第1話:消えゆく幼なじみ

 魔法少女 The Reboot 第1話:消えゆく幼なじみ

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「ゴッドアカリン様、お疲れ様です」
「ゴッドアカリン様、お疲れ様だにゃん」

「あらあら、様だなんて言わなくても良いといつも言ってますのに」

 地球から大分離れた場所に、エムピ星と言う名前の星があります。
 この星には大宇宙の守護神、ゴッドアカリンと言う宇宙で最強の魔法少女が居ます。
 ゴッドアカリンはとても優しい性格で、宇宙を守ると共に精霊達を従えて見守る存在です。


「ゴッドアカリン様、今日は時空の乱れを50箇所で観測したよ」
「50箇所もですか? 最近何だか多いわね。何か嫌な事が起こる予兆でなければいいのですが」
「でもいざとなれば、皆で力を合わせればどうにかなるさ。この星には魔法少女や超能力者が多いからね」

 ゴッドアカリンに馴れ馴れしく報告をしているのは、ミャンコと言う猫のような動物型の精霊です。

「未来予知でもできる魔法少女が居れば良いのですが。この星では確か、まだまだそういう能力に優れる魔法少女は居なかったですね」
「僕は時間に関する能力の使い手だけど、生憎過去への干渉ばかりだものね。未来特化でないのが残念だよ」

「そう言えばミャンコさんの所の女の子は、時間に関する能力を秘めているそうですね」
「うん、未来ちゃんは恐らく将来時間に特化した魔法少女になる。あと3年程すればだけどね」
「あと3年ですか。それまでに何か大きな危機が起きなければ良いのですが」
「きっと大丈夫さ。さっきも言ったように、何か起こったら皆でどうにかすればいいのさ」

「ミャンコさんの言うように、それで済めば良いのですけど……」

 このミャンコと言う精霊は、割りと楽天的な性格のようです。

「ところでゴッドアカリン様。時空の乱れが多発しても、気を付けてれば大丈夫なのでは?」
「通常であれば大丈夫ですね。しかし異常な程の量が発生してしまうと、さすがに宇宙規模で危険に晒される場合もあるかもしれません」
「ふーん、そうなんだ。まー僕には知った事じゃないけどね」
「そうなったらミャンコさんだって死んじゃう、かもしれないですよ?」
「その時はその時さ。僕は恐らく不死身だからね」
「それもそうでしたね。でも活動拠点となるこの星どころか宇宙が滅んでしまったら、言ってる場合ではなくなりますね」
「確かにそれも一理あるね。さすがに宇宙規模の危機が来たら、どうにか食い止める必要がありそうかな」

 ミャンコとゴッドアカリンはこんなやり取りをしていました。


「みうっちー、あーそぼっ!」
「未来ちゃん! うん、いいよ!」

 エムピスクール初等部に通う小学3年生の女の子、未宇ちゃんと未来ちゃん。
 この2人は生まれた時からずっと幼なじみで、いつも一緒に仲良く遊んでいます。

「ねえねえ、わたしも入れてー」
「あ、ルナちゃんもおいでよー」

 そしてクラスメートのルナちゃんも交えて、大体3人で遊ぶ事が多いです。
 学園でのお昼休み、3人はいつも通り一緒に遊んでいました。

「何して遊ぶー? かくれんぼー? おにごっこー?」
「ねえねえ! わたし、まほう少女ごっこしたーい」
「えー、まほう少女ごっこー? みうっちはいっつもそればっかり。相当すきなんだねー」
「だってー、まほう少女ってあこがれるんだもーん。わたし、大きくなったらすごいまほう少女になりたいんだー!」

「未宇ちゃん、今からがんばらなくてもいずれまほう少女になれるのにー」

 未来ちゃんからみうっちとの愛称で呼ばれている未宇ちゃん。
 彼女は魔法少女が大好きなようで、ごっこ遊びをするのもとても好きなようです。

「じゃあ今日もわたしが悪い人の役?」
「ルナちゃんが悪役で、わたしとみうっちできょうとうにしよー」
「何かいっつもわたし、悪役ばかりだよねー。そんなにわたし、悪い子なのー?」

「ルナちゃんはお調子者なところもあるから、何だかんだでにあってるかもねー」

「んもうっ! 未来ちゃんったらひどいなー!」
「あはは、ごめんごめーん」

 何だかんだ言いながらも仲良しな3人組。
 未宇ちゃん達は魔法少女ごっこを楽しみました。


「ねえねえ、何だか今日の空の様子、おかしくなーい?」
「もしかしてまた、時空のみだれでも来るのかな?」

 魔法少女ごっこをしていると、途中から空の様子がおかしくなってきました。

「わたし、何だかちょっとこわいなー……ごめん、わたし教室にもどるー」
「あ、ルナちゃん。分かったー」

 ルナちゃんは空の様子を見て不安に思ったのか、先に教室へ戻りました。

「みうっちー、ひさびさに二人っきりだねー。今日はうーんとにゃんにゃんしよっかー」
「いいよー。でも未来ちゃん、にゃんにゃんって何ー?」
「いいからいいからー。にゃんにゃんしよー」

 未宇ちゃんはにゃんにゃんの意味を良く分かってないようです。

『全校生徒にお知らせです。現在宇宙の状態が大変乱れてます。大きな時空の乱れが予測されているので、全校生徒はただちに学園内へ避難してください』

「え、今日って校内放送が入るほどひどいのー?」
「ルナちゃんの言ってた通り、何だか今日はおかしいのかな?」

「みうっち、わたしたちも教室にもどろっか」
「う、うん、未来ちゃ……あっ」

『ちょろろろろ……』

「わーっ、みうっち、またなのー?」
「ごめん、やっちゃった……」

 未宇ちゃんはどうやら、おしっこをおもらししてしまったようです。

「何だかこわいと思ったら、急に身体がふるえちゃって……」
「みうっちの場合いつもの事だし、仕方ないよ。元々おもらし多いものね?」
「わーっ、それは言わないでー!」

「だいじょうぶ。わたしはみうっちの事、りかいしてるつもりだから。もし売れのこったらわたしがもらってあげるからねー♪」

 焦る未宇ちゃんに対して、未来ちゃんは大胆発言をしていました。
 しかし未宇ちゃんはきょとんとしていて、良く意味が分かっていないようです。

「さ、おしっこのしょりをどうにかしたら教室へもどろっか」
「うん、未来ちゃん。いつもごめんねー……」
「わたしたちのなかだもの。気にしない気にしなーい。もうみんな外にいないし、ここでもいいかな」

 未来ちゃんはパンツを脱ぐように、未宇ちゃんを促しました。

「え、でもこんな所ではずかしいよー……」
「でもこのままじゃ気持ち悪いでしょ?」
「いいよー、いつもの事だし……」

「でもみうっち、女の子はデリケートなのよ? 早くどうにかしないと、こかんがかぶれちゃってたいへんよ?」
「うーっ、分かったよー……」

「わたしがきれいにしてあげるからねー。にゃんにゃん♪」
「未来ちゃん、何だかうれしそうだね?」

 2人は誰も居なくなってしまった中庭で、おもらしの後処理をしていました。


『ゴーーーーーッ!』
「え、何!?」

 その直後の事です。突然後ろから物凄い音が聞こえてきました。

「時空のみだれ!? もうこんな所まで……それにこれ、ものすごく大きい」
「み、未来ちゃん……わたし、こわい」
「だいじょうぶよ、みうっち。どうにか気をつけて教室内へもどれば……」

 時空の乱れは突如発生して、ブラックホールのように凄い勢いで何でも吸い込んでしまいます。
 地球の雷みたいに自己防衛をして、気を付けていればどうって事はありません。
 しかし遭遇して直接的な被害を受けてしまうと、とても危険な物なのです。

「みうっち、わたしの手、ぜったいにはなさないで?」
「う、うん……分かった、未来ちゃん」

「ってみうっちー! またおしっこちびってるー!」
「だ、だってー……こわくてつい」
「もうしょりしてるひまないよね……ま、まあわたしに取ってはむしろがんぷくなんだけど……」

「がんぷく? ってなーに?」

「あ、こっちのお話よ。それよりもわたしの手、しっかりにぎっててね……!」
「うん、分かった……」

 時空の乱れがあちこちで発生している中、未来ちゃん達は気を付けながら教室を目指します。


『ゴーーーーーッ!』
「にゃにゃっ!? こっちにもまた時空のみだれが!?」
「後ろからも……わたしたち、だいじょうぶなのかなー……」
「だいじょうぶ。みうっちの事は、ぜったいにわたしが守るんだから」

 そう言いつつも……未来ちゃん自身も足をガクガクと震えさせていました。
 こんな異常な量の時空の乱れに遭遇するのは初めてで、彼女も内心不安でたまらなかったようです。

「み、未来ちゃーん……」
「時空のみだれにかこまれちゃった……近づかなければだいじょうぶだけど、こんなに近きょりともなるとどうすれば」

「未来ちゃん……わたしたちって、12さいごろにならないとまともなまほうは使えないのよね?」
「うん、そうだけど……」
「でも未来ちゃん、時間にかんするまほうのさいのうをひめてるって言われた事があるよね? しょうらいゆうぼうだって」
「うん、そう言われた事はあるけど……」
「ならば時間ていしとか……実は使えちゃったりしないかな」

「あのねみうっち、さいのうがねむっていてもね、わたしたちはまりょくがせいせいされないとまほうが使えないの。まだわたしたち、9さいだもの……」
「そっかー……あ、ミャンコ! 未来ちゃんのせいれいのミャンコなら、きっとピンチをさっしてかけつけてくれるんじゃ」

 ミャンコは未来ちゃんと一緒に暮らしているのです。
 ご主人様のピンチとなれば、普通の時ならば助けに来てくれる筈です。

 しかし今日は特に姿を現す気配もなく……。

「多分ね、ゴッドアカリン様の元でいっしょに時空のみだれをたいしょして回ってるのかも。こんなにすごいんだもの。きっとあちこちで発生してるわよ……」

 ミャンコは時間を操る力に優れている為、精霊の中ではかなり優秀なのです。
 ゴッドアカリンの右腕として、大変な状況の時は行動を共にしている事も多いようです。

「そっか……ねえ未来ちゃん、わたしたち助かるよね?」
「もちろんよ、わたしたちのきずなはえいえんでしょ?」
「そ、そうだよね……未来ちゃん、わたししんじてる」

 しかしその後しばらくするも……結局2人は成す術も無く、じわじわと時空の乱れが2人に迫ってきます。


「未来ちゃん、わたし……おしっこしたい」
「え、こんなじょうきょうでおトイレなんて……もうその場でしちゃいなよ。わたし、かまわないから」
「でもさっきだってちびったのに、はずかしいよー……」

「みうっち、はずかしがってる場合じゃないでしょ。おトイレになんて行こうとしたら、時空のみだれに飲みこまれちゃうわよ」
「で、でもー……もう手に力が入らなくって……あっ!」

 みうっちはおしっこをしたくて気を緩ませてしまい、未来ちゃんから手を離してしまいました。

「みくちゃー…………!」

 その後みうっちの身体は、あっと言う間に時空の乱れに飲み込まれてしまい……凄まじい速さで声も途切れてしまいました……。

「え、うそ、みうっちが飲みこまれちゃった……うそ、でしょ?」

『ゴゴゴゴゴーッ!』
「え、ちょっと待って、これ、わたしもピンチじゃない!? え、やだ、わたし、まだ死にたくない……だれか、だれか……助けてー!」

「未来ちゃん。大丈夫だったかい」
「ミャンコ! とゴッドアカリン様……!」
「もう安心よ。さあミャンコと一緒に教室へ非難なさい。ここは私が何とかしますから」

「うぅっ……でも、でも! みうっちが!」
「未来ちゃん、みうっちがどうしたんだい?」
「飲まれちゃった……時空のみだれに飲まれちゃったの! 助けたかったけれど、わたし……何もできなかった」
「飲まれちゃったの? ゴッドアカリン様、どうにかなるのかな?」

「こんな大量な時空の乱れ、私も初めてだわ。恐らくこれは宇宙の危機なのかもしれないです……残念ながら、その女の子を助けられる可能性は……」

「え、じゃあみうっちは……助からないの!?」

「未来ちゃん、とりあえずまずは教室へ避難だよ。僕と一緒に教室まで飛んで行くよ!」
「う、うん……分かった」

 未来ちゃんはゴッドアカリンに聞くまで知りませんでしたが、どうやら宇宙規模の危機が起こっていたのです。
 時空の乱れに飲み込まれてしまったみうっちを目の当たりにして、何もできなかった自分の無力さを悔やみました。


「ゴッドアカリン様、大丈夫かい?」

 未来ちゃんを安全な場所へ移動させたミャンコは、再びゴッドアカリンの元へ戻ります。

「うぅっ……さすがに厳しいわ。でも私がどうにかしないと」

 他の精霊達にも励まされながら、ゴッドアカリンは時空の乱れを消して行きます。
 正確には消して行くと言うよりも……もはや対処が追い着かず、自身の体内へ取り込む事で消滅させて行くしかなかったのです。
 体内に取り込む事で時空の乱れのエネルギーを吸収して、他のエネルギーも全て自らに誘発して掻き消してしまおうとしたのです。

「ゴッドアカリン様! こんなやり方をしたら、身体がどうなってしまうか分からないにゃ!」
「でも私がやるしかないもの……全宇宙の危機だもの」

「ゴッドアカリン様、宇宙の寿命の為とは言え危険だよ。ゴッドアカリン様の身体が持たないと思うよ?」
「苦しいけど……私がやるしか」

 ゴッドアカリンは全宇宙の平和を願う宇宙の守護神であり、この世界で最強の魔法少女。
 もはやこの宇宙の危機を救えるのは、彼女しかありません。
 ゴッドと呼ばれているのは伊達ではないのです。

 ゴッドアカリンは自分の身体にエネルギーを誘発する形で、どんどんと時空の乱れを消して行きました。
 宇宙規模の危機に直面する程、大量発生した時空の乱れ。
 そんな大量のドス黒いエネルギーを自ら、一気に自分の身体に取り入れて消して行ったのです。

「後1つ……恐らくこれで最後……」

 彼女の身体は悪いエネルギーで膨れ上がり、もう極限まで弱りかけていました。

「お、終わった……わ」

 そして最後の時空の乱れを吸収する直前……ゴッドアカリンの身体は、最後の時空の乱れの中に吸い込まれてしまいました。

 その後、最後の時空の乱れは……静かに消滅して行きました。

「ゴッドアカリン様!? ゴッドアカリン様が時空の乱れに吸収されてしまったにゃ!」
「ゴッドアカリン様……どうなっちゃうのかな」
「ゴッドアカリン様……」

 周りでは精霊達がゴッドアカリンを心配しました。

 しかしその後ゴッドアカリンは二度と姿を見せる事は無く……それと引き換えに、全宇宙の平和は保たれたのです。

 この出来事はゴッドアカリン様が宇宙の危機を救った出来事として、今後永遠に語り継がれる事となります。


 ゴッドアカリンが犠牲となり、宇宙の危機は救われました。
 しかしゴッドアカリン以外にも……1人の女の子の犠牲が出てしまいました。

「みうっち……何で、何でみうっちが死ななくちゃならなかったの!? みうっちが何か悪い事でもした? みうっち……みうっち……!」

 時空の乱れは魔法少女が魔法を使うと、二酸化炭素のように星を覆って上空に溜まります。
 そしてそのエネルギーがある程度溜まると、時空の乱れが発生するのです。
 時空の乱れはとても危険なエネルギーで生成される為、何が起きるか分かりません。

「未来ちゃん、そう気を落とさないで」
「だってミャンコ……みうっち、きっと死んじゃったのよ……平気でいられるわけないでしょ……」
「たった1人の女の子の命が終わっただけだよね?」

「ちがう……ちがうのよ! みうっちは……みうっちはわたしに取って! かけがえのないそんざいなのよ!」
「ふーん、僕には訳が分からないよ」

 みうっちの死を素直に受け止められない未来ちゃんは、しばらくショックで立ち直る事ができませんでした。


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  • 最終更新:2018-02-09 12:00:28

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