マジカル3☆雨にも負けず(改訂版)

 光ちゃんにおまかせ! マジカル3☆雨にも負けず(改訂版)

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  • TSF 憑依 精神同居 百合 スク水



 6月、梅雨で心もじめじめとなりがちな季節。
「今日も雨で嫌ね」
「そうですね、早く止むといいですね」
「でも全然止まなそうだよね」
「梅雨だからって、毎日こんな調子じゃ気分も沈むわ」
「最近魔法少女も現れないですし、あかりはつまらないです」
「魔法少女だって、やる事が無い時もあるものね」
「光ちゃんは、最近活動してないの?」
「最近は助けを呼ぶ想いが来ないのよ」
「他に魔法少女が居ても、呼ばれなければ誰も出てこない訳ですね……」
「魔法少女にも休暇は必要って事なんじゃない?」
「そうかもしれないね」
「実際やってみると、毎日呼ばれるって疲れるし大変だよ……」
 光の正体がバレて以降、こういう会話もいつもの光景です。
「そういえば最近、魔法少女の妙な噂を聞いたんですよ」
「妙な噂?」
「えーとですね、魔法の暴走で人間の性別が変わる事があると言う話でして」
「それってつまり、魔法で男の子が女の子になっちゃうの?」
「早い話がそんなところですね?」
 あかりちゃんが仕入れた情報は、魔法によって性別が変わってしまった人間の噂でした。
「いくら魔法でも何でもありだなんて、さすがにバカバカしいわ」
「むーっ、じゃあ明梨さんはまた否定派なんですね?」
「否定も何もバカバカしいと言っただけですわ。そもそも考えてもみなさいよ?」
「考えるって何をですか?」
「魔法で女の子になれるならば、誰でも魔法少女になれちゃうじゃない」
「魔法の可能性は無限大なんですよ! ねっ、空明さん!?」
 あかりちゃんは珍しく、光よりも先に空明ちゃんへ話を振りました。
「まーあたしは否定はしない、かな」
(きっと輝の件があるからかな?)
(そうかもしれないね)

 先月輝の事が空明ちゃんに知られて以降、彼女は時々様子がおかしくなるようでして……。
「そういう人が居てもおかしくないですよね? 光さん……」
(あららー、空明ちゃんまた改まっちゃってるよ)
 どうやら空明ちゃんは輝の事を意識しだすと、改まってしまうようなのです。
「わ、私には良く分からないけど……」
「光さんが味方に着いてくれないとは、ちょっと意外なのです」
「あ、あぅ……」
「確かにあかりさんの言う通り、可能性は無限大じゃないのかな?」
「ふーん、私には関係ないしどうでもいいけどね」
(明梨ちゃんは魔法少女の存在は認めたけど、やはり毛嫌いしてるみたいね)
(これは何かあったのかもな)
 その後チャイムが鳴り、これから1時間目の授業が開始されます。

「さーて体育の時間ですね! と言っても外は雨で少し肌寒いです」
 体育前の10分休憩時間、ブルマ姿のあかりちゃんが元気良くやって来ました。
「冷えた体育館で授業なのね」
「考えるだけでも寒そうでやーね」
「そうだね……」
「ま、考えても仕方ないわ。さっさと着替えちゃいましょ」
「あたしも着替えよっと」
 そんな着替えの風景をあかりちゃんは眺めていて……。
「……あかり、何で私達の着替えを見てにやにやするのよ?」
「べ、別に何でもないですよ!」
「焦る辺りますます怪しいのよね。ま、いいわ」
「明梨さんいつも酷いです……あかりがやらしい娘みたいじゃないですか」
「えっ、あかりさんやらしい娘だよね? おしり見てにやにやするし」
「なっ、空明さん、ちょ……」
 もはやあかりちゃんに弁解の余地はありません……。
「あ、空明さんだって! いつも光さんのおしりを見て……」
「ギクッ! あ、あかりさんったら何を言ってるの?」
「今ギクッとしましたよね!? や、やっぱり空明さんは光さんの事が……」
「ご、誤解よ! あたし、そんなやらしい娘じゃないもんっ!」
「そ、そうだよね。空明ちゃんがそんな訳」
「光さんは分かってくれますよね!? あたし、そんなつもりないもん……」
(って空明ちゃんは言ってるけど、この焦り様はビンゴみたいね……)
(えっ、空明ちゃんが光のおしり見てたって本当なの?)
(恐らくそうね。空明ちゃん、まさかそっち方面に目覚めたんじゃ……)
「焦り方が怪しい気もしますね?」
「空明ちゃんがそんな娘な訳ないわ、変態はあかりだけで十分よ」
「何とー!? 明梨さん酷いです、魔法少女に訴えてやるです……」
「はいはい、勝手に訴えなさい」
「リリカルひかりんさーん! 明梨さんがぁー」
 空明ちゃんは顔を真っ赤にして、黙り込んでしまいました。
(何だか空明ちゃんの様子、前のあの時みたいな感じね)
(俺の事を受け入れた直後の、様子がおかしかった時みたいな……)
 その後4人は着替えを済ませて、体育館へ出向きました。

「あの、光さん……」
 お昼休み、光は控えめな口調で声を掛けられて、てっきり空明ちゃんに声を掛けられたと思いましたが……。
「あかりちゃん? どうしたの?」
(何だか思い詰めてるような表情ね?)
 声を掛けてきたのはあかりちゃんでした。
「ちょっと時間いいですか?」
「うん。大丈夫だよ」
(あかりちゃんが私だけ呼び出すなんて珍しいわね)
「光さん、急に呼び出しちゃってごめんなさい」
「いいよ別に。それで私に何か用?」
「実は空明さんの事なのですが……空明さん、どうも最近様子がおかしいですよね?」
「う、うん。確かにそんな感じはするよね」
(恐らく輝に対しての感情だろうけどね)
「実は空明さん、変な魔法に掛かってるなんて事はないかなと思いまして」
「あ、空明ちゃんは大丈夫だよ」
「でもおかしいですよね? 光さんのおしり見ていつも真っ赤になりますし」
「な、何でなのかなーあはは……」
「おしり見て真っ赤になるだなんて、あかりじゃあるまいし……」
「えっ、今何て?」
「あっ、違うんですよ!? あかりはやらしい娘じゃなくてですね!?」
(あかりちゃん、墓穴掘っちゃったね;)
「ではもし魔法でないならば、空明さんは光さんの事が……」
「そ、そんなまさか、ね?」
「そういえば今朝性別が変わる魔法の話をしましたけど、もしどちらかが実は元男だったりしましたら……」
『ギクッ!!』
「ギクッってもしもですよ? な、何で光さんが?」
「な、何でもない!」
(輝……焦り過ぎよ)
「まさかどちらかが元男の子、だなんて事はないですよね」
「そ、そうよ、そんな事絶対にないからね!?」
「ですよね、仮にそうだとしたら言ってもらえないと、裏切られてるみたいであかりは嫌ですもの」
(裏切られてる、か……)
「だ、大丈夫だよ! 私は正真正銘の女の子だから!」
「そうですよね。光さんは女の子だから魔法少女なんですよね」
 あかりちゃんは話を続けました。
「仮にですけど片方が元男の子でしたら、百合的な感情も辻褄が合うと思いましてね」
「本当に片方が元男の子だったらそうだよね……」
「しかし2人の仲がそこまで進展していただなんて……あかりの入り込む余地なんてないんですからー!」
 あかりちゃんはそう言って走り去って行きました。
「ちょ! あかりちゃ……」
(行っちゃったね、何だかまたややこしい事にならなければ良いけど)
 あかりちゃんは何かを勘違いしてしまったようです。

 放課後、明梨ちゃんが光を下校に誘おうとします。
「光、一緒に」
「明梨さん! ダメですよ!!」
「あかり、どうしたの?」
 あかりちゃんが明梨ちゃんを呼び止めました。
「あれ見てくださいよ」
「あの、光さん……一緒に帰りましょ」
「う、うん。じゃあ帰ろうっか」
「何だか良い感じじゃないですか? あの2人ってやはり」
「妄想するのは勝手だけどバカバカしいわ。光、一緒に帰るわよ」
「そ、そんな! 明梨さんっ!」
「あ、明梨ちゃんにあかりちゃん。じゃあ皆で帰ろ」
「あかりの努力も空しく……まあいいです。あかりも本当は一緒に帰りたいですから……」
「はいはい、愚痴なら後で聞いてあげるわよ。とりあえず一緒に帰るわよ」
「明梨さんがデレたっ!? まさか明梨さんにもあかりへの攻略フラグが!?」
「……これ以上余計な事言ったら、ぶつわよ?」
「ひぃっ! ごめんなさい!?」
「あははははー……」
「くすっ、2人はいつも騒がしいのね……あっ!」
 2人は目が合ってしまい、空明ちゃんは恥ずかしがって光から目を逸らしました。
「空明ちゃん、どうしたの?」
「な、何でもないの……」
(空明ちゃん、大分輝を意識してるね。もしや本当に……)
(ま、まさかな?)
「さては空明さん、やっぱり光さんの事が」
「……あかり」
「ひぃっ! ぶたれるっ!?」
「あははははー……」
 4人はこんな調子で下校しました。

 次の日の朝、今日は雨が降っていませんでした。
「おはようございます!」
「あかりちゃんおはよー」
「あかり、登校時間ズラしたのね?」
「早く学校へ行きたくて待つのも大変でしたよ!」
「ならば1人で行っちゃえば良かったじゃない」
「せっかくあかり頑張ったのに……明梨さんあんまりです」
「まあまあ2人共」
「じゃあいいですよ、あかりは先に学校へ行きますから! ねっ、明梨さん!?」
「ええ行ってらっしゃ……って、あかりっ! 一体何なのよ!?」
「さあ行きますよ、明梨さん!」
「ちょ、あーかーりぃーっ!」
 あかりちゃんは強引に明梨ちゃんを引っ張って行きました。
「い、行っちゃったね……」
「う、うん……」
 光と空明ちゃんは二人っきりになりました。
「光ちゃん……いえ輝さん、あの」
「ん、なーに?」
「輝さんってあかりさんの事、どう思います?」
「あかりちゃんの事?」
「はい、女の子を見てにやにやするじゃないですか」
「うーん、まあ恋の形って人それぞれじゃない?」
「で、ですよね!? 別に女の子同士好きになってもいいですよね!?」
「えっ、まあダメって事はないと思うけど……」
 空明ちゃんは何故かホッとした表情を見せました。
「あ、ごめんなさい……あたしったら」
「いいよいいよ、それより空明ちゃん」
「は、はいっ?」
「周りに他の生徒が居ると困るから、光ちゃんで呼んで欲しいかな」
「あ、ごめんなさい輝さん」
「あー、だ、だからね空明ちゃん……」
(空明ちゃん、緊張しちゃってるみたい……)
「あ……ごめんなさい光さん」
「いつも通り光ちゃんでいいんだよ? 今の俺は光ちゃんだもの」
(今は私だって言うなら、俺とか言っちゃダメでしょ)
「あ、ごめんよ光……」
「光ちゃんが何か言ってるの?」
「あ、うん。頭の中で光の声が聞こえるんだ」
「凄い、本当に輝さんと光ちゃんって一心同体なんだ」
「好きでこうなった訳じゃないけどね」
(ほんとよね、私も自由にお話したいよ)
「ごめんよ、光……」
「光ちゃんは何て?」
「私も自由にお話したいよ、と」
「あたしの声は聞こえてるんでしょ?」
(うん、聞こえてるよ)
「聞こえてるってさ」
「なら輝さんを通してお話できるよね?」
(まあ2人っきりの時でないと周りに怪しまれそうだけどね)
「2人っきりの時でないと周りに怪しまれそう、だってさ」
「そ、そうよね……」
「でも光は嬉しいみたいだよ」
「え、何で?」
「皆の事は見えるし声も聞こえるから。こんな状態でも皆と一緒に居られるからって」
「光ちゃん、ありがと。早く元に戻れるといいね……輝さんが元に戻れたら、きっとあたしは」
「はぁはぁ……やっとあかりから解放されたわ」
「あれ、明梨ちゃん」
「あかりったら強引なんだから……先にそのまま学校へ駆けて行っちゃって」
「ははっ、元気なあかりちゃんらしい。そういえば空明ちゃん、さっき何か言おうとした?」
「えっ? 何でもないよ……」
 空明ちゃんは何を言おうとしたのでしょう?

 放課後となり、下校時間になると雨が降って来ました。
「傘差して行くのも面倒ね」
「梅雨だし仕方ないわよ」
「うぅ……」
「あかり、どうしたの?」
「実は傘、家に忘れちゃったのですよ」
「梅雨なのに、折り畳みとか持ってないの?」
「置き傘してないんだ?」
「朝は玄関に置いたですけど、持って来るのを忘れたのです。魔法少女さんが取って来てくれると嬉しいです……」
 あかりちゃんは光ちゃんをじーっと見ます。
「うっ……私に取って来てほしいの?」
「困った人を助けるのが、魔法少女さんですものね!」
「あかりちゃん……魔法少女は便利屋じゃないんだから」
(でも人助けになるし、いいんじゃない?)
「光が手を煩わすまでもないわ」
「明梨さん、何か策でもあるのですか?」
「私の傘にお入りなさい。ただしあんまり密着し過ぎない事、あとセクハラ禁止よ」
「セクハラって、あかりはそんな事しないですよ!」
 あかりちゃんの傘の件は、どうやら無事解決したようです。
「何だか私、魔法少女なのに何もできなくて情けないや……」
「光さん、元気出して?」
「うん、ありがと。空明ちゃん」
「何なら光さんも……あたしの傘、一緒に入る?」
「はいっ!?」
「明梨ちゃんとあかりさんも、一緒に傘差すみたいだし。ちょうど良いかなぁって」
 光は空明ちゃんから、相合傘のお誘いを受けました。
「うーん、私は自分の傘を持ってるし、一緒だと狭いから大丈夫だよ」
(あらら、断るんだ;)
「そ、そうですか……ご、ごめんなさいね、あたしったら」

「ひーかーりーさぁーん、どうやら傘が邪魔みたいですねぇー」
「え、あかりちゃん、どうしたの突然」
「光さんの傘、あかりに貸して欲しいな♪ にやにや」
「あかりが何か企んでる目だわ……」
「明梨さんと一緒の傘なんてごめんなのですよ! あかりがセクハラするって苛めますし」
「禁止と言っただけでしょ!?」
「そういう訳なので光さん、傘貸してくださーい」
「あ、はい……どうぞ」
「ありがとうございます! 光さんの傘が無いですねー、空明さんに入れてもらうしかないですね!」
 あかりちゃんが空明ちゃんに、目で合図を送りました。
(え、あかりさん……気付いてる!?)
 空明ちゃんはあかりちゃんの合図を受けて、再び光に打診します。
「光さん……やっぱりあたしの傘で一緒に」
「そうだね。傘貸しちゃったから……空明ちゃん宜しくね」
「は、はいっ!!」
「でもあかりさん良かったの? せっかく明梨ちゃんといちゃらぶできたのに」
「空明ちゃんまでバカな事言わないでよ……」
「そうですよ。あかりが好きなのは明梨さんではなくて、皆さん平等に好きなんです!」
「その発言もどうかと……」
 光と空明ちゃんは相合傘をして帰りました。

 光達は土砂降りの雨の中、ようやく家に着きました。
(助けて……)
(輝、今助けを求める声が聞こえなかった!?)
「確かに聞こえたな。きっと魔法少女の助けを必要としているんだ」
(行かなきゃ! 輝、変身よ!)
「魔法少女の出番かにゃ? リリの出番は今回これだけで終わりだにゃん……」
(ごめんねリリ……恨むならば作者を恨むのよ)
「魔法少女になれたらいいな♪ 魔法少女、リリカルひかりん参上よ♪」
(じゃあ行くわよ、輝!)
 光達は悪天候の中、外へと出ました。
(雨、さっきより強くなってるね)
「こりゃ空を飛んで行くのは無理だな」
(あら、大丈夫よ? その為のスク水でしょ?)
「えっ、そうだったの?」
 光がそう言うのだから大丈夫だろうと思い、輝はステッキに跨りました。
「おー凄い、本当に大丈夫そうだ! って落ちるーっ!」
『ドスーン!』
(いたたっ……おかしいわね、雨でも平気な筈なのに)
「光はまだドジッ娘だから、やっぱり私が居ないとダメだにゃ」
(あ、リリ……)
「スク水は特殊コーティングが掛かってるから、雨でも平気だにゃ。だけど上の服は無効だにゃ」
(と言う事は……あちゃー、魔法少女の服がずぶ濡れね)
「スク水になれば飛んで行けるのか……でも俺は流石にごめんだよ」
「じゃあこの雨の中、傘を差してずぶ濡れで活動するにゃん?」
「それも嫌だな……スク水で行くしかないのか」
「雨にも負けず、恥にも負けず、って言うにゃん」
(何だかそれ、間違ってるような……)
「雨にも負けず、スク水で行けばいいんだな!?」
 輝はずぶ濡れになった魔法少女の衣装を脱ぎました。
「この衣装は洗濯しておくから、後は任せるにゃん。それじゃ気を付けて行くんだにゃ」
「あ、何だか変な感じ。スク水だと雨が勝手に弾かれるんだね」
(えへへー、魔法少女って凄いでしょー)
「し、しかしこの格好で活動はさすがに……」
(ブルマと同じような物よ。輝も強くならないと、魔法少女務まらないわよ)
「ブルマと同じ次元なのかなぁ……」
 スク水姿の光ちゃんは、再び空へ舞い上がりました。

(輝、助けを求める声はこっちなの?)
「ステッキを頼りにした感じだと、そうみたいだな。あ、あそこに誰か居るね」
(あの女の子かな? 下りてみましょ)
「うぅっ……助けて」
「もう大丈夫よ、魔法少女リリカルひかりん参上よ♪」
「あ、光さん! 来てくれたですか!?」
「助けを呼ぶ想いが届いたから……ってあかりちゃん?」
(あらら、あかりちゃんだったのね)
「ご、ごめんなさいです、こんな雨の中わざわざスク水姿で……にやにや」
「あの、あかりちゃん、口元が大分緩んでるよ……それで、何かあったの?」
「実は光さんから借りた傘、風で飛ばされちゃったのです」
「そうだったんだ。それで家に帰れなくて困ってたの?」
「違うのですよ。あかりは濡れたっていいですけど、光さんから借りた傘は見つけないとです」
「なるほど、でも風で飛んじゃったなら仕方ないし、私は別にいいよ?」
「ダメですよ。それではあかりが、風に負けたみたいじゃないですか」
「と、言いますと?」
「良く言うじゃないですか。雨にも負けず、風にも負けずと」
(自分の傘を探す事になるだなんてねぇ)
「分かった……じゃあ探そ?」
「光さんでしたら探さなくても、召喚魔法でどうにかできますよね!?」
「召喚魔法は以前空明ちゃんの件で……」
「私は魔法少女を信じてます。何しろ魔法少女ですから!」
(うーん……輝、どうしよっか?)
「光さんなら失敗なんてしませんよね!?」
「あかりちゃんごめん……私ね、まだ魔法少女としては未熟なんだ」
「え、そうなんですか?」
「魔法少女だからって、必ずしも何でも上手くできる訳ではないのよ。地道に探しましょ? 雨にも負けずだよね?」
「……うーん、分かりました。じゃあ手分けして探しましょう」
「その代わり傘が無くても大丈夫なように、あかりちゃんを雨から守って欲しいな♪ えいっ!」
 あかりちゃんの身体を優しい光が包み込みました。
「雨が当たらないです! やっぱり光さんは凄いです! ありがとうございます!」
「そういえば明梨ちゃんは?」
「先に帰ったです。あかりが傘を飛ばされたのは、明梨さんと別れた後なのです」
「そっか、分かった」
 光はあかりちゃんと一緒に、傘探しを始めます。

 それから数十分、傘が見つかる気配はありません。
「そういえば光さん、空明さんと進展はあったですか?」
「ちょ、空明ちゃんとはそんなんじゃないって」
「今日だって相合傘で良い感じだったじゃないですか!」
「あかりは相変わらずね。光が困ってるでしょ」
「あれ、明梨さん?」
(こんな土砂降りの雨の中、どうしたんだろう?)
「あかりを捜してたのよ、ちょうど光も一緒で良かったわ」
 明梨ちゃんの手には、光ちゃんの傘が握られていたのです。
「これ、途中で落ちてるのを見つけてね。あかりが光から借りた傘よね?」
「あ、そうです! ありがとうございます!」
「ところで何で光はスク水? いくら雨だからって」
「あ、これはね……」
「光、ついに痴女にでもなった?」
「これは魔法少女の特殊コーティング装備なんですよ! 雨はもちろん! あらゆる物から身を守ってくれるのですよ!」
(あ、あかりちゃん……詳しい)
「あら、何も説明してないのに……流石あかりちゃん」
「ふーん、そうなの。じゃあ傘も無事戻ったし、皆で帰りましょうか。でもその前に光、その格好はさすがにアレだから着替えてらっしゃい」
「あ、そうだね。じゃあちょっと、変身解いてくるね」
(やっぱりスク水で活動するって、おかしいのかな)
(そりゃあ、ヘタすれば変な方向に行っちゃうかもしれないぞ)
 光は2人の元から少し離れて、変身を解くと再び2人の元へ戻ります。
「お待たせー……って! 私、魔法少女のまま来たから、傘持ってなかった!」
「あ、じゃああかりの借りた傘、光さんに戻すですよ」
「ありがと。って、それじゃああかりちゃんが濡れちゃうよ」
「大丈夫です! 光さんの魔法がありますもの!」
「あかり、ずぶ濡れで何言ってるの?」
「あ、光さんが変身を解いたから、雨避けの魔法も解けたですか!?」
「み、みたいだね……ごめんね」
「これじゃああかり、濡れ濡れで何だかエロいじゃないですかー!」
「……あかり、私の傘へ入りなさい」
「えっ、でも明梨さんは、あかりがセクハラするから嫌だって」
「禁止と言っただけよ! それにセクハラは、光のスク水で十分堪能したから大丈夫でしょ?」
「明梨ちゃん、それどういう意味……;」
「明梨さん、あかりでは嫌みたいだし悪いです……」
「私が入れたいって言ってるのよ、いいからさっさと入りなさい! 風邪引いちゃうでしょ?」
「は、はい! ありがとうございます明梨さん!」
(何だかんだで仲良いんだから)
「明梨さん、大好き♪」
 その後のあかりちゃんは上機嫌そうでした。

 6月も日付が経ち、下旬近くに差し掛かります。
 光ちゃん達の通うよもぎ小学校は、明日からプール開きです。
 いつも通りの4人で下校しながら、プールの事についてお話していました。
「皆さん! いよいよ明日からプールですよ!」
「元気なあかりにはお似合いね」
「はぁ、プールかぁ」
「空明さん、何だか元気ないですね?」
(空明ちゃんって、そういえば……)
「空明ちゃんは、プールが苦手だったわね」
「えっ、そうなんですか!? あくあさんなのに?」
「名前は関係無いわよ。あかりは去年、クラスが違ったものね」
(それであかりちゃんは知らなかったのね)
「あたしだけいつもビート板で、何だか惨めだよ……」
「大丈夫ですよ! あかりがどうにかします!」
「泳ぎ方でも教えてあげるっての?」
「魔法少女に頼んで、どうにかしますよ!」
「……結局それなのね」
「光さん、魔法で空明さんを泳げるようにできないですか?」
(光、そういう事もできるのかな?)
(魔力さえ足りればできるかも。でも私達はまだ未熟だから、恐らく無理ね)
「私はまだ魔法少女として未熟だから……魔法が成功するかは分からない。ごめん」
「では他の魔法少女さんを呼んでみますか?」
「そ、それは……うぅっ、私、役立たずでごめんなさい……」
 光はへこんでしまいました。
 お友達の役に立てない事が相当ショックだったのです。
「光さんは悪くないです! これから経験を積んで、凄い魔法少女になるのですよね!?」
「なれるといいなー……」
「ヒロインだからラスボスをも越える存在になるのですよね!?」
「ラスボスはさすがに居ない、と思うけど;」
「はぁ、明日から気が重いなー」
「心配しなくても大丈夫よ。少しずつ練習していけば良いのよ」
「そうだよ、空明ちゃん。私だって魔法少女として少しずつ慣らしてるんだもん」
「で、でも、ビート板はあたしだけだから……恥ずかしくて」
「じゃあ今度の休みにでも、皆で市民プールへ行かない?」
「空明さんの特訓ですか? 市民プールって事は皆さんの水着姿ゲットですね!?」
「……あかりは来なくていいわ」
「うぅっ、また明梨さんが苛めます……」
「あかりちゃんってば、何だかやらしいよね……」
「空明さんだって、光さんらぶじゃないですか」
「あ、あかりちゃんってば! もうっ……」
「はいはい、空明ちゃんをからかわないの」
「なら明梨さんだって、あかりをからかわないでくださいよ」
「やらしい事を言うからよ。で、どうする? 空明ちゃんと光次第だけど」
(市民プールで特訓ねぇ、良いんじゃない?)
「うん、私は別に良いけど」
「空明ちゃんは?」
「あたしは……」
「あかりはもちろん行きます!」
「あかりには訊いてないんだけど。まあいいわ」
「空明ちゃん、どうする?」
「あたし、プール怖いから……」
「怖がってばかりだと、学校でも困るんじゃないかな」
「あたしも光ちゃんみたいに、魔法少女だったら……自由に泳げるようにもなれたかなぁ」

「魔法少女なんて、そんな良いものじゃないわよ……」

「うーん、そっかぁ……そうなんだ?」
「何で明梨さんが、そんな事言うですか?」
「べ、別に……光を見てると大変そうだし、何となくよ!」
「確かに色々と大変な時もあるけどね」
「でもあたし、魔法少女には憧れるな。だって魔法で人助けできてカッコいいじゃん?」
「ですよね! 魔法少女はとても素敵なんです!」
「はいはい、分かったから。それで、プールはどうする?」
(空明ちゃん、行きたくないのかな)
「空明ちゃんだって頑張れば、きっと泳げるようになるよ」
「光さん……?」
「私も特訓に付き合うから。空明ちゃんならね、きっと魔法よりも素敵な奇跡を起こせるよ。だから私と一緒に頑張ろ?」
「えーと……は、はいっ! あたし、頑張ります!」
「決まりね。じゃあ次の日曜日、市民プールに集合で良いわね?」
 全員了承して話がまとまりました。
「時間は10時くらいで大丈夫?」
「そうだね、そのくらいの時間でちょうど良いかな」
「じゃあ次の日曜日、10時に市民プールね」
「皆ごめんね、あたしなんかの為に」
「気にしないでください! 皆さんの水着姿も拝めますし!」
「……やっぱりあかりは来なくていいわ。むしろ来るな」
「うぅっ、明梨さんが……それなら空明さんも同じですよ」
「何で空明ちゃんが? それに空明ちゃんの特訓でしょ」
「あははははー……」
 空明ちゃんの特訓の為、皆で市民プールへ行く事になりました。

 家へ帰った光ちゃんは、お金を数えてました。
「ひいふうみい……貯金、足りないね」
「ここ最近暑いからってジュースを買い過ぎだにゃん。そして最後にまた出番があって良かったにゃん」
「そういえば光ったら、暑いからジュース買おうってそればかりだったね」
(うー、だって暑いんだし仕方ないじゃない)
「プールどうしよっか、魔法でお金を出すのはマズいよね?」
「できなくはないけどそれはズルいにゃ。どちみち光達の魔力じゃ無理だにゃ」
「お金を出すってやっぱり高度魔法なの?」
「魔力が数値で分かるとしたら、カンスト程までは行かないと厳しいにゃ」
(お金を手に入れるのは楽じゃないって事ね。お母さんにお小遣いをお願いする?)
「今月は光がわがまま言って、大分冷蔵庫にジュース買って貰ったよね?」
(うぅっ、そうだけれど他に方法がないもん)
「そうだね、それしかないかなぁ」
 その後母親に交渉して、どうにか光ちゃんはお小遣いをゲットしました。

(リリ、お母さんからお小遣い貰えた!)
「良かったにゃん、光♪」
(空明ちゃんに泳げるようになってほしいものね)
「俺も空明ちゃんには頑張ってほしいもの。後押ししたのに、俺達が行けないんじゃ可哀想だもんね」
「そうだにゃん。次の日曜日は存分に特訓して楽しんで来ると良いにゃん」
 お小遣いもどうにかなったので、次の日曜日は市民プールで空明ちゃんの特訓です。
「でも明日は早速プールなんだよね、空明ちゃん大丈夫かなぁ」
(一応ビート板があるからね。でも確かに1人だけじゃ可哀想よね)
「光達もビート板で泳げば良いにゃん?」
(だ、だってビート板なんて恥ずかしいじゃん……)
「ブルマやスク水は平気なのに、ビート板は恥ずかしいのかい」
(い、いいじゃん別にっ!)
「そういえば光って、もう水は怖くないのかにゃん?」
(うん、今ではもうすっかり大丈夫よ)
「水が怖かったの? 光は過去に何かあったの?」
(ま、まぁ色々とね)
「光は川に流され掛けてた私を、助けてくれた事があったんだにゃ」
「へぇー、そんな事があったんだ?」
「でも光が溺れ掛けちゃって……その時は、私が魔法で助けたんだにゃ」
(あの頃はまだ私も小さかったし、リリが魔法を使えるって知らなかったもの。奇跡が起こったかと思ったよ)
「それが私と光の出会いなんだにゃん♪」
「へぇー、そうなんだ」
「あんな事があったのに水を克服したなんて、光は強い子だにゃ。それでこそ魔法少女だにゃん!」
(えへへー、昔の事を引きずってたら、いつまで経っても前進できないもの)
「そうだよな、引きずってたらいつまで経ってもそのままだもんな」
(空明ちゃんだって、きっと自分を信じれば前進できる)
「そうだな、後は俺達が頑張って、後押ししてあげれば良いんだものね」
(何としてでも、空明ちゃんには頑張って泳げるようになってもらおう)
 光達は空明ちゃんを泳がせようと決心しました。


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  • 最終更新:2018-02-10 16:39:51

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