当たった衝撃もそれなりに大きいようで……。

「みい子ちゃん!? お、お前が後ろにずっと隠れてるから悪いんだぞ!?」

 悪友は僕が気に喰わなかったらしく、それで僕にボールを当てようとしたようですが。
 確かにボールは「僕」に当たりました、ただし身体はみーちゃんだけど。

(あ、視界がぼんやりする……これ、倒れる)
「みーちゃん!」

 僕の身体は地面に倒れかけましたが……ぼんやりした意識の中、みーちゃんの様子が見えたのです。
 彼女は慌てて僕の身体を必死に支えて……。

「大丈夫!?」

 くーちゃんも駆け寄り、みーちゃんと一緒に僕の身体を支えました。

「みいちゃんを保健室へ!」
「みーちゃん! みーちゃん! 大丈夫だからねっ!?」

 最後にみーちゃんがそう言ってたのを聞いて……僕の意識は途切れました。


「みい子のせいだ、みい子のせいでろっくんが!」
「六君落ち着いて!? ろっくんはあなたでしょ!」

「あ、あぅっ……そ、そーでした」

 ドッジボールはろっくんが運ばれた騒動で一旦休止です。

 ろっくんったら、ふらふらしながらもみい子の事を守ってくれた。
 みい子の身体が生理なのに、無理して体育に出たのかな。
 ずっとろっくんに生理の事言いたかったけど、結局言いそびれちゃって……。

「やっぱりみい子のせいだ……」
「六君しっかりして! 混乱してるみたいだけど六君がしっかりしなくちゃ!」

「そ、そうだよね、ろっくんに余計心配掛けちゃうよね……ありがとうくーちゃん」

 その後の残り時間は体力作りの運動となりました。


 6限目は2限分予定のプールが雨で中止の為、自習でした。
 私は先生に許可をもらい、保健室へろっくんの様子を見に行ったのです。

「失礼します! みーちゃん大丈夫!?」
「しーっ。寝てるから静かに、ね?」

「えっ、み、みう? ちゃん……」

 保健室へ入ると先生は不在で、何故か妹のみうが……だってみうは授業中の筈なのに何で?

「意識は大丈夫よ。ろっくんね、寝てるみたいだから静かにね?」
「う、うん……ねえみう、今ろっくんって言った?」
「言ったよ? あなたはみい子ちゃんだよね?」

「や、やっぱりみうは知ってるの?」
「全部知ってるよ、みい子ちゃん。いや、今はおねえちゃんと言うべきかな」
「どういう事……みう、だよね?」

「私がみうちゃん以外に見える?」
「みうにしか見えないけど……」

「もしもおねえちゃん達みたいに、中身が違ったら?」
「えっ!?」

「ごめんごめん、私は間違いなくみうよ」
「な、なんだ……良かった」
「でもね、もう1人のみうなの」

「もう1人の……みう?」

「そうね、紛らわしいから未来の宇宙と書いて未宇とでも名乗っておくよ」
「未宇……あなたはもう1人の"未宇ちゃん"なのね?」
「うん、そうよ」

「みい子達を入れ替えたのは、あなたなの?」
「そうよ。少々訳があってね」
「それ、できれば詳しく聞かせて?」

「あ、ごめん。ろっくんが目覚めるみたい。いつものみうに戻すね?」
「えっ、ちょっと……!」

「あれっ、ここは……僕、確か倒れかけて」
「ろっくん!? 気が付いたのね!?」

 未宇ちゃんの言った通り、その後ろっくんはすぐに起きたのです。

「おねえちゃん大丈夫?」
「……みうちゃん? それにみーちゃんも」
「おねえちゃん良かったー! 心配だったんだよー」

 みうはすっかりといつもの様子に戻ってました。

 やはりさっき言ってたように、2人のみうが居るの?
 それで今はいつものみうなのかな?

「さっき保健の先生から聞いたよ。おねえちゃんアレなのに体育出たって」
「アレ……? あ、そういえば見学した方が良いって言ってたね」
「忘れてたの?」

「それで身体がふらふらしたのかな? でも、ありがとっ」
「ありがとってどうしたの? 2人共何かあった?」

「べ、別に何もないよ!?」

 私は知ってるよ、ろっくんは身体が辛いのに私を守ってくれたもの。
 そんなろっくんの優しさ、私はちゃんと知ってるよ。

「ところでみうちゃんは何でここに?」
「おねえちゃんが体育で倒れたって連絡があってね。2日連続だから心配で」
「それで先生が行ってあげなさいって言ったの?」
「うん、でも大丈夫そうで良かったよー」

 もしかしてみうは、"未宇ちゃんの意思"で保健室に来たのかな?


 放課後、私達が帰りの準備をしてると、くーちゃんがろっくんの元へ来てました。

「みいちゃんって、今日アレじゃなかったっけ?」
「え、そうだけど……」

「やっぱり、確か前の水泳も見学してたものね」
「やっぱりアレの時は見学しないとなんだね」
「女の子なら分かるでしょー、無理しちゃダメだよー?」

 くーちゃんも私の事を分かってたようで……心配してくれてありがとっ。
 その後くーちゃんは部活へ向かい、私達は帰路へ着きました。


 外へ出るとまだ曇ってるけど、雨は止んでました。

「今日はみうちゃんは?」
「放課後やる事があるそうよ」
「それで一緒じゃないんだね。じゃあ夢の件だけど」

「もう1人の未宇、だよね?」
「みーちゃん知ってたの?」
「さっきね、保健室でもう1人の未宇に会って……」

「なるほど。普通の世界でも出て来れるんだ」
「出て来れるって? ろっくんは何か知ってるの?」
「夢で色々聞いたからね。現に身体は入れ替わってるし、みーちゃんはもう1人の未宇ちゃんと会った」

「と言う事は?」
「夢の中で聞いた話は全部本当だと思うんだ。ここなら大丈夫だし、みーちゃんにも話すね」


 僕は未宇ちゃんから色々な事を聞きました。

「なんでみうちゃんが?」
「私は確かにみうよ。でも正確にはもう1人の未宇なの」
「もう1人のみうちゃん?」

 未宇と名乗ったこの女の子は、自身の事を話してくれたのです。

 未宇ちゃんは元は地球外の女の子で、その星での生涯を終えてしまいました。
 その後地球人の女の子に転生してしまい、それが「みうちゃん」だったのです。
 元のみうちゃんがこの世に生を受けた時、未宇ちゃんの魂は彼女の中に入り込んでしまい。
 もう1人の人格として、みうちゃんの中に留まる事になったのです。

「みうちゃんにそんな秘密が……」

「本当は私も、普通の女の子に転生できたかもしれない。でも気付いたら、みうちゃんの中に居たの」
「なるほど……元のみうちゃんは君の事に気付いてるの?」
「普段から気付かれないように、隠し通してるの」

「何でなの? 同じ身体を共有してるみうちゃんなのに」
「実は私の存在が知られちゃうと……」


「おねえちゃん達ー待ってぇ」

 あ、みうが来たから……お話の続きはまた今度かな。

「みうちゃん、お疲れ様」
「うん、ありがとうおにいちゃん! どうしたの? みうの事じーっと見て」
「な、何でもないよ」

「もしかしておにいちゃん、みうの事が好きなのー?」
「ち、違うってば……あれ、でも違わなくはない……」

 かわいい妹だもん、好きの意味には色々あるけど否定はできないもん。
 でもろっくんとして「好き」と言ったら、意味が変わってしまいそうだよね。


「おにいちゃん、また明日!」
「あ、もうここまで来たのね。また明日」

 気付けばいつの間にか分かれ道、私は遠ざかる2人の後ろ姿を見つめてました。

 今までみうが一緒で当たり前だった。
 ろっくんになって以降、帰ると私は一人きり。

 昨日は入れ替わり初日で大変だったから、寂しい気持ちに浸る余裕はなかったけど……。
 遠ざかるみうの背中を見てると、今更そんな気持ちが溢れる。
 明日になれば会えると分かってるのに、寂しい気持ちで不安になる。

 何で今になってこんなに寂しくなるのだろう……私、寂しいよ。


「おねえちゃん」
「なーに、みう?」
「おにいちゃん、様子がおかしくなかった?」

 みーちゃんと分かれた直後の事、みうちゃんが僕にそう言いました。

「最後別れる時の表情見た? 今にも涙が溢れそうな顔してたよ。まるで女の子みたい……」
「涙が溢れそうな顔? みーちゃん、何かあったのかな」

「えっ、みーちゃんって?」

「あ、何でもないのよ! ちょっと心配だから行ってくるね」
「あ、じゃあみうも」
「みうちゃんは先帰ってて!」

「あ、おねえちゃん……」

 僕はみうちゃんを置いて、みーちゃんの元へ駆け付けました。

「みうだって心配なんだけどなぁ……」


「みーちゃん!」
「ふぇっ!?」

 突然後ろから声が聞こえて、振り向くとそこには私が立ってました。

「ろ、ろっくん……ぐすっ」
「みーちゃんやっぱり泣いてる。どうしたの?」

 ろ、ろっくんに泣き顔見られちゃった、今はろっくんの身体なのに。
 なんだか恥ずかしくなって……慌てて涙を拭います。

「ぐすっ……だ、大丈夫だよ。泣いてないもん」
「大丈夫じゃないでしょ? はい、ハンカチ持って」
「ぐすっ……ありがと、ろっくん」

 ろっくんは優しい……私の気持ちに気付いてくれたんだ。

「みうちゃんがね、みーちゃんの様子がおかしかったって言ってて」
「えっ、みうが?」

 そ、そうだったんだ……みうが気付いてくれたんだね……みう。

「みうちゃんに言われて良かったよ。それでみーちゃん、どうしたの?」
「な、何だか急に寂しくなっちゃって」
「寂しくなっちゃったの?」
「うん、今までみうが居て当たり前だった。でも今はみうが居ない」

「なるほど……みうちゃんはきっと、いつでもみーちゃんの事を想ってるよ」

「みうがいつでも……みい子の事を?」
「うん。だから寂しくなったらね、みーちゃんもみうちゃんの事を想えばいい」

 みうと居て楽しい事、嬉しい事、良かった事……あ、何だか心が温かくなってくる。
 まるで私の心の中に、みうが居てくれるみたいで。

「ろっくん、ありがと。みい子もう大丈夫だよ」
「良かった。寂しくなったらいつでも電話して? みうちゃんに代わる事もできるから」
「ありがとうろっくん」


「2人共、呼んでる名前が逆だよ?」
「えっ、みう!?」
「何でかなー、みうちゃんに不振に思われちゃうよー?」

 突然みうが現れて私達は焦り掛けたけど、何だか様子が……。

「えーと……未宇ちゃん、ですか?」
「うん、もう1人の未宇よ。ちょうど私で良かったね」

「お、驚いたよ。先に帰るように言ったのに」
「みうちゃんも帰るつもりだったみたい。でも急に心が不安定になっちゃって」
「そうなの? いつものみうは大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。でも心が不安定で帰しても心配だから、私が出てきたの」

「そうだったんだ……ありがとう、未宇さん」
「一応私も妹のみうなんだから、さんなんて言わなくていいよ」
「で、でも、急にみうの中にもう1人居たって知って……」

「みい子ちゃんは他人行儀なのね、そっか」
「あ、ごめんなさい……」
「いいよいいよ。実際みい子ちゃんにすれば他人みたいだろうし」

 確かに見掛けはみうだけど、「もう1人の未宇」と分かった以上同じ妹のように思えなくて。

「そういえば未宇さん、何で私達を入れ替えたの?」
「えっ、まだろっくんから聞いてない?」
「うん、聞かされてない」

「周りに知られるとマズいって聞いたから、話すタイミングがね」
「なるほどね。それならば私が今直接……あっ、ダメ」

「何で教えてくれないの?」
「別に意地悪じゃないのよ。今ね、みうちゃんが出ようとしてるみたい」

「みうが出ようとしてるの? いつものみうに戻るって事?」
「うん、だから私はまた奥に引っ込むけど……ごめんね。皆に2人の事、気付かれないようにね?」
「う、うん。分かった」

「うん? 何が分かったの?」
「あっ、何でもないの」
「んんっ……? みう、何だか今変なお話を聞いてたような」

「き、きっと気のせいだよ!」

 みうの言動を聞くと薄ら記憶が残ってるような……。
 だから未宇さんは「気付かれないようにね?」と言ったのかな?

「そうなのかな。気のせいなのかな」
「うん、気のせいだよ」

「そういえばおにいちゃん、さっき泣いてなかった?」
「えっ、大丈夫だよ? ……ありがとう」
「良かった、大丈夫なんだね」

 みう……私の気持ちに気付いてくれてありがとう。
 私がろっくんになってしまっても……いつでもみうの事、想ってるわよ。

「じゃあ帰ろっか。おにいちゃんばいばい」
「うん、また明日ね。ばいばい」
「ばいばいろっくん!」

 再び遠ざかって行くみうと私の背中を見つめる。
 でも今度は大丈夫、みうはいつでも私の中に居るんだもん……みう、大好きよ。


「おにいちゃん大丈夫そうで良かったね」
「うん、みうが気付いてくれたおかげだよ」

「そういえば今日って暑いね」
「いつの間にか晴れてきたね」

 空を見渡すと、いつの間にか陽射しが差してました。

「さっきまであんな曇ってたのに」
「帰ったら冷たい飲み物でも飲もうね」
「あ、今朝冷蔵庫を見たら飲み物無くなってたよ。ちょっと寄り道して自販機で買おうよー」

 僕達は少しだけ寄り道をしました。

「じゃあみうはオレンジジュースで!」
「じゃあみい子は……」

「あ、おねえちゃんの分はみうが奢るよ」
「えっ、でも」
「ここまで付き合わせちゃったし、それに今日倒れちゃったよね」

 そういえばそんな事もあったね。
 僕自身は眠ってたから、その間の記憶はほぼ無いけれど。

「でもいいのかな」
「だってみう達姉妹じゃない!」

 姉妹か……何だかこういう事を聞くと、みーちゃんが寂しがったのも良く分かります。
 常に一緒な妹と居られない気持ち、痛い程良く分かるよ……。

「おねえちゃんは何にする?」
「あ、じゃあこの紅茶で」
「うん分かった!」

「お釣りが10円玉で出てきたね。この10円はお昼用に取っておかないとね」
「10円玉はまた忘れて行くよ?」

「え、みうはわざと10円玉を忘れてたの?」
「だっておにいちゃんがみうを助けてくれて、何だか嬉しいんだもん」
「そうなの?」

「おねえちゃん知ってるよね? みうだっておにいちゃんの事が好きだもん」

 そうだったんだ、2日に1度10円玉を忘れるのはわざとだったんだね。

「でもあまりそういうのは良くないよ? ろっくんは大丈夫かもしれないけど」

 きっとみーちゃん、僕に申し訳なく思ってそうだよね……。

「うーん、そうだね。えへへっ」

 それにしてもみうちゃんが僕を好きって、おにいちゃんみたいだからと言う意味だよね?

「おねえちゃん考え事?」
「えっ、何でもないよ?」
「みうがおにいちゃん好きだって言って、嫉妬してたのー?」
「な、何で……」

「だっておねえちゃんもだーいすきなんでしょ?」

「そうなの?」
「そうなのって、何でみうに訊くの?」
「あ、おかしいよねーあははははー……」

 みーちゃんって僕の事が好きなの?
 僕はみーちゃんを妹みたいな幼なじみ、として見てました。
 僕じゃかわいいみーちゃんには釣り合わない、だから今まで自分の気持ちを押し殺してました。

 でもみーちゃんはもしかして、僕の事が好きなのかもしれない……?

「おねえちゃーん?」
「な、なーに?」
「おにいちゃんの事考えてるでしょー?」

 その逆なんだけどね、不自然だしそういう事にしておこう。

「う、うん……」
「やっぱりおにいちゃんの事、大好きだよね?」

「あははははー……」

 不可抗力とは言え、みーちゃんの気持ちを勝手に知ったのは申し訳なかったかな。


 家に帰宅後、みーちゃんの携帯に着信がありました。

「もしもしろっくん? ケータイだから名前でいいよね?」
「あ、こっちはみうちゃんが居るから。一応用心しないと」
「そっか、聞こえちゃったらまずいもんね」

 電話はみーちゃんからです。
 もしかしたら寂しくて、早速電話してきたのかな?

「ねえみーちゃん、次のお休みにプール行こ?」
「プール? 暑いから行きたいの?」
「そうじゃなくてー、授業でいきなり水着じゃ戸惑うでしょ?」

「なるほど、授業で困らないように慣れる為かな?」
「そうそうー、だから明後日プール行こうよ」

 別に断る理由も無いし、みーちゃんが言う事も納得できます。
 女の子として泳ぐのは恥ずかしいけど、確かに授業で困るものね。

「うん、いいよ」
「じゃあ明後日はみい子迎えに行くからー」
「うん、分かった。後今は私がみい子ね……」
「あ、ごめんごめん間違えたー」

「ごめんね、大変だろうけど」
「いいよいいよ。ところでさ、未宇ちゃんのお話の続きなんだけど……」

「おねえちゃーん」
「あ、ごめん! みうが来たみたいだからまたね!」
「あっ、ちょ、ろっく……まだお話したい事が」

「また後で掛け直すから!」

 みうちゃんが来たらこのお話はできないよね……。

「なーに? みう」
「みうね、明日プールが無くて残念だから、次のお休みにプール行きたーい」
「えっ、プール? 実は明後日ろっくんと一緒に行くけど」

「本当? じゃあみうも一緒にいい!?」
「うん、どうせだし一緒に行こっか」

 きっとみーちゃんもみうちゃんだったら構わないよね?
 明後日はみうちゃんも交えて、3人でプールへ行く事になりました。


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  • 最終更新:2018-02-10 00:55:39

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