第3話:みうっち

 幼なじみの妹なう 第3話:みうっち

 この作品が含む要素(タグ)
  • TSF 入れ替わり 精神同居 生理



「ふー、プールでは酷い目に遭ったよぉ……」

 みうちゃんとしての午後のプール授業はどうにか凌いで、帰りの会も無事に終わりました。
 未来ちゃんとは帰る方向も違うし、教室でお別れして僕はトイレへと向かっていました。
 プールの授業で身体が冷えてしまったのか、急に尿意が来てしまい。

 それに何だか男の子の時と少し融通が違う感じ。
 尿意を感じて以降、あまり長く我慢できそうにもない……油断するとすぐにでも漏れてしまいそうなのです。

 女の子は元々男と違って膀胱が凄く短いらしい。
 実際女の子になってみて、そのお話は本当なんだ……と実感してしまった程なのです。

 だから我慢できそうにもなかった僕は、一目散にトイレへと向かっていました。
 そしてトイレへと着くと、何も考えずにいつもの癖で男子トイレへと入ろうとしてしまい……。

(あ、そっちじゃないよ。こっちよ……)

 頭の中から謎の女の子の声が聞こえて、身体が軽く女子トイレ側へと自然に動きました。
 いや……身体を女子トイレ側へ引っ張られた、と言うような感覚です。
 さっきの水泳の時も時々聞こえていた謎の女の子の声……どうやらみうちゃんの中には誰かが居るようなのです。

「ねえ、君は一体誰なの? ちゃんと声聞こえているよ?」
(まあ……やっぱり聞こえていたのね。それよりもあなたは一体……)
「うーん、それはこっちも同じく訊きたいけど……」

(うん、私の事もちゃんとお話するよ。あなたは何だか……いつものみうちゃんじゃないわよね? そう、何だかまるでろっくんみたいな……)

「僕の事知ってるの? 僕はろっくんだけど……」

(あ、やっぱりろっくんだったんだ。良かった……知ってる人で安心した。ろっくんの事はいつもみうちゃんの中から見てたのよ?)
「みうちゃんの中から……君は一体誰なんだい? みうちゃんの身体の中に居るの?」

(私はね……みうちゃんの……)


「あわわわわー!!」
(大変ー急いで急いで!)

『バタン!』

 僕は急いで女子トイレの個室へと駆け込んでいました。
 そういえばおしっこが漏れそうで急いでたんだよ!

 みうちゃんのスカートの中へ手を入れて、慌ててブルマとパンツを一気に下ろす。
 えーと今の僕はみうちゃんで立ちションはできないから……大きい時のようにしゃがめばいいのかな!?

「ふぅ……何とか間に合ったよ」
(うん、良かった……危なかったわね)

 僕の中に居るらしい謎の女の子。
 頭の中から声が聞こえるのみで表情は見えないけれど……何だか安心しているような顔が想像できる。

「さてと……」

 僕がみうちゃんのパンツを穿き直そうとすると……。

(あ、待ってろっくん! 女の子はおしっこしたらちゃんと拭かないと)
「あ、そうだった……えーっと、拭くって……ここを、だよね?」

 僕は頬を少し赤らめながら、みうちゃんの1番大事な部分を指差した。

(うん……もし大変そうだったら私、代わるよ?)
「うぅっ……僕がみうちゃんの大事な所に触れちゃうのは何だか申し訳ないから……お願いできる?」
(うん、任せて! 私女の子だもん)

 返答を聞いた後、僕の身体はまた自由が利かなくなっていた。
 そして勝手に手が動いてトイレットペーパーを巻き取り、みうちゃんの大事な部分を優しく拭いていく。

「うん、拭けたよ。これでOKかな?」
(ありがとう……)

「あれっ、ろっくん? 居なくなっちゃったの?」

 返答したつもりが……やはり僕の声は言葉になっていませんでした。

「あ、もしかして……私、今後ろに戻るからね?」

 女の子がそう言った直後、再び僕の身体は自由になって……。

「僕はちゃんと居ます……あ、喋れた」

 きちんとみうちゃんの口から言葉も出て来ました。

(なーるほど……どうやらそういう事みたいね)
「えーと、どういう事なの?」

(単純に結論から言うとね、どうやら私が中に居る時はろっくんがみうちゃんとして喋る事で、私と会話ができるみたい。喋った声は私に聞こえるし、ろっくんもみうちゃんの身体で返答できるものね)
「うん、そうみたいだね」

(だけれど私が前に出てると……後ろに入っちゃったろっくんは、私の喋った声は聞こえるけれどみうちゃんとして言葉を出せないから、私と会話する事はできなくなるみたい)
「ふむふむ、なるほど……」

(私はみうちゃんの頭の中からろっくんに話し掛けているの。でもどうやらろっくんだと、それができないみたいね)
「なるほど……でも何でなんだろう」

(もしかして私が中から話ができるのは……魔法少女だからなのかな)

「魔法少女? 魔法って……あの不思議だったり何でもできちゃうかもしれない、あの魔法の事?」
(うん、現にろっくんがみうちゃんの中に入ってしまっていて……更に頭の中から私の声も聞こえて。そういう状況を考えれば魔法も信じられるかな?)

「うーん、いきなり信じろと言われても正直戸惑うけれど……でも否定はできないよね」
(まあともかくね、私は魔法少女なのよ。それよりもろっくん)
「えーと、何かな?」

(……いつまでも下半身出してないで、早くパンツ穿いちゃお?)
「あっ……(///」

 みうちゃんの中の女の子が大事な部分を拭いてくれてからそのままで、僕はずっと便器に跨って下半身を出したままの状態でした……。


『ジャアアアアアアアアッ』

「よし、手洗いもおっけー」
(うん、これでバッチリだね)

 僕は洗面台で手洗いを済ませて、トイレを後にしました。

「それでさっきのお話の続きだけれど……」

(ねえろっくん、私とお話するのにきっと周りから見れば、独り事のように思われちゃうかもだから……場所変えよ?)
「あ、そう言われてみればそうだよね……分かった」

(放課後は中庭が割りと人居ないみたいだから。いつものお昼を食べている中庭へ行こ?)
「うん、分かった」

 僕は中庭へと向かって行きました。

 放課後の中庭へ着くと、人は誰1人居なくて……。
 何だかお昼に着ていた時とはまた違った雰囲気です。

(きっと皆部活だったり帰っちゃったりで、放課後は滅多に立ち寄る人が居ないみたいね)
「そうなんだ……誰も人が居なくて何だかいつもと別の所みたい」
(でも私とお話するには好都合でしょ?)

「うん、そうだね。じゃあ早速だけど……君は一体誰なの?」

 僕はいつもお昼ご飯を食べる所にちょこんと座りつつ、頭の中の彼女に質問をしてみました。

(私はみうちゃんの中に居るもう1人のみう。ややこしいから……未来の未に宇宙の宇で、未宇とでも名乗っておくよ)
「もう1人のみうちゃん……未宇ちゃん」

(実は私ね、地球からある程度離れた遠い星に住む女の子だったの……地球人さんから見れば宇宙人なのかもしれないね)

「遠い星? 地球以外にも人間は居るの?」
(うん、地球の技術じゃまだあまり知られてないだけで、実は宇宙から見れば結構色々な所に居るのよ。私は地球人から見ればちょっと未来のような、そういう星に居たのよ)

「そうなんだ……じゃあ何でそんな未宇ちゃんが、このみうちゃんの身体の中に?」
(うん、それが実は私にも良く分からなくて……確かに私は地球とは違う星の女の子だった。でもある時、何かに吸い込まれたような覚えがあって……その時の記憶が無い)

「記憶喪失……? なのかな」
(分からない……でも確かに生前のような記憶はあるのよ。私死んだのかな、分からないけど……気が付いた時にはこの星のみうちゃんと言う女の子になっていた)

「別の星から地球人の女の子に転生しちゃったとか?」
(うーん、もしかしたらそんな感じなのかな……でも地球人のみうちゃんとして気が付いた時、私は変な違和感を感じていて)

「変な違和感?」

(どうやら私はみうちゃんの中の人格となってしまっていたようで……普段の身体の主導権は、いつものみうちゃんが握っていたの。早い話がね、みうちゃんの中に後から私が入り込んでしまった形だったみたい。だから普段から私はみうちゃんの邪魔をしないように、みうちゃんの中でひっそり生きていた)

「もう1人のみうちゃん……そうだったんだ。みうちゃんの身体にそんな秘密が。でもそれだったら何でみうちゃんは、僕やみーちゃんにすらも話さなかったのかな?」

(私はみうちゃんの中に入っちゃっただけで、みうちゃんの気持ちまでは分からないわ。でもきっと理由があるとしたら……ろっくん達と同じじゃないかな?)

「なるほど……確かにこんな事、普通はいきなり信じられないものね?」
(うん、それにそもそもみうちゃん自身、私の存在に気付いているかどうかも分からないから……でも、今思えばみうちゃんは私の事、分かっていたのかな)

「えーと……どういう事?」

(私が頭の中で言葉を出しても、みうちゃんは何も反応しない。つまり私の言葉は、みうちゃんの身体を通して声に出る事はないから……私が例え何を言おうと、みうちゃんには届いていないものかと思ったの。だけどね……ろっくんが入って来てからは、私の声が届いていたんだよね。ならばみうちゃんにだって、私の声が今まで届いていたのかもしれない)

「なるほど……別に僕が特別って言う訳でもないんだよね? ただみうちゃんの身体の中に入ってしまっているだけで」

(うん、ろっくんに届いてるならばみうちゃんにも届いてた筈なの。じゃあ何でみうちゃんは私とお話してくれなかったのかな……。私も私でみうちゃんを混乱させないように、できるだけ静かにしていたりあまり身体の主導権を取らないようにはしていたけれど……)

「うーん、ならばみうちゃんはもしかしたら気付かない振りをしていたとか」

(そうなのかな……何でだろう、もし声が届いていたり……ろっくんみたいに私が主導権を握っている時、意識があって全部見えていたとしたならば……何で今まで何も言わなかったのだろう?)

「うーん……何でなんだろうね? 実はみうちゃん本当に知らなかっただけだった、と言う事は?」
(どうだろう……できれば確認してみたいけど)
「うーんそうだね、みうちゃんに今度確認でも取ってみようか」

(うん、もし機会があれば……)

 今、みうちゃんの身体に入ってしまっている僕。
 そんな僕には確かに未宇ちゃんの声が聞こえて、こうやってお話もできていて、更には身体の主導権を握られても意識は残っていて……。

 ならばみうちゃんが未宇ちゃんの存在に気付いていないとしたら、それはおかしい事で。
 未宇ちゃんはできるだけ気付かれないように静かにしてた、と言ってはいるけれど。
 でも届かないと思って声を出していたり、記憶が残らないと思って主導権を取った事もあったならば……絶対みうちゃんは未宇ちゃんの存在に気付く筈。

 もしかしたら何か理由でもあるのだろうか……?

「そういえば未宇ちゃんは魔法少女、と言っていたよね?」
(うん、そうだよ)
「もしかして魔法を使えば、人間同士の中身を入れ替えたりもできちゃうのかな?」
(そんなのは余裕でできちゃうよ?)
「え、そうなんだ!? じゃあもしかして僕達を戻したりもできたりする?」

(うーん、残念だけどそれは私には無理よ)
「え……何で?」

(確かにね、魔法を普通に使えればそういう事はできるのよ。でもね、今の私はみうちゃんの身体の中に居る身……私自身から魔力が常に出てはいるけれど、この身体で魔法を使ったりでもしたらみうちゃんの身体に負担が掛かっちゃう)

「それはみうちゃんの身体だから、って事?」
(うん、みうちゃんは普通の人間だから……実は人間の女の子はね、12歳になると私の星の技術を受ける事で魔法少女になれるんだ)

「えっ、そうなの!? そんな新事実が……」
(現に入れ替わりが起きたりしているならば、信じられるでしょ?)
「まあそう言われちゃうとね……確かに」

(だからもしみうちゃんが魔法少女になれば、私もこの身体で魔法を思う存分使えるの。でも今のみうちゃんは12歳だけど、普通の女の子だから……)
「みうちゃんは普通の人間の女の子なんだよね? 魔力が身体から出ても大丈夫なの?」

(私が魔法少女だから自然と私が魔力を作っちゃうようで……魔法少女でもないみうちゃんの身体に魔力が溜まり過ぎると、みうちゃんの身体は大変な事になっちゃうんだ)
「そうなんだ……じゃあ中で作っちゃった魔力はどうしているの?」

(実は少しずつね、みうちゃんの身体から放出して私が出しているんだよ。もしかしたら今回のみうちゃんとろっくんの入れ替わりは……私の魔力のせいだったのかもしれない)
「えっ、未宇ちゃんの魔力のせい?」

(私があの辺りに少し魔力を放出しちゃっていたから……だからぶつかった衝撃で放出されてた魔力が活性化されちゃって、2人が入れ替わっちゃったのかもしれない)
「じゃあ僕達が入れ替わっちゃった原因は……」

(ごめんなさい、私だったのかもしれないです……)

 みうちゃんは普通の人間の女の子だけど、中の未宇ちゃんは別の星の魔法少女。
 常に魔力を作り続けちゃうようだけど、人間であるみうちゃんの身体に魔力が巡ってしまうと大変な事になってしまうようで。
 なので少しずつ魔力を放出していて……たまたま僕達はその魔力が放出されていた場所で勢い良くぶつかったりして、魔力活性化の行動を取ってしまっていたらしい。

(あれ、でもそういえば……みうちゃんは姉妹でごっちんこしてなかった?)
「あ、実はあの時のみーちゃんは……僕だったんです」

(まあ、ろっくんったらみうちゃんと入れ替わる前にみーちゃんとも入れ替わっていたの!?)
「うん、昇降口付近でつまずいちゃって……そしたらみーちゃんと入れ替わっていて」

(あー、もしかしてお昼の時にみうちゃんの身体から私が少しずつ魔力を放出していて……その魔力がその辺りにも流れちゃっていたのかな)

 どうやらみうちゃんの件だけでなく、みーちゃんとの入れ替わりについても未宇ちゃんのせいだったみたい。

(本当にごめんなさい……3人を入れ替わりで巻き込む事になってしまって)
「いいよいいよ、何だかんだで大変かもしれないけど別に死んじゃった訳でもないし」

(でも男の子のろっくんがみーちゃんじゃなくて、行き着いたのがみうちゃんの身体で良かったかも……みうちゃんの身体だったら私も色々力になれるから)
「うん……ありがとう。プールの着替えやトイレの時は本当に助かったよ。最初はビックリしたけどね」

(そうよね……私も声が届いていないものかと思って、主導権を握っている間も意識が残らないものと思って勝手に出て来ちゃってたから)

 未宇ちゃんは僕に気付かれないつもりで出て来たようだけれど……。
 まあ結果的には僕と未宇ちゃんがこうやってお話できた訳だし、未宇ちゃんが気付いてもらえた事によって僕にも協力姿勢のようで。

 結果的にはこれで良かったのかもしれない。
 確かに今思うと、もし万が一みーちゃんの身体のままだったら……。
 1人で女の子としての色々をこなさないといけなかった訳だ。

 それはそれでまた違う大波乱が待っていたと思うのです……。

「あ、居た居た。みうー」

(あ、みい子ちゃんだ。えーと中身は……みうちゃんだっけ? 私が居ると色々ややこしいかもだから……私、一旦静かにするね)
「うん、分かった」

「なにが分かったの? みう」
「みうちゃん?」

 僕もみーちゃんと一緒でした。
 えーと僕の中身は……えーと、みーちゃんだったよね?
 それで一緒に居るみーちゃんがみうちゃんで……うん、ややこしい。

「あ、何でも無いの」

 みーちゃんも居るし、それにもしかしたらみうちゃんは中の人を知らなかった、と言う可能性もあるから……。
 今の僕達のやり取りが知られちゃうと、色々とややこしいかな。

 これ以上の混乱を起こさないようにする為にも、僕は一旦誤魔化しました。

「みうったらいつも教室へ来てくれるのに来なかったから。だから捜しに来たのよ」
「あ、そうだったっけ……ごめんごめん」

「じゃあ3人で帰ろ?」

「私達ここで待っているからね。みうも帰る準備しておいで」
「待ってるよ」

「うん、分かった」

 こう見ると2人共それぞれ中身が違う筈なのに……いつも通りに見える。
 僕は僕のように見えるし、みーちゃんはいつものみーちゃんのように見える。

 ある意味みうちゃんに取っては、まだラッキーだったかな……。
 入れ替わった先が同じ女の子で、しかも自分のお姉ちゃんなんだもの。
 性別が変わってしまっているみーちゃんと僕の方が大変なのかもしれない。

「みう、どうしたの? 早く教室行っておいで」
「う、うん。今準備して来るね」

 僕は初等部の教室へ向かいながら思い返していました。
 そういえばみうちゃんって、確かにいつも学校が終わると僕達の教室へ来てたなーって。


(ねえみうちゃん……じゃなくてろっくん。声に出すと周りに不振がられるから……一方的に聞いてくれるだけでいいんだけどね)

 僕が初等部の教室へ向かっていると、中の未宇ちゃんが話し掛けて来ました。

(みうちゃんのお友達の未来ちゃん、さっきプールでおまじないを掛けてたよね)

 そういえばそんな事もあったね。
 そしたら何故か本当に水着の食い込みが直ってしまって。

 教室に着いた僕は、みうちゃんの席の横に掛かっている赤いランドセルとプール袋を持ちました。
 小学生の女の子の象徴である赤いランドセルを背負い、プール袋を持って教室を出ます。

(そしたら不思議な事に、全く水着が食い込まなくなっちゃっていたよね)

 僕は廊下を歩きながら中庭を目指して歩きます。
 一方的ではあるけれど、未宇ちゃんのお話を聞きつつ。

(何だかあの時……私、魔力を感じたの)

 中庭の入り口まで戻って来ました。
 えーと未宇ちゃんのお話の方は……未来ちゃんから魔力?

(未来ちゃんって……もしかしたら、彼女も)
「魔法少女かもしれないって事?」

「魔法少女?」
「わわっ、みーちゃん!?」

 ふと気が付くと、僕はもう2人の元まで来ていたようで……視界にみーちゃんの姿が入り込んで来ました。
 えーっと中身は……みうちゃん、だよね?

(もう言わんこっちゃないよ……だから私、聞いてくれるだけでいいって言ったのに)

「みうちゃん、魔法少女って……」
「え、えーっと何でも無いの! よ?」

「みうちゃん、魔法少女にでも憧れているのかな?」

 僕の姿をしたみーちゃんがそう言ってきます。
 えーと……多分みーちゃんは中身が僕ではなく、みうちゃんと思い込んでいるんだよね。
 みうちゃんならばどういう反応を取るのかな……。

「う、うんー。魔法少女とかもしなれたら素敵かなーって」
「そういえば昔、小さい頃光ちゃんって言う女の子が居たよね、覚えてる?」

「光ちゃんって……めろんぱんの光ちゃん?」
「うん、そうそう。焼きそばパンとめろんぱんを持っていて、僕達にくれたんだよね」

「光ちゃん……懐かしいね。焼きそばパンをくれて……魔法少女になりたいって言ってたっけ」
「あれ、みうがもらったのはめろんぱんだった筈……」
「えっ!? あー……そーいえばそうだったっけ」

「えーと、まあそういう事もあったよね」

(光ちゃん……私も覚えてるなぁ。あの時は2人が遠くまで行っちゃって遅くまで帰らなくて……私、魔法の力で2人を必死に捜したんだよ)

 未宇ちゃん、そうだったんだ……どおりでみうちゃんが何故か僕達の所へ来てくれた訳だ。

「ともかく魔法少女って何だか憧れるよね!?」

 思わぬ昔話も出てきて……皆それぞれ入れ替わっているのに、お話もややこしくなりそうで。
 なのでこのお話は、僕がこの一言で締め括ってしまいました。

 僕とみーちゃんがまだ小学3年生で、みうちゃんが小学1年生だった頃。
 当時やんちゃだった僕が幼なじみのみーちゃんを連れて、隣町まで冒険へ行ってしまった事がありました。
 その時道に迷って途方に暮れていると、小学1年生の光ちゃんと言う女の子に出会って。

 その光ちゃんって子は、お腹が空いて困っている僕達におやつのパンをくれました。
 僕とみーちゃんは焼きそばパンをもらって、光ちゃんは残っためろんぱんを食べて。
 今思えばそれがきっかけだったのかな、僕の焼きそばパン好きのきっかけ。

 その後何故かみうちゃんが僕達の所へやって来て……隣町の全く知らない場所だったのに。
 ただ今分かった事として、中の未宇ちゃんが魔法を使って僕達を捜してくれていたらしい。

 後から来たみうちゃんもお腹が空いてしまっていたようで、光ちゃんから残りのめろんぱんを分けてもらってそれをおいしそうに食べて。
 そういえばみうちゃんのめろんぱん好きも、この時からだったのかな。

 そしてその光ちゃんは「魔法少女になりたい」と夢を語っていたんだ。
 魔法少女になる為に町のパトロールをしていた、と言ってたかな。

 魔法少女繋がりで光ちゃんのお話が出てきて……とても懐かしくて。
 光ちゃん、今も元気にやっているかな……。


 その後、僕達は3人でいつもの帰路へと着きました。
 みうちゃんは入れ替わり先がお姉ちゃんでしかも同性だったからか、結構自然だったけれど。
 僕になってしまったみーちゃん、みうちゃんになってしまった僕は何だか少しぎこちなく……。

 そんな感じだったけれどどうにか無事にみーちゃんと分かれて、僕達も無事みうちゃんの家まで帰りました。
 帰宅後みうちゃんの部屋でランドセルを下ろして、これからの事を考えていると……。

『コンコン』
「おねえちゃん、入ってもいいかな?」

 みうちゃんが部屋へとやって来ました。

「みう? うん、いいよ」
「じゃあ入りまーす……と言っても元はみうのお部屋なんだよね、何だかちょっと変だよね」
「あはははは……」

 みーちゃんになってしまっているみうちゃんは、本来自分の居るべきみうちゃんの部屋へとやって来て……。
 何か僕にお話でもあるのだろうか?

「ねえ、おねえちゃん」

 あ、そういえば僕って、みうちゃんには中身がみーちゃんだと思われているんだったっけ……。

「なーに、みう?」
「おねえちゃんの身体ってさ……生理、結構酷いのかな?」

 え、えーっと……完全にお姉ちゃんだと思われているようで。
 知らないのも全くおかしいし……み、未宇ちゃん、何かアドバイスを……。

(うーん、ろっくん困っているのかな。とりあえず相槌打ってみよ?)

「うん、お腹結構痛かったし酷いんじゃないのかな」
「あ、そういえば今日凄く痛そうだったよね? それに帰って来てさっきおトイレ行ったら出血が酷くてね、みう驚いちゃったんだよ?」

「そ、そんな出血酷かったんだ……」
「うん、もうナプキン一面真っ赤っかで、パンツにも血が付いちゃうんじゃないかと思ったくらいだよ」

 生理中であるみーちゃんの身体……僕じゃなくて、女の子であるみうちゃんが入ってくれて良かったのかもしれない。
 生理がそんな大変だなんて……中身が僕だったらどうなっていたものか。

「おねえちゃん、穿くタイプのナプキンでも使った方がいいんじゃないのかな。おねえちゃん、毎月生理でこんな酷い思いしてたの?」
「う、うん。恐らく……」

「恐らくって何で? おねえちゃん自身の事なのに」

 み、未宇ちゃーん助けてー……。

(私、代わろうか?)

 そうしてくれると助かります……。

 未宇ちゃんは僕の返答が聞こえない筈だけど……自分で判断したのか、身体の主導権が未宇ちゃんに変わっていました。

「あ、ごめんね。恐らくじゃなくてそうなんだよ。私、毎月酷かったの」
「そうなんだ、おねえちゃんの身体になった途端異常に重い感じがして、みうビックリしてたんだよ」
「うん、私の身体そんなに辛かったかな……」

 未宇ちゃんが僕の代わりにみーちゃんとして振る舞ってくれました。
 だけれどみうちゃんの反応は……。

「ねえねえ、あなたおねえちゃんじゃないよね?」
「えっ!? 何で……? みうちゃんはさっき私と入れ替わったよね?」

 みうちゃん、もしかして中身がみーちゃんじゃなくて僕だって気付いてた!?

「おねえちゃんは普段、あまり"私"って言わないんだよ。自分の事、みうみたいに良く"みい子"って名前で呼ぶんだよ?」
「え、えっとねみうちゃん。それは……みい子だって時々私って言いたい時だって」

「それにその喋り方、みうには何だか心当たりあるんだよ?」

 やっぱり気付かれているようで……。

「あぅっ……」
「あなた、もう1人のみう……未宇でしょ?」

「えっ……」

 みうちゃんは僕との僅かな言動の違いで、みうちゃんの中に居るもう1人のみうちゃん……未宇ちゃんの事をすぐに見抜いてしまいました。

 てっきり僕は中身がお姉ちゃんじゃなくて僕、と言う事がばれたのかと……。
 そっちじゃなくて、みうちゃんが気付いたのは未宇ちゃんの事の方だったようです。

「隠したり恍けたりしなくてもいいのよ。みうね、全部知ってるんだから」
「みうちゃん……やっぱり私の事、知ってたんだね」

「うん、物心付いた頃から、みうの中に知らない誰かが居る事に気付いてたよ。でも未宇ってば、何だかみうに気付かれないように隠そうとしてたみたいだから」

「私とお話してくれなかったのって、ただ単に知らなかったとか私の事が嫌いだったから、とかじゃなくて?」
「えっ、別にみうは未宇の事を嫌う理由なんて無いよ?」

「えっ、私全然口聞いてもらえないから……気付いてたかもしれないのにそうだったならば、てっきり私が嫌われてたものかと……だってみうちゃんから取って、私は勝手に一緒の身体の中に存在してしまったよそ者だもの」

「まあ私には未宇の言葉が届いてたから、未宇の考えは知ってたけどね」
「じゃあ何で全くお話してくれなかったの?」
「只単に……みうに気付かれないように存在を隠そうとしてたみたいだから」

「そうだったんだ……別に私の事、嫌いな訳じゃなかったんだ」
「むしろみうは同じ身体の中に居るもう1人のみうだし、一心同体だと思っていた程だよ?」

「そうだったんだ……みうちゃん、ありがと」
「只未宇が存在を隠そうとしているようだったから、ばれると何か不都合でもあるのかな……って思っちゃって。それでみう、気付いてた事を黙ってたんだ」

 なるほど、どうやらお互いを想い合ってすれ違いしていただけみたいだね。
 みうちゃんは未宇ちゃんが存在を隠そうとしているから、ばれると不都合なんじゃないかと思って気付かない振りをしていただけのようで。

 そして未宇ちゃん側はみうちゃんの中に勝手に入り込んでしまっていて、みうちゃんに迷惑掛けないようにする為、存在を隠そうとしていただけのようで。

「みう、知ってるんだよ。未宇が今まで何度も助けてくれた事。おねえちゃん達が隣町で迷っちゃったあの日の事、他にも初めての生理や体育の事件の時の事なども」

 体育の事件……? みうちゃんは過去に何か体育にまつわる事件でもあったの?

「後はみうが朝起きたらおも……あ、何でも無い無い! みうの中のおねえちゃんに聞かれてるかもしれないんだもん……(///」

 朝起きたらおも……えーっと、何だろう?

「みうちゃん……私の事、そんな風に大事に思ってくれていたんだ。ありがとう、嬉しいよ」
「未宇はきっと、突然中身がおねえちゃんと替わっちゃって戸惑っちゃったよね?」

「えっ、おねえちゃんって……あ、うん」

「おねえちゃんもみうの身体じゃ色々融通が違うかもしれないから……できれば何かしら困った事があったら、色々と助けてあげてほしいの」
「うん、勿論それは言われなくてもね。分かっているよ」

「ありがとう未宇。ところでそろそろ人格戻した方がいいんじゃない? それ、長くやってると身体に負担掛かるんでしょ?」
「あ……そうだよね、うん。今後ろに戻るよ」

「と言う訳で……おねえちゃん、今のお話全部聞こえてたかな?」
「う、うん。バッチリ聞こえていたよ」

「みうと入れ替わっちゃって……あははっ、おねえちゃんにはみうの秘密がばれちゃったね。姉妹なのに今まで隠しててごめんね? ビックリしたよね?」

「ビックリしたけど……隠してた事についてはいいと思うよ? お話を聞いてるとお互い想い合って気持ちがすれ違っていただけみたいだし、それにもう1人のみうちゃんに気付いた事を伝えてないのに打ち明けるなんて無理だよね?」

「うん、ごめんね……おねえちゃんも、もう1人のみうも」
(みうちゃん……いいのよ、ありがと)

「未宇ちゃんがいいのよ、ありがとだって」
「えへへ」

 みうちゃんが未宇ちゃんに対して、気付いていない素振りだったのは単純な理由でした。
 ところでみうちゃんは……未宇ちゃんが魔法少女だと言う事も知ってるのかな?

「ねえ、みう」
「なーに? おねえちゃん」
「みうはもう1人の未宇の事情も全部知ってるの?」

「うん、知ってるよ。おねえちゃんは聞いたのかな、別の星の女の子でみうの中に転生してしまったらしくて、魔法少女なんだよね」
「あ、知ってたんだね……じゃあみうにはお話しちゃうけど、いいかな……入れ替わった理由の件」

(うん、構わないわよ)

「実はね、みう……みい子達が入れ替わってしまった理由はね」

 僕は先程未宇ちゃんから聞かされた事を、そっくりそのままお話しました。
 あ、でもみーちゃんとの入れ替わりの事まではお話しなかったけれども。

「そうだったんだ、中の未宇が魔法少女だった事も魔力放出の事も知っていたから……魔法絡みだとは思っていたんだよ」
「うん、まあそういう訳で……戻る為にはみうが魔法少女になれれば良いそうな」

「うん、そういう事だったらみう、魔法少女になってもいいよ」
「えっ、そんなあっさり決めちゃっていいの?」
「別に死ぬ訳でも無いし、それにみう魔法少女に憧れていたもん!」

 あ、本当に憧れていたんですね……。

「光ちゃんに出会った時からね、密かにみうも魔法少女になれれば……と思ってたんだ」
「なるほど、光ちゃんの影響なんだね」
「でも魔法少女ってどうやったらなれるのかな?」

(ねえねえろっくん、私ちょっと出て来てもいいかな?)
「あ、中の未宇ちゃんが出て来たいって……ちょっとだけ代わるね」
「うん」

「えーっと……再び未宇です。実は魔法少女になるにはね、人間の女の子の場合12歳になれば私の星の技術を受け取る事で魔法少女になれるんだ」

「へー、そうなんだ。じゃあ意外と簡単になれちゃうものなのかな? 未宇から技術を受ければいいの?」

「実はね……私じゃみうちゃんを魔法少女にはできないの。私は魔法少女だから体質的に魔力を作り続けるけれど……でもね、1度死んでしまったみたいで元居たエムピ星人としての身体を失ってしまった身」

「エムピ星人? 未宇はエムピ星と言う星の女の子だったの?」
「うん、魔法を使うにはマジックポイントと言うものを使うんだけど、マジックポイントの事をMPと言うのよ。私の星の名前はそのエムピーの言葉が由来みたいなの」

「そうなんだ。それで未宇は何で技術を渡せないの?」
「エムピ星人としての身体がないとね……地球人の女の子に渡す魔法少女の技術が生成できないのよ」

「そうなんだ……じゃあみうは魔法少女にはなれないのかな。このまま元の身体には戻れなくなっちゃうのかな」

「実はね……みうちゃん。同じクラスにお友達の未来ちゃんって居るでしょ?」
「うん、みうのお友達の未来ちゃんだよね?」
「もしかしたら……未来ちゃんがエムピ星人の魔法少女な可能性があるのよ」

「えっ、そうなの!? みうもそこまでは知らなかったよ?」

「今日プールの時間に未来ちゃんがね、スク水がおしりに食い込まなくなるおまじないと言うのをやってくれたんだけど……その時の感じがエムピ星人の魔法その物っぽかったのよ」

「スク水食い込み……あぅっ、その事は言わないで(///」
「あ、みうちゃんってばやっぱり気にしてたんだ……ごめんごめん」

 こういう反応を見るとみうちゃんも色々秘密はあったようだけれど……何処にでも居る普通のかわいい女の子なんだな、と感じます。

「えーとつまり……もしかしたら未来ちゃんがエムピ星人の魔法少女かもしれないと?」
「うん、普通12歳で魔法少女に成り立ての地球人の女の子だったら、あそこまで魔力が安定してるとも思えないし……特に支障も無く魔法は完璧に掛かっていたもの」

「なるほど、じゃあもしかしたら未来ちゃんなら、みうを魔法少女にできるかもしれないって事だね?」
「うん、そういう事なのよ。じゃあ私はお話したい事は言ったから……また後ろに戻るね」

「ねえねえおねえちゃん聞いてたよね!? 未来ちゃんがもしかしたらエムピ星人で魔法少女かもしれないって!」
「うん、そういえば未宇ちゃんがさっき、未来ちゃんのおまじないの事をみい子に話そうとしてて……きっとこの事だったのかな」

 未来ちゃんがもしかしたらエムピ星人の魔法少女なのかもしれない……。
 何だか話は予想もしなかった方向へと進んで行き。

 この事実が今後僕達に取って吉と出るのか、それとも……。


 その後しばらくみうちゃんと「姉妹として」の雑談などをした後、みうちゃんは自分の部屋を出てみーちゃんの部屋へと戻って行きました。

「あ、ねえねえ未宇ちゃん。僕1つ思ったんだけどさ」
(うん、なーに?)
「仮に未来ちゃんが魔法少女だったとするよ。もしそうだったとして、未来ちゃんの魔法で入れ替わりを解決できないの?」

(結論から言っちゃうとね……恐らくろっくんとみうちゃんの入れ替わりは元に戻せるね。でもその後のろっくんとみーちゃんを戻すまではどうだろう……さっき言ったMPのお話は覚えてる?)
「うん、覚えているけれど」

(仮に未来ちゃんがエムピ星人で魔力が安定してたとしても、それでも未来ちゃんの年齢じゃMPに限界があるのよ。彼女だけじゃ2件ともなると負担が大き過ぎるわ)

「なるほど……確かに、魔法も使用できる限度があるならばそうだよね」
(だからみうちゃんも引き受けてくれるみたいだし、魔法少女になってもらって1件ずつ分け合って解消するのが無難かなって)

「なるほどね」
(それにね……いずれにしても、みうちゃんには魔法少女になってもらうつもりだったの)

「えっ、そうなの?」
(中の私が自然と魔力を作り続けてしまう以上、少しずつ放出していてもいずれみうちゃんの身体は耐え切れなくなってしまうの。だからどちにしろ魔法少女になってもらわざるを得なかった……)

「そうだったんだ……」
(でもね、みうちゃんは魔法少女を引き受けてくれたし、私の事を一心同体とまでも言ってくれた。だから今ならば安心してお願いできるよ)

 なるほど、そういう訳もあってみうちゃんは魔法少女になってもらうしかなかったんだ。
 もし今回の入れ替わりの件が無かったとして、みうちゃんが未宇ちゃんに気付かない振りをしているままだったとしたら。
 その場合はみうちゃんが自然的に魔法少女になれるかも分からなかったよね。

 もしそうなってたとしたら、その場合の解決策ってあったのだろうか……。

 とりあえず明日、未来ちゃんに会ったら確認してみる必要がありそうです。
 果たして未来ちゃんは本当にエムピ星人の魔法少女なのでしょうか……?


コメント欄

コメントを投稿するには画像の文字を半角数字で入力してください。


画像認証

  • 最終更新:2018-02-10 10:44:06

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード