マジカル3☆雨にも負けず

 光ちゃんにおまかせ! マジカル3☆雨にも負けず

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  • TSF 憑依 精神同居 百合 スク水



6月、梅雨が鬱陶しく、心もじめじめとなりがちな季節。

「はぁ……今日も雨なんだ」

1人のかわいらしい少女は、傘を差して学校へ登校していた。

(まあ梅雨だものね……鬱陶しいけど仕方無いよね)
「でもなぁ……傘を差して登校するのって、面倒だよな」
(まぁね……でもどうにもならないよ)

少女が会話をしている相手は、脳内に存在している本来の身体の主である光ちゃん。
青年の輝は魔法の暴走によって、光の身体へと吸収されてしまった。
今では輝が光の身体の主導権を握り、光と共に魔法少女として頑張っている。


■このお話は~~~

何だか良く分からないうちに、謎の猫と契約させられて魔法少女になってしまった光。
そしてその光に吸収された輝は、自分自身が元の身体に戻る為、光の魔法少女活動に付き合う。
元に戻る為には悪い魔女達を沢山倒して、戦利品のアイテムを集めなければならない。

魔女を狩って戦利品を集める事こそが、魔法少女を保つ必須条件である。 
しかしそんな魔法少女のサイクルには、とんでも無い罠が隠されていると光達は知らず……。


「私はそんな強引に契約なんてさせてないにゃ?」

まあ実際はそうでしたよね……。

「作者のパロディネタは本編と関係無いので置いといて、とっとと本編へ入るにゃ♪」

「今日も雨で嫌ね……」
「そうですね、早く止まないかな……」
「でも全然止みそうな気配、無いよね」
「そうだね……」
「ここんところ梅雨だからって、毎日こんな調子じゃ気分も沈むわね」
「そうですよね、最近魔法少女も現れないみたいですし、あかりはつまんないです」
「まあ魔法少女だって、やる事が無い時もあるものね……」

「光ちゃんは、最近活動して無いの?」
「雨だからあんまり外に出たく無い、ってのもあるけど……でも最近は、助けを呼ぶ想いが来ないのよ」
「へぇー、そうなんだー」
「他に魔法少女が居ても、必要が無いなら誰も出て来ない訳ですね……」
「まあ魔法少女にだって、休暇は必要って事なんじゃない?」
「そうかもしれないね」
「実際やってみると、毎日呼ばれるとなると疲れるし大変なんだよ……」

光の正体が皆に分かってしまってからは、こういう会話もすっかりといつもの光景です。

「そういえば何だか最近、魔法少女の事で妙な噂を聞いたんですよ」
「妙な噂?」
「えーとですね、魔法の暴走によって、人間の性別が変わってしまう事があると言う話でして」
「それってつまり、魔法で男の子が女の子になっちゃったりするっての?」
「早い話がそんなところですね?」

魔法少女マニアのあかりちゃんが仕入れて来た情報、それは魔法によって性別が変わってしまった人間の噂でした。

「でもいくら魔法だからって、何でもありだなんて事はさすがにバカバカしいわ」
「むーっ、じゃあ明梨さんはまた否定派なんですね?」
「否定も何も……バカバカしいと言っただけですわ。そもそも考えてもみなさいよ?」
「考えるって、何を……ですか?」
「魔法で女の子になれちゃったりするならば、誰でも魔法少女になれちゃうんじゃない?」
「あ、確かにそうよね……」(で、でも一応輝さんの件もあるし、あたしの意見は……)
「まあそうかもしれませんよ、でも魔法の可能性は無限大なんですよ!ねっ?空明さん!?」

あかりちゃんは珍しく、光よりも先に空明ちゃんへ話を振りました。

「ま、まぁ……あたしは否定はしない、かな」
(きっと輝の例があるから……かな?)
(恐らく、空明ちゃんが考えてるのはそれだね)

先月輝の事が空明ちゃんに知られ、一時期光ちゃんを避けてた空明ちゃん。
その後輝の件が落ち着いたと思いきや、空明ちゃんの様子は少しおかしかったけど……最近は再び落ち着いたようです。

でも、空明ちゃんはまたしても……。

「そういう人も居たって、おかしく無いですよね?光さん……」
(あららー、空明ちゃん、また改まっちゃってるよ……)

どうやら輝の事を意識し出すと、改まってしまう空明ちゃんなのでした……。

「ま、まぁ……わ、私には良く分からないけど……」
「えーっ、光さんが味方に着いてくれないとは、ちょっと意外ですね……」
「あ、あぅ……」
「ま、まぁ確かに、あかりさんの言う通り可能性は無限大じゃないのかな?」
「ふーん、まぁ私には関係無いし、どうでもいいけどね」

(明梨ちゃんは魔法少女の存在は認めたけれど、何故かやはり魔法自体は否定するみたいね……)
(だな……これは何かありそうかもな)

『キーンコーンカーンコーン』

「あ、じゃあ私達は教室へ戻るわ。また後でね」
「皆さんまた後でー!」
「あたしも席に戻るね。ひ、光さん……」

3人はチャイムと共に、一斉に席へ戻って行きました。
これから1時間目の授業が開始されます。


「さーて体育の時間ですね!と言っても今日は外は雨、少し肌寒いですね……」

体育の授業前の10分休憩時、ブルマ姿のあかりちゃんが元気良くやって来ました。

「冷えた体育館で授業なのね……」
「今から考えるだけでも、寒そうでやーね……」
「そうだね……」
「ま、考えても仕方無いし、さっさと着替えちゃいましょ?」

明梨ちゃんはそそくさと着替え出しました。

「あたしも着替えちゃおっと」

続いて空明ちゃんも着替え始めます。
そんな着替えの風景を眺めて、あかりちゃんは何だか……。

「……あかり、何でいつも私達の着替えを見て、にやにやしてるのよ?」
「べ、別に……何でも無いですよ!気のせいですってば!」
「焦るところがますます怪しいのよね……まっ、いいわ」
「明梨さん、いつもいつも酷いです……あかりがやらしい娘みたいじゃないですか」
「えっ、でもあかりさん、やらしい娘だよね?おしり見てにやにやするし」

「なっ……あ、空明さん、ちょ……」

もはや弁解の余地が無いあかりちゃん。

「そ、そんな事言うなら空明さんだって!何だかいつも光さんのおしりを見て……」
「ギクッ!あ、あかりさんったら何を言ってるの?」
「何か今ギクッて言いましたよね?や、やっぱり空明さんって光さんの事が……」
「ご、誤解よ!あたし、そんなやらしい娘じゃ無いもんっ!」
「そ、そうだよね。空明ちゃんがそんな訳……」
「光さんは分かってくれますよね!?あたし、そんなつもりじゃ無いもん……」

(って空明ちゃんは言ってるけど……この焦り様は、ビンゴみたいね……)
(えっ、じゃあ空明ちゃんが光のおしり見てたって、本当なのかな?)
(恐らくそうね。空明ちゃん、まさかそっち方面に目覚めちゃったんじゃ……)

「焦り方が怪しい気もしますけど……」
「空明がそんな娘な訳無いわ、変態はあかりだけで十分よ」
「何とー!?明梨さん酷いです……うぅっ、魔法少女に訴えてやるです……」
「はいはい、勝手に訴えなさい」
「リリカルひかりんさーん!明梨さんがぁーーーっ」

「……………」

空明ちゃんは顔を真っ赤にして、黙り込んでしまっている。
何だかそんな空明ちゃんの様子はまるで……。

(なんだか空明ちゃん、前のあの時みたいな感じね……)
(だな。俺の事を受け入れてくれた直後の、様子がおかしかった時みたいな……)

『キーンコーンカーンコーン』

「あ、予鈴だわ。もたもたしてたら始まっちゃうわ、急ぐわよ」
「う、うん」

4人は着替えを済ませて、体育館へ出向いて行った。


そしてその日のお昼休みの出来事。

「あの、光さん……」

何だか控えめな口調で光さんと呼ぶ声。
てっきり光と輝は、空明ちゃんに声を掛けられたと思ったようですが……。

「あれ、あかりちゃん?どうしたの?」
(何だか少し、思い詰めてるような表情ね……)

声を掛けたのは、空明ちゃんでは無くあかりちゃんでした。

「ちょっと時間いいですか?」
「え?う、うん。お昼は食べ終わったし構わないけど」

光ちゃんはあかりちゃんに、廊下へ呼び出されました。

(あかりちゃんが私1人だけ呼び出すなんて、珍しいわね……)
「光さん、急に呼び出しちゃってごめんなさい」
「ん、いいよいいよ別に。それで、私に何か用?」
「あの、実は空明さんの事なのですが……」

あかりちゃんは空明ちゃんに対して、何か気になる事でもあるのでしょうか?

「あのですね、空明さん……どうも最近、様子がおかしいですよね?」
「う、うん。何だか最近はそんな感じがするよね……」
(まあ恐らく、輝に対しての感情なのだとは思うけどね……)

「実は空明さん、何か変な魔法でも掛けられてるなんて事は無いかな、と思いまして……」
「……あ、空明ちゃんは大丈夫だよ。そんな事は無いよ」
「でも空明さん、やっぱりおかしいですよね?光さんのおしり見て、いつも真っ赤になってるし」
「な、何でなのかなー、あはは……」
「おしり見て真っ赤になるだなんて、あかりじゃあるまいし……」

「えっ?今なんて?」

「あっ、ち、違うんですよ!あ、あかりはやらしい娘じゃなくって!!」
(あかりちゃん……墓穴掘っちゃったね;)
「じゃあもし魔法じゃ無かったならば、空明さんは本当に……光さんの事が……」
「そ、そんな……まさか、ね?」

「ではさっき言った性別が変わってしまう魔法のお話で、もし2人のどちらかが実は元が男の子だったりしたならば……」
『ギクッ!!』
「ギクッってもしもですよ!?な、何で光さんが……?」
「な、何でも無い無い!!」

(輝……あ、焦り過ぎよ……)

「そ、そうですよね。まさか光さんか空明さんが元は男の子、だなんて事はさすがに無いですよね?」
「そ、そうよ、そんな事絶対に無いんだってば!」
「ですよね、安心しました……もしそうだったら言ってもらえないと、裏切られているみたいであかりは嫌だもん」

(裏切られている、か……)

「だ、大丈夫だよ!わ、私は正真正銘の女の子だから!割れ目も筋もあるんだよ!?」
「……そうですよね。光さんは女の子だから、魔法少女なんですよね。それはとっても嬉しいなって」
「そ、そうなんだよ!女の子だから魔法少女になれたの!」
「とりあえず仮にですけど、片方が元は男の子だったとしたら、百合的な感情も説明根拠になるかなと思いましてね」
「ま、まあ本当に、片方が元男の子だったりしたらそうだよね……」
「でも2人に限ってまさかそんな事は無いでしょうし、そうなるとやはり空明さんは本当に……光さん」
「な、何!?」

「空明さんを大事にしてあげてくださいね……2人の仲がいつの間にかそこまで進展していただなんて!あ、あかりの入り込む余地なんて無いんですからーっ!!」

あかりちゃんはそう言い残して、走り去って行ってしまいました。

「あ、ちょ!あかりちゃ……」
(行っちゃったね……な、何だか、またややこしい事にならなければ良いけど……)

何だか何処かで見た事あるような気もするこの展開……。
あかりちゃんは激しく、何かを勘違いしてしまっているようです。

(だ、大丈夫かな……あかりちゃん)


更に時間は進み、その日の放課後。

「光、一緒に」
「あ!明梨さん!ダメですよ!!」
「ん、あかり?どうしたの?」

あかりちゃんが急に明梨ちゃんを呼び止めました。

「あれ、見てくださいよ……」

「あ、あの、光……さん、一緒に帰りましょ」
「う、うん。じゃあ帰ろうっか」

「ほらほら、何だか良い感じじゃないですか?あの2人ってやっぱり……」
「はいはい、あかりが妄想するのは勝手だけど、バカバカしいわ。光、一緒に帰るわよ」
「あ、そ、そんな!明梨さんっ!!」
「あ、明梨ちゃんにあかりちゃん。じゃあ皆で一緒に帰ろ」
「うぅっ、あかりの努力も空しく……ま、まあいいです。あかりも本当は、皆さんと一緒に居たいですから……」
「はいはい、愚痴なら後で聞いてあげるから……とりあえず一緒に帰るわよ」
「明梨さんがデレたっ!?ま、まさか明梨さんにも、あかりへの攻略フラグが!?」
「……これ以上余計な事言ったら、ぶつわよ?」
「ひぃぃぃっ!ご、ごめんなさい!?」

「あははははー……」
「くすっ、2人はいつも騒がしいのね」

苦笑いを浮かべる光と、くすっと笑う空明ちゃん。
そんな2人はお互いに顔を見合わせて笑っていました。

「………あっ!」

空明ちゃんはとっさに恥ずかしそうにして、光ちゃんから目を逸らしました。

「空明ちゃん、どうしたの?」
「あっ、な、何でも無いの……」

(空明ちゃん……輝の事、大分意識してるのね。もしや本当に……)
(ま、まさかな……?)

「さては空明さん、やっぱり光さんの事がー」
「………あかり」
「ひぃぃぃぃっ!ぶたれるっ!?」

「あははははー……」

こんな調子で、今日も4人は下校して行きました。
明梨ちゃんとあかりちゃんは相変わらずこんな調子のままで、そして空明ちゃんは光ちゃんに対して、もじもじしているままで……。


そして次の日の朝、梅雨にしては珍しく朝は雨が降っていませんでした。

「おはようございますー!」
「あかりちゃん、おはよー」
「あらあかり、時間ズラしたのね?」
「おはようー」

朝の登校に、あかりちゃんが混ざって来ました。

「もう早く学校へ行きたくて、うずうずしちゃって……待つのも大変でしたよ!」
「ならばいつも通り、1人で早く行っちゃえば良かったじゃない」
「うぅっ、せっかくあかり頑張ったのに……明梨さん、あんまりですっ」
「まあまあ2人共……」
「じゃあいいですよっ……あかりは先に学校へ行きますから!ねっ、明梨さん!?」
「ええ行ってらっしゃ……って、ちょ、あかりっ!い、一体何なのよっ!?」
「さあ行きますよ、明梨さん!」

「ちょ、あーかーりぃぃいいいいいいいーーーっ」

あかりちゃんは強引に明梨ちゃんを引っ張って、先に行ってしまいました……。
そしてその場に唖然と残される、光ちゃんと空明ちゃん。

「い、行っちゃったね……」
「う、うん……」

あかりちゃんと明梨ちゃんが離脱して、光ちゃんと空明ちゃんは2人きりとなってしまいました。

「光ちゃん……いえ、輝さん……あ、あの」
「ん、なーに?」
「輝さんってあかりさんの事、どう思います?」
「えっ?あかりちゃんの事?」
「はい……何か女の子を見てにやにやしてたり、そういうあかりさん」

空明ちゃんは2人きりになった途端、輝に質問をして来ました。

「う、うーん……ま、まあ恋の形って、人それぞれなんじゃない?」
「……で、ですよね!?べ、別に女の子同士で好きになったって、いいですよね!?」
「えっ、ま、まあ……ダメって事は無いと思うけど……」

空明ちゃんは何処と無く、ホッとしたような表情をしています。

「あ、ごめんなさい……変な事訊いちゃって」
「いいよいいよ、それより空明ちゃん……」
「は、はいっ?」

(空明ちゃん、顔が赤いわね……凄くドキドキしてるみたい)

「周りに他の生徒が居る事もあるからさ……その、光ちゃんで呼んで欲しい、かな」
「あ、ごめんなさい輝さん……」
「あー、だ、だからねっ、空明ちゃん……」

(あちゃー、空明ちゃん、色々と緊張しちゃってるみたいだよ……)

「あ、ついつい……ごめんなさい、光さん」
「いつも通り光ちゃんでいいんだよ?今の俺は光ちゃんなんだし」
(輝も……今は私だって言うなら、俺とか言っちゃダメでしょ……)
「あ、ごめんよ光……」

「光ちゃんが何か言ってるの?」
「あ、うん、ちょっとね。頭の中で光の声が聞こえるんだ」
「凄いねー、本当に輝さんと光ちゃんって、一心同体なんだね」
「ま、まあ好きでこうなったんじゃないけどね……」

(全くもう、ほんとよね……私も自由にお話したいな)
「ごめんよ、光……」
「光ちゃんは何て?」
「私も自由にお話したい、だってさ」
「うーん、大丈夫だよ。あたしの声は、きちんと聞こえてるんでしょ?」
(うん、勿論聞こえているよ)
「聞こえているってさ」

「ならば、輝さんを通してお話もできるよね?」
(ま、まあ……でも2人きりの時じゃないと、色々怪しまれそうだよね)
「できるけれど、2人きりの時で無いと周りに怪しまれるんじゃないか、だってさ」
「そ、そうよね……」

(でもいつでも皆の事は見えるし、声もきちんと届いてる。皆と一緒に居られるから、私は嬉しいよ)
「でも光は嬉しいみたいだよ」
「え、何で?」
「皆の事は見えるし、声も聞こえるから。皆と一緒に居られるからって」
「光ちゃん……ありがとっ。早く元に戻れるといいね……あ、そういえば」
「何?空明ちゃん」
「光ちゃんと輝さんって、どうすれば元に戻れるの?まだ訊いて無かったよね?」
「どうも魔法少女として人助けをしたり、魔法少女としての経験を積んで、魔力を高めないとダメみたいなんだよ」
「へぇー、それで輝さんは、光ちゃんの魔法少女に協力してるんだ?」
「協力って言うか、ほとんど代行してるみたいな物だけどね……」
「輝さんも大変みたいですね……輝さんが元に戻ってくれたら、きっとあたしは」

「はぁはぁ……や、やっとあかりから解放されたわ……」
「あれ、明梨ちゃん」
「あかりさんはどうしたの?」
「もうっ、あかりったら強引なんだから……先にそのまま、学校へ駆けて行っちゃったわよ」
「ははっ、元気なあかりちゃんらしいや……そういえば空明ちゃん、さっき何を言おうとしたの?」

「えっ?あ、何でも無いよ……」

空明ちゃんは一体、何を言おうとしたのでしょう……?


そして教室へ到着した光ちゃん達。

「あれ……あかりが見当たらないわね」
「もしかしてあたし達の所へ戻ろうとして、行き違いにでもなったのかな?」
「そうなのかな……ちょっと私、近くを見て来るよ」
「分かったわ、お願いね」

(明梨ちゃんも何だかんだで、あかりちゃんが心配なんだね……)

光はあかりちゃんを捜しに、教室を飛び出して行きました。

「ふぅ……すっきりしました!」
「あれ、あかり?何処行ってたのよ?」
「えっ?何処ってお手洗いですよ?家を出てから急にしたくなっちゃって」
「……ああ、それで学校まで急いで駆けて行ったのね」
「あれ、そういえば光さんは?」
「それがね………」

「あ、良くみたらあかりさんの席、きちんとランドセルが掛かってたね……」

あかりちゃんがただのトイレだったとは知らず、捜しに行ってしまった輝達。
輝は近くの道を捜そうとして、階段を急ぎ足で下りていました。

そして1階の階段を下り切ろうとしたその時……。

『ドンッ!』

どうも出会い頭に、誰かとぶつかってしまったようです。

「あ、いたたたた!」
「きゃっ、いったーい」

(きゃっ、だなんて……輝はこういう時ばかり、女の子っぽくするのが上手いんだから……)

お互い痛がっていると、近くに居た女の子が心配そうに声を掛けて来ました。

「あららぁ、2人共大丈夫ー?」
「あ、僕は大丈夫です……」
「わ、私も……ごめんなさーい」

相手のぶつかった子は男の子かな、と思った輝。
しかし良く見てみると相手の子は……。

(あら、僕って言ったけど女の子みたいね?)

どうやらぶつかった相手は、女の子だったようです。
相手の子も声を掛けて来た女の子も、中学年くらいに見える女の子でした。

(輝、この子にはもう謝ったんだし……あかりちゃんを捜しに行かないと)
(あ、そうだな……うん)

「余所見してたみたいでほんっとごめんねっ!じゃあ私、行くから!」

女の子達に一応再度謝って、輝達はその場を去って行きました。

(僕なんて言うから、最初は男の子かと思ったね?それより輝)
(ん、何?)
(ぶつけた所……すっごく痛いんだけど)
(……今頃痛みが来たのかい)
(ずっと痛かったけど、我慢してたのよ……)

痛い思いをしながらも、めげずに輝達はあかりちゃんを捜しに行ったのでした。


暫く学校の近くをうろうろと捜していた輝達。
しかし一向にあかりちゃんが見つかる気配はありません。

『キーンコーンカーンコーン』

(あ、チャイムが……)
「仕方無い、教室へ戻ろうか……あかりちゃん、教室に戻ってるかな?」

輝達はそのまま、教室へ戻って行きました。

「あ、光さん!」
「あれ、あかりちゃん……教室にずっと居たの?」
「あのね、あかりはお手洗いに行ってただけみたいなのよ」
「良く見たら机の横に、きちんとランドセルが掛かってたのよ……」
「とんだ無駄足だったのね……とほほ」
「うぅっ、光さんごめんなさいー、明梨さんから聞きました。あかりを心配して……」
「いいよあかりちゃん。そろそろ授業始まるみたいだし、席へ戻ろ?」
「まあ早とちりしたあたし達も悪かったよね……」
「空明ちゃんも気にしないでいいから、ね?」

教室には無事皆が揃い、これから1日の学校生活が始まります。


その日の体育の授業後、4人は教室へ戻るのにお話をしながら廊下を歩いていました。

「そーいえば皆さん、昨日のネタなのですけど!」
「昨日のネタって何だったかしら……」
「もうっ、明梨さんはまたイジワルして……魔法で性別が変わってしまう人間がいるかどうか、のお話ですよ!空明さんはどう思います?」
「うーん……そうね、あたしは否定はしないわ」(輝さんの件もある事だし……)
「はいはい、同じく居ると思います!と言うよりも居るのですよ!」

「はぁ、またその話なの……バカバカしいわね。光はどう思う?」
「あ、あぅー……」
「やっぱり肯定派なのね?」

(ま、まあ私達の例がある以上……)

「肯定と言うか……居ないとは決め付けられないもの」
「そーですよね!光さんの言う通りですよ!」

あかりちゃんは昨日のお話を、再びネタとして引っ張り出して来ました。
否定的な明梨ちゃん、そして肯定的な3人達。

「第一男の子が女の子になっちゃうとか、そんなバカな話がある?」
「可能性は無限大なんですよ!」
「あたしも無い、とは言い切らないかな……」

『キーンコーンカーンコーン』

「あ、大変!話し込んでたら足が遅くなってたみたい……」
「……そうね、とりあえず話はまた後にして、教室へ急ぎましょ」
「うん、急ぎましょう」
「……あかり、何で私達の後ろに居るのよ?」

何故か横に並ばずに、後ろから追い掛けて来るあかりちゃん。

「あー、あかりさん、また皆のおしりでも見てるのー?」
「ち、違いますよっ!ちょっと考え事ですっ!!」
「空明ちゃん、あんまりあかりちゃんをからかっちゃ……」
「そうよ、ダメよ空明ちゃん。あかりを弄っていいのは、私だけなんだから」
「あぅっ……な、何ですかそれ……」

4人はその後、急いで教室に戻って着替えて、次の授業の準備をしました。


放課後となり、下校の時間になりました。
しかし午後の授業中に雨が降って来てしまい、帰りはまた梅雨らしい雰囲気になっていました。

「じゃあ皆、帰ろうか」
「傘差して行くのも面倒ね……」
「まあ梅雨だし、仕方無いわよ」

「うぅ………」

「あかり?どうしたの?」
「実は……傘、家に忘れて来ちゃったんですよ」
「えぇ?梅雨だってのに、折り畳みとか持って無いの?」
「置き傘してないんだ?」
「朝は玄関に置いといたのに、持って来るのを忘れちゃったようで……」
「……ああ、あかりってば、朝はお手洗い行きたくてバタバタしてたんだっけ」
「それで焦ってて、忘れちゃったのかなぁ」

「魔法少女さんが傘でも取って来てくれると、嬉しいんですけどね……」

あかりちゃんは、光ちゃんの方をじーっと見ています。

「うっ……わ、私に取って来て欲しいの?」
「困った人を助けてくれるのが、魔法少女さんですものね!」
「あかりちゃん……魔法少女はね、便利屋じゃ無いんだから……」

(まあでも人助けになるだろうし……いいんじゃない?取って来てあげよっか?)

「はぁ……光が手を煩わすまでも無いわ」
「明梨さん?何か策でもあるんですか?」
「私の傘にお入りなさい。ただしあんまり密着し過ぎない事、あとセクハラは禁止よ」
「セクハラって……あ、あかりはそんな事しないですもんっ」
「くすくすっ」

あかりちゃんの傘の件は、どうやら無事に解決したようです。

「あ、召喚魔法があるから、それであかりちゃんの傘を」
「光、召喚魔法は禁止よ。前の空明ちゃんのブルマの件……」
「……は、はいっ」

魔法少女なのに、結局魔法で人助けができない輝。
何だか自身の未熟さに憤りを感じてしまったようで、輝はしゅんとしてしまいました。

「……光さん、元気出して?」
「うん、ありがと……空明ちゃん」
「何なら光さんも……あたしの傘、一緒に入る?」
「………はいっ!?」
「明梨ちゃんとあかりさんも、一緒で傘差すみたいだし。ちょうど良いかなぁって」

(空明ちゃんから輝へ、相合傘のお誘いねぇ……どうする?)


 ・誘いを受ける
 ・丁重にお断りする


(何か今、また選択肢みたいなのが見えたような……ま、まぁ空明ちゃんの好意だし)

「光さん、どうかな?」
「うーん、私は自分の傘持ってるから……一緒に差すと狭そうだし、ね?」
(あらら……断るんだ;)
「そ、そうですか……ご、ごめんなさいねっ、あたしったら……」

「ひーかーりーさぁーーーーーん、どーやら傘が邪魔みーたーいーでーすーねぇー」
「えっ、あ、あかりちゃん、どうしたの突然……」
「光さんの傘、あかりに貸して欲しいな♪あかりに貸して欲しいな♪にやにや」
「あかりが何か企んでる目だわ、これは……」
「明梨さんと一緒の傘なんてごめんなんですよ!あかりがセクハラするって苛めるし……」
「ちょ、禁止って言っただけでしょ!?」
「そういう訳なので光さん、傘貸してくださーい」

「ま、まぁそこまで言うなら……ど、どうぞ」

輝はあかりちゃんに傘を貸しました。

「ありがとうございます!あーでも光さんの傘無いですねー、空明さんに入れてもらうしか無いですねー」

あかりちゃんが空明ちゃんに、目で合図を送りました。

(えっ、あかりさん、もしかして……き、気付かれてる!?)

空明ちゃんはあかりちゃんの合図に、何か心当たりがあったようです。

「あ、あの……光さん。傘貸しちゃったみたいだし……や、やっぱりあたしの傘で一緒に」
「うーん、そうだね。傘貸しちゃったから……じゃあ、空明ちゃん宜しくね」
「は、はいっ!!」

(空明さん、良かったですね……!)

「でもあかりさん、良かったの?せっかく明梨ちゃんと、らぶらぶできたかもしれないのに」
「ぶっ!あ、空明までバカな事言わないでよ……」
「そーですよ。あかりが好きなのは明梨さんじゃなくて、皆さん平等に好きなんですからね!」
「そ、その発言もどうかと……」

明梨ちゃんとあかりちゃんはそれぞれ傘を差して、そして輝と空明ちゃんは一緒の傘へ入って帰る事になりました。

(あかりさん……ありがとっ!)
「空明ちゃん、何か顔赤いわよ?」
「えっ、あ、気のせいよ……」

素直な空明ちゃんは、顔にも表れやすいようなのでした……。


「おかえりだにゃん」
「ただいま、リリ」
「家でお留守番だし、ずっと退屈だったにゃ。やっと本編で出番が回って来たにゃん」
「まあリリは学校へ来ないものね……魔法少女のお供なのに、ずっと家に居ても良いものなの?」
「私は猫だし、無闇に学校へ一緒に行くなんてできないにゃん」
「ま、まあ言われてみれば、普通の動物にしか見えないしそうだよね……」

「うぅっ、出番が少なくて寂しいにゃん。冒頭と家での場面しか出番が無いにゃん……」
(ごめんね、リリ……また前みたいに、一緒に活動できれば良いのにね)
「そういえば俺と会った時って、光はリリと一緒に活動してたみたいだよね?」
(うん、でももう魔法少女になってから1ヶ月経ったし、後は魔法少女だけで活動するみたいなの)
「なるほど。最初の1ヶ月間はお供が一緒に、活動へ着いて来る感じだったんだね」
「そうなんだにゃん。中にはお供の居ないケースもあるけれど……光の場合は、輝の事故で入院したにゃん?」
「うん、そうだったな……」
「だからその入院期間で、大分お供期間を無駄にしちゃって。私の出番はもうほとんど無くなっちゃったにゃん」

「な、何だか悪かったなそりゃ……」
「リリは……リリは所詮、もう用無しの脇役に過ぎないんだにゃん……うぅっ」

(たすけて……たすけて……)

(輝!?今、助けを求める声が聞こえなかった?)
「お、おう、確かに聞こえたな……きっと、魔法少女の助けを必要としているんだ」
(行かなきゃ……輝、変身よ!)
「魔法少女の出番かにゃ?リリの出番は今回、これだけで終わりみたいだにゃん……」
(ごめんねリリ……恨むならば作者さんを恨むのよ……)

「魔法少女になれたらいいな♪」

携帯電話をかざして呪文を唱えると、光の全身は輝きを放ってたちまち魔法少女に変身しました。

「魔法少女ひかり☆マギカ!参上よ♪」
「あれ、名前変えたのかにゃ?」
「ちょっとした気分ってやつかな……」
(無理に冒頭のネタと掛けなくたっていいのに……;)
「ま、まあでは改めて……魔法少女、リリカルひかりん参上よ♪」
(じゃあ行くわよ、輝!)
「お、おう……と、ちょっと待って光。その前に、どうしてもやりたい事があるんだ」
(な、何……?)
「さっきからずっと我慢してたから、先におトイレ」

(あらら……またそのパターンなのね……)


(雨、さっきより強くなってるね……)
「こりゃ空を飛んで行くのは無理だな……」
(あら、雨でも大丈夫よ?)
「え、そうなの?」
(その為のスク水でしょ?)
「えっ……そうだったの?」

光がそう言うのだから、きっと大丈夫なのだろう。
そう信じて輝はステッキに跨り、この土砂降りの雨の中を飛んで行こうとしました。

「おー凄い、本当に大丈夫そうだ……って、あれ……あわわっ、落ちるーっ!!」
『ドスーン!』
(いたたっ……今日はぶつかったり落ちたり散々ね……)
「光、やっぱり雨が凄くて、飛んで行くのは無理そうじゃないか……」
(おかしいわね……雨でも平気な筈なのに)

「やれやれ、光はまだドジッ娘だから、やっぱり私が居ないとダメだにゃ……」
(あ、リリ……)
「中の"スク水"は特殊なコーティングが掛かってるから、雨でも平気だにゃ。だけど上の服は……」
(と言う事は……あちゃー、魔法少女の服がずぶ濡れね……)
「スク水姿のままならば飛んで行ける、って訳なのか……でも俺はそんなの、流石にごめんだよ」
「じゃあこの雨の中、傘を差してずぶ濡れで活動するにゃん?」
「うぅっ、それも嫌だな……スク水で行くしか無いのか……」

「雨にも負けず、恥にも負けず、って言うにゃん」
(何だかそれ、少し間違ってるような……)
「分かったよ、雨にも負けず……スク水で行けばいいんだな!?」

輝はずぶ濡れになってしまった魔法少女の衣装を脱ぎました。

「この衣装は洗濯しておくから、後は任せるにゃん。それじゃ気を付けて行って来るにゃん」

「あ、本当だ……何だか変な感じ。スク水になったら、雨が身体に付く前に勝手に弾かれるんだね」
(えへへー、魔法少女って凄いでしょー)
「し、しかしこの格好で活動、ってのはさすがに……」
(ブルマと同じような物よ……輝も強くならないと、魔法少女務まらないわよ)
「ブルマと同じ次元なのかなぁ……まあこれで行くしか無いのか」

スク水姿の光ちゃん……輝はステッキへと跨り、再び空へ舞い上がりました。

「じゃあリリ、行って来るね」 光(行って来るわ)
「行ってらっしゃいにゃん。今回の出番はここまでかにゃ……」
(大丈夫よ、きっとまた次回も出番があるから……)

リリは地上から恨めしそうに、光達を見つめていました……。


「おぉ、今度は大丈夫だ……スク水も濡れないし、雨が近付くと弾かれるからステッキも安全だ」
(スク水でも周りは雨だし、きっと大丈夫よ。だって水着って、そういう物でしょ?)
「雨の為の水着じゃないんだけどな……」

(ところで輝、助けを求める声はこっちなの?)
「ステッキを頼りにした感じだと、そうみたいだけど……あっ、あそこに誰か居るね」
(あの女の子かな……?下りてみましょ)

「うぅっ……助けて、助けて……」
「もう大丈夫よ、魔法少女リリカルひかりん参上よ♪」
「あ、光さん!来てくれたんですか!?」
「助けを呼ぶ想いが届いたので……って、あれ、あかりちゃん?」
(あらら、あかりちゃんだったのね……)
「ご、ごめんなさいです、こんな雨の中……わざわざスク水まで……にやにや」
「あ、あの、あかりちゃん……口元が大分緩んでるよ……」

あかりちゃんは光ちゃんの姿を見て、何だかにやにやしています。

「それで、あ、あかりちゃん……何かあったの?」
「うぅっ、実は……光さんから借りた傘、風で飛ばされちゃったんです」
「あ、そうだったんだ。それで家に帰れなくて、困ってたの?」
「いえ、違うんですよ。あかりは濡れたっていいですけど……光さんから借りた傘ですから。見つけないと」
「なるほど、でも風で飛んじゃったなら仕方無いから……私は別に大丈夫だよ?」
「ダメですよー。それじゃあまるであかりが、風に負けたみたいじゃないですか」
「と、言いますと……?」
「良く言うじゃないですか。雨にも負けず、風にも負けずって」
「ま、まぁ……でも私は別に傘、飛ばされちゃったなら無くても大丈夫だから……」
「でも光さんに申し訳無いです、せっかく傘を貸して頂いたのに……」

(自分の傘を、自分自身で探す事になるだなんてねぇ……)

「わ、分かった……じゃあ探そ?」
「光さんだったら探さなくても、召喚魔法でどうにかできますよね!?」
「あー……で、でも召喚魔法は、以前空明ちゃんの件で……」
「明梨さんは禁止と言ってますけど、私は魔法少女を信じてます。その為の魔法なんだもの」
「ふむふむ。じゃあちょっと召喚魔法、使ってみようかな」

(うーん、失敗しなければいいけど……どうしよう?)


 ・召喚魔法を使ってみる
 ・やっぱり止めておく


「また何か分岐が見えたような気がしたけど……」
「光さんなら、失敗なんてしませんよね!?」
(で、でも……以前は魔法で、空明ちゃんを酷い目に遭わせちゃった事もあったよね……)

(詳しくは18禁サイド第1話目を参照だにゃん。ここだけでも出番があって良かったにゃん)

「あかりちゃん、ごめん……私ね、まだ魔法少女としては未熟なんだ」
「えっ、そうなんですか……?」
「うん、魔法少女だからって、必ずしも何でもかんでも上手くできる、と言う訳では無いのよ」
「じゃあ、光さんの傘は……」
「地道に探しましょ?雨にも負けずって言うもの、ね?」
「……うーん、分かりました。じゃあ手分けして探しましょう」
「その代わり傘が無くても大丈夫なように……あかりちゃんを雨から守って欲しいな♪えいっ!」

ステッキから光が放たれ、あかりちゃんの身体を光が優しく包み込みました。

「あ……雨が当たらない。やっぱり光さんは凄いです!ありがとうございます!」
「じゃあ一緒に傘を探そ?」
「はい!」
「そういえば……明梨ちゃんは?」
「明梨さんはもう帰っちゃってます。あかりが傘を飛ばされたのは、明梨さんと別れた後なので……」
「そっか……分かった」

光達はあかりちゃんと一緒に、傘を探す事になりました。


「はぁはぁ……見つからないですね」
「うん……何処へ飛ばされちゃったんだろうね」

数十分探しても、傘が見つかる気配は全く無く……。

「光さん、ごめんなさい。あかりが傘を借りたばかりに……」
「あかりちゃんのせいじゃ無いよ。こんな荒れてる天気じゃ、仕方の無い事だよ」
(風の勢いが凄いものね……)

「ところで光さん、空明さんと何か進展はありました?」
「ちょ、あかりちゃん……空明ちゃんとはそんなんじゃ無いって」
「またまたぁ、今日だって相合傘で良い感じだったじゃないですか!」

「全く、あかりは相変わらずね……光が困ってるでしょ?からかうのは止めなさいよ」
「あれ、明梨ちゃん?」「明梨さん?」
(こんな土砂降りの雨の中、どうしたんだろう?)
「あかりを捜してたのよ……ちょうど光も一緒で良かったわ」

あかりちゃんを捜していたらしい明梨ちゃん。
その手には……光ちゃんの傘が握られていたのです。

「これ、途中で落ちてるのを見つけてね。あかりが光から借りた傘よね?」
「あ、そうです!ありがとうございます!」
「ところで……何で光はスク水?いくら雨だからって……」
「あ、こ、これはね……」
「光……ついに痴女にでもなった?」
「違いますよ!これは魔法少女の特殊装備なんですよ!あらゆる物から身を守ってくれるコーティングで、雨は勿論!色々な物から身を守ってくれるのです!」
(あ、あかりちゃん……詳しい)
「あら、何も説明して無いのに……流石あかりちゃん、詳しいね」

「ああ、そう言えばそんなのだったわね……」
「えっ?」
「あ、何でも無いわ……」

「じゃあ傘も無事戻ったし、皆で帰ろうか」
「……ごめん、私は遠慮しておくわ。光のその格好……魔法少女の活動中よね?スク水で町中を徘徊している女の子と、一緒に歩くのはちょっと……」
「別に良いじゃないですか!魔法少女って言ったって光さんですもの」
「光だから、じゃなくて……スク水姿だから……」
「明梨さんはいちいち細かいですねぇ、じゃあ光さんが、変身を解いてくれば良いですよね?」
「それなら構わないけど……」

「じゃあちょっと、変身解いてくるね……」
(やっぱりスク水で活動するって、おかしいのかな……)
(そりゃ……ヘタすればR指定の展開にだってなっちゃいそうだよ;)

輝は2人の元から少し離れて、呪文を唱えました。

「元の姿に戻れたらいいな♪」

呪文を唱えた輝は元の姿に戻り、2人と合流しました。

「お待たせー……って、そうだった。私、魔法少女のままで来たから、傘持って無かったんだ」
「あ、じゃああかりの借りた傘を、光さんに戻しますよ」
「あ、ありがと……って、それじゃああかりちゃんは濡れちゃうよね?」
「大丈夫です!光さんの魔法が……」

「あかり、ずぶ濡れで何言ってるの?」

あかりちゃんは雨でずぶ濡れ状態になっていました。

「あっ、光さんが変身を解いたから……雨避けの魔法も解けちゃってたんですね!?」
(変身を解いたら、変身時にしか使えない魔法は一緒に解けちゃうのよ)
「み、みたいだね……ご、ごめんね」
「これじゃああかり、濡れ濡れでなんだかエロいじゃないですかー!」

「はぁ……あかり、私の傘へ入って行きなさい」
「えっ、でも……明梨さんはあかりがセクハラするから嫌だって……」
「禁止って言っただけよ!それにセクハラは、もう光のスク水で十分堪能したから大丈夫でしょ?」
「明梨ちゃん……そ、それってどういう意味……;」
「明梨さん、あかりじゃ嫌みたいだし悪いです……」

「もうっ!私が入れたいって言ってるのよ!いいからさっさと入りなさい。風邪引いちゃうでしょ?」
「………は、はいっ!ありがとうございます明梨さん!」
(全く……何だかんだで仲良いんだから)
(明梨さん……大好き♪)

あかりちゃんは少し頬を赤くして、上機嫌そうでした。
その後は明梨ちゃんと光であかりちゃんを家まで送り届けて、それから明梨ちゃんと輝もそれぞれの家へ帰宅しました。

(ふぅ、何とか一件落着ね……それより輝)
「んー?何だい、光」
(私、思ってたんだけど……さっきあかりちゃんに雨避けの魔法、掛けたよね?)
「うん、とっさに掛けてたけど」
(それが成功してたなら……召喚の魔法もきっと成功してた、と思う)
「あ……ま、まあいいんじゃない?最終的には見つかったし」
(うーん……まぁね)

こうして今日も、1日が終わって行きました。


6月も日付が経ち、下旬近くに差し掛かりました。

「さて明日からいよいよプール開きです。必ず水着を忘れずに、持って来てくださいね」

光ちゃん達の通うよもぎ小学校は、明日から体育の授業がプールです。

「うぉー!プールだぁー!」
「女子のスク水見放題だー!」
「スク水パラダイスです!にやにや」

主にクラス一部の男子達から歓声が上がり、教室は一気に騒がしくなりました。
……何だかとても聞き覚えのある女の子の声も、混ざっていたような気はしましたが。

『キーンコーンカーンコーン』

「はいはい皆さん、静かにしましょうね。では今日はここまでで終わりにします。気を付けて帰ってください」

いつも通りの4人で下校しながら、プールの事についてお話していました。
すっかり梅雨も明けたようで、最近は天気の良い暑い日が続いています。

「皆さん!いよいよ明日から、体育の授業がプールですよ!」
「はいはい、元気なあかりにはお似合いね」
「はぁ……プールかぁ」
「あれれー?空明さん、何だか元気無いですね?」
「えっ、ちょっとね……」

(あぁ……空明ちゃんって、そういえば……)

「空明ちゃんは、プールが苦手だったわね」
「えっ、そうなんですか!?あくあさんなのに?」
「名前は関係無いわよ……あかりは去年、クラスが違ったものね」

(それであかりちゃんは知らなかったのね)

「うん……あたしだけいつもビート板で、何だか惨めだよ……」
「大丈夫ですよ!あかりがどうにかしますよ!」
「あかり、泳ぎ方でも教えてあげるっての?」
「あかりが魔法少女に頼んで、どうにかしますよ!」
「……結局それなのね」

「光さん、魔法で空明さんが泳げるようにできないですか?」
「うーん、そうだね……」(光、そういう事もできるのかな?)
(魔法は魔力さえ足りれば、ほぼ何でもできるわ。ただ私達の今の魔力では、泳げるようにしてあげられるかどうかは……)
「うーん、私はまだ魔法少女として未熟な面もあるから……魔法が成功するか、は分からないかな」
「じゃああかりが願って、他の魔法少女さんを呼んでみますか?」
「そ、それは……うぅっ、何だか私、役に立てなくてごめんなさい……」

光はへこんでしまいました……。
魔法が使えるのにお友達の役に立てない事が、相当ショックだったようです。

「光さんは悪く無いです!これから経験を積んで、凄い魔法少女になる予定ですもんね!?ヒロインだからきっと、ラスボスをも越えるような存在になるんですよね!?」
「ま、まぁ……立派な魔法少女になれるといいな♪なんちゃって」
『ドンッ!』
(いたたたっ……い、一体何事!?)
「あ、ごめんなさい……大丈夫ですか?」

あかりちゃんとお話しながら歩いていたら、光は誰かとぶつかってしまったようです。

「あ、大丈夫です……あたしも、余所見しててごめんなさい」
「あ、何か落ちてますよ?」
「………!!」

光は何か見つけたようですが、ぶつかった相手の子がそれに気付き焦り出しました。

「そ、その袋に触っちゃダメです!」
「あ、ごめんなさい……」

女の子は慌てて、とっさに袋を拾いました。

「ぶつかっちゃってごめんなさいね……じゃあ、失礼しますね」
「う、うん……」

「何?今の子……急に怒鳴り出しちゃって」
「よっぽど大事な物でも、入ってたんじゃないのかな……」
「あの子……何処かで……」
「今の子、あかりちゃんの知り合い?」
「………ううん。きっと、気のせいかもしれないです」
「そっか、どうも制服的に萌木中の女の子だったみたいね?」
「萌木中って……あかり達が、来年進学する中学校ですよね?」
「そうね、部活の種類が色々あるらしいから、今から楽しみね」
「萌木中の女の子ですか……ま、まさかね」
「あかりちゃん?やっぱり何か心当たりでも?」
「いえいえ、きっと……そんな訳無いですもんね」

「………?」
(あかり……ちゃん?)

光がぶつかった女の子って一体……。

「はぁ……明日からプール、始まっちゃうね」
「心配しなくても大丈夫よ。ビート板でも、少しずつ練習していけばいいんだから」
「でもねぇ……ビート板なのは、あたしだけだもん」
「じゃあ……今度の休みにでも、皆で市民プールへ特訓に行かない?」
「特訓ですか?市民プールって事は……皆さんの水着姿ゲットですね!?」

「………あかりは来なくていいわ」

「また明梨さんが苛めます……うぅっ」
「だってあかりちゃんってば、何だかやらしいんだもん……」
「空明さんだって、光さんらぶのくせに……」

「あ、あかりちゃんってば!もうっ……」

「はいはい、空明ちゃんをからかわないの……」
「なら明梨さんだって、あかりをからかわないでくださいよ……」
「やらしい事を言うからよ……で、どうする?空明ちゃんと光次第だけど」

(市民プールで特訓かぁ……良いんじゃないかな?)
「うん、私は別に良いけど」
「空明ちゃんは?」
「あ、あたしは………」
「はいはい!あかりは勿論行きます!!」
「あかりには訊いてないんだけど……まあいいわ」
「空明ちゃん、どうする?」
「あたし、プール……怖いから……」
「うーん、怖がってちゃ、学校でもプールあるし困るんじゃないかな……」
「あたしも光ちゃんみたいに、魔法少女だったら……自由に泳げるようにもなれたかなぁ」

「魔法少女なんて、そんな良いものじゃ無いわよ……」
「うーん、そっかぁ……そうなんだ?」
「でも何で明梨さんが、そんな事言うんですか?」
「べ、別に……光を見てると大変そうだし、何となくよ!」
「まあ、確かに色々と大変な時もあるけどね……」
「でもあたしも、魔法少女には憧れるな。だって魔法で人を助けたりできて、カッコいいじゃん?」
「ですよねー!魔法少女はとっても素敵なんです!」
「はいはい、分かったから……それで、プールはどうする?」
「あたしは………」

(空明ちゃん、行きたく無いのかな……)
「空明ちゃん、空明ちゃんだって頑張れば、きっといつかは泳げるようになるよ」
「光さん……?」
「私も特訓に付き合うから……空明ちゃんならね、きっと魔法よりも素敵な奇跡を起こせるよ。だから私と契約して……じゃ無くって、私と一緒に頑張ろ?」
(輝……最近深夜アニメの観過ぎよ……)
「奇跡も魔法もあるんですよ!分かります!」
(あかりちゃんもなのね……;)
「……は、はいっ!空明、頑張ります!」

「決まりね。じゃあ次の日曜日、市民プールで合流で良いわね?」
「うん、分かった……」「おっけー」「了解しました!」
「時間は……10時くらいで良いかな?」
「そうだね、起きて朝ご飯を食べて、そのくらいの時間でちょうど良いかも?」
「光とあかりも大丈夫そう?」
「うん、10時ね?」「大丈夫です!」

「じゃあ次の日曜日の10時に、市民プールね」
「光ちゃん、明梨ちゃん、あかりちゃん……ごめんね、あたしなんかの為に」
「いいんですよ!気にしないでください!皆さんの水着姿も拝めますし!」
「………やっぱりあかりは来なくていいわ。むしろ来るな」
「うぅっ、明梨さんがー……それなら空明さんも同じですよー」
「は?何で空明ちゃんが?それに空明ちゃんの特訓でしょ」
「あははははー……」

「あたし、光ちゃんと契約して素敵な魔法少女に……じゃ無かった、光ちゃんに良く教わって、きっと奇跡を起こしてみせるよ。泳げるようになりたいもん!」
「空明ちゃんなら、きっとできるわ」
(もしかして空明ちゃんまでも、深夜アニメ観てるのかな……;)
「空明さん、それって新しい魔法少女アニメのですよね!?」
「えっ、あかりちゃん、あたし何か言ったかな……?」
(そしてここにも、さすがの魔法少女マニアが……;)

空明ちゃんの特訓の為に、皆で市民プールへ行く事になった光ちゃん達。
しかし帰宅後、とんでも無い事実に気付いてしまいます……。



「ひいふうみい……えっと、光?これはどういう事?」
(………えーっと、これは)
「どう見ても貯金、足りないよね……」
「ここ最近は夏で暑いからって、ジュースを買い過ぎだにゃん。そして最後にまた出番があって、良かったにゃん」

「あー、そういえば光ったら、暑いからジュース買っちゃおうよって、そればかりだったよね」
(うー、だって夏だし暑いんだもん……しょうがないじゃない)
「プールどうしよっか……魔法でお金を出すのは、マズいよね?」
「できなくは無いけれど、それはちょっとズルいかにゃん。どちみち光達の魔力じゃ無理だにゃ」
「うーん、お金を出すってやっぱり高度なの?」
「恐らく魔力が数値で分かるとしたら、カンストするくらいまでは行ってないと厳しいにゃ」
(お金を手に入れるのは、やはり楽じゃ無いって事ね……)

「うーん、どうしようか……」
(お母さんにお願いして、お小遣いを貰うしか……)
「でも今月は光がわがまま言って、大分冷蔵庫にジュース、買って貰っちゃったよね?」
(うぅっ、そ、そうだけれど……でも他に方法が無いもん)
「まあそうだね、それしか無いかなぁ」

と言う訳で早速、お母さんの元へ向かった光達。

「ねえねえお母さん、次の日曜日にお友達とプール行きたいから、お小遣い頂戴!」
「えー、お小遣い?今月分はもう使っちゃったの?どうしようかしらねぇ」
「お願い!どうしても行きたいの……」
「……そうね、光ってば最近頑張ってるみたいだから。いいわよ」
「やったー!ありがとう、お母さん!」

お小遣い交渉に成功した光達は、喜んで自分の部屋へ戻って行きました。

「あの子ったら、影でこそこそやってるみたいだけど、活動頑張ってるみたいだもの……」


(リリ、お母さんお小遣いくれるって!)
「良かったにゃん、光♪」
(空明ちゃんにはどうにか、泳げるようになって欲しいものね)
「俺も空明ちゃんには頑張って欲しいもの。後押ししたのに、俺達が行けないんじゃ可哀想だもんね」
「そうだにゃん。次の日曜日は存分に特訓を頑張って、そして楽しんで来ると良いにゃん」

お小遣いもどうにかなって、プールへ行ける事になった光達。
次の日曜日は4人で市民プールへ行って、空明ちゃんの特訓です。

「でもその前に、明日は早速プールなんだよね……空明ちゃん、大丈夫かなぁ」
(一応ビート板があるからね……でも確かに、1人だけじゃ可哀想よね)
「光達も、ビート板で泳げば良いんじゃないかにゃん?」
(だ、だってビート板なんて、恥ずかしいじゃん……)
「ブルマやスク水で恥ずかしがらないのに、ビート板は恥ずかしいのかい……」
(い、いいじゃん別にっ!)

「そういえば光って、もう水は怖く無いのかにゃん?」
(うん、今ではもうすっかり大丈夫よ)
「水が怖かったの?光は過去に何かあったの?」
(………ま、まぁ色々とね)
「光は川に流され掛けた私を、助けてくれた事があったんだにゃ」
「へぇー、そんな事があったんだ?」
「でも光が溺れ掛けちゃって……その時は、私が魔法で助けたんだけどね」
(あの頃はまだ、リリが魔法を使えるって知らなかったもの……奇跡が起こったのかと思ってたよ)
「そして、それが私と光の出会いでもあったの」
「へぇー、そうなんだ……」

「あんな事があったのに水を克服したなんて、光は強い子よ。それでこそ魔法少女だにゃん」
(えへへー、昔の事を引きずってたら、いつまで経っても前進して行けないもの)
「そうだよな、引きずってたらいつまで経ってもそのままだもんな」
(空明ちゃんだって、きっと自分を信じて行けば前進して行ける)
「そうだな、後は俺達が頑張って、後押しして上げれば良いんだものね」
(何としてでも、空明ちゃんには頑張って泳げるようになってもらおう)

輝と光は、空明ちゃんを泳がせようと決心したのでした。


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  • 最終更新:2018-02-10 14:53:04

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