マジカル2☆空明の気持ち

 光ちゃんにおまかせ! マジカル2☆空明の気持ち

 この作品が含む要素(タグ)
  • TSF 憑依 精神同居 百合 ブルマ おしり



5月、清々しい陽気で、心も清々しくなれる月。

「行って来まーす」

今年で高校卒業の筈であった青年の輝は、ふとした事で魔法少女となってしまった。
しかも本来の自分の身体では無く、小学6年生の光と言う女の子として。
その上光ちゃんと常に隣り合わせで居るような、そんな感じの状態になってしまっていた。

(輝、また寝坊しちゃって……早く急がないと遅刻しちゃうわよ!)
「わ、分かってる。十分急いでるから……」

せかせかと早足で、よもぎ小学校を目指す1人の少女。
その少女は見た目こそ光ちゃんであるが、中身の人格は青年の輝である。
だけれど光ちゃんの脳内には、きちんと元の身体の主である光ちゃんも存在しているのだ。


■このお話は~~~

魔法少女の光に吸収されてしまい、代わりに魔法少女となってしまった青年の輝。
精神同居で脳内から見届ける光と共に、魔法少女リリカルひかりんとして頑張っちゃいます。
最初のうちはまだ慣れずに失敗ばかりだけれど、何とかめげずに2人共頑張ってます。

かわいく愉快なお友達の女の子達に囲まれて、輝は毎日がデレデレのハーレム状態。
そんな状況を見て嫉妬する光に、度々電撃でお仕置きされてしまう輝なのであった。


「あれ、そんなお話だったかにゃん?」

なんだか少し違うような気もしますが……。

「まあ前置きは置いといて、本編に突入だにゃん。あ、私の出番にも期待するにゃん♪」

(もうっ!今日もギリギリじゃん……)
「まあ間に合ったからいいだろ……」
(皆はもうきっと学校に着いてるよ、私だけギリギリとか恥ずかしい……)
「ま、まあ俺が何とかするからさ……」

(こら、俺とか言っちゃダメ。電撃行っちゃう?)
「申し訳御座いませんでした光お姉様、全て私が悪かったです……」
(わ、分かればいいんだからっ!べ、別に輝の為じゃなくて……)
「以下テンプレですね、分かります」

すっかり光とのやり取りも、この1ヶ月間で慣れてしまった様子の輝。

「おはよー」
「光ちゃん、おはよー」
「おはようですわ」
「……あれ?後1人、元気な声が聞こえないね?」

いつも元気な女の子の姿が、そこにはありませんでした。

『ガラーッ!』

その直後、突然勢い良く教室のドアが開きました。

「皆さんスクープですよ!」
「あら、あかりさんおはよー」
「……朝からバカみたいに元気ですわね」

「あかりちゃんも遅刻スレスレだね……おはよ」

元気な女の子は、今日も元気にやって来ました。

「あかりさん、スクープって何なのー?」
「実は昨日、また魔法少女が現れたそうなんですよ!」
「はいはいテンプレテンプレ……バカバカしい」

(もしかして、新たな魔法少女?)
(昨日は俺達って、魔法少女に変身して無いものな……)
(まあリリが他にも魔法少女は居るかもしれない、って言ってたものね)

「で!魔法少女肯定派の光さんとしては、どう思いますか!?」
「え、いつの間にか正式に肯定側になっちゃったの……」
「ずばり魔法少女の存在です!居ますよね!?」

「はいはーい、魔法少女は居るよー」

突然空明ちゃんが、間延びした声で代わりに返答をした。

「何と……空明さんも肯定派に回ってくれるとは!」
「まああたしは信じる信じないならば、信じちゃうかな?」
(信じるも何も、空明ちゃんは正体知っちゃってるものね……)
(ま、まぁね……)

「空明さんまでも味方に回ってくれて、心強いですね!残るは明梨さんを毒牙に掛けるだけ……ヒッヒッヒ」
「あ、あかりちゃん……な、何だか怖いよ;」
「空明までも……私は永遠の否定派ですわ、もうバカバカしいったら」
「むーっ、じゃあ明梨さんには逆に、何故居ないと言い切れるのか証明して欲しいです」

魔法少女のお話となると、お互い本気で一歩も譲らない明梨ちゃんとあかりちゃん。
お互い段々と、向きになってしまっているようです……。

「証明も何も……魔法少女なんて所詮……」

明梨ちゃんは何故か、黙って俯いてしまいました。
なんだか何処となく、少し悲しいような寂しいような表情に見えます。

「と、ともかく!居ない者は居ないのよ!バ、バカバカしいですわ」
「明梨さん………?」

あかりちゃんもさすがに、そんな明梨ちゃんの様子が気になったのか。少し心配のようです。

「まあ居ても居なくても、いいんじゃなーい?」
「そ、そうだよ。信じる人は信じればいいし、信じない人は信じないでいいんじゃない?」
「……うーん、ま、まあ今日の所はそういう事にしておきますよ!」

『キーンコーンカーンコーン』

「あ、チャイムが鳴っちゃいましたね。じゃあまた後で来るですよー!ばいばーい」

教室に鳴り渡ったチャイムの音と共に、あかりちゃんは席へ戻って行った。

「じゃああたし達も席に戻るねー」
「光、空明ちゃん、また後でね」
「う、うん……」

空明ちゃんと明梨ちゃんも、釣られて席へ戻りました。

(ねえ、輝……)
(えっと……明梨ちゃんの事?)
(うん、輝は気になる?)
(うーん、正直気になると言えば気になるよ)
(だよね、明梨ちゃんと魔法少女の間で、何かあったのかな?)
(かもしれないね、明梨ちゃんだけには絶対正体をバラさないようにしないと……)
(ずっと仲の良い幼なじみだったし……私、嫌われるのは嫌だもの)

明梨ちゃんの事が気になりつつも、その後はいつも通り1時間目の授業が始まった。


1時間目が終わって、10分休憩中の出来事。
光ちゃんは空明ちゃんに呼び出されて、お手洗いに向かいながら廊下でお話をしていた。

「ねえねえ、光ちゃん」
「なーに?」
「昨日の魔法少女って……光ちゃん?」

空明ちゃんが周りに聞こえないように、耳打ちで言ってきます。

「違うよ?」

光ちゃんが小声で返します。

「そうなんだー、じゃあ他の魔法少女さんなのかな?」
「みたいだね、私達以外にも魔法少女って居るみたいだし」
「ふむふむ、なるほど……私"達"?」

「あ、こっちの話だよ!き、気にしないでっ!」
(輝のバカ……気を付けてよっ!)

「んんっ?」

空明ちゃんからは、頭にはてなマークを浮かべてるような様子が伺えます。

「そ、そーいえば何で魔法使いって、女の子が多いんだろうね?男だとダメなのかな?」

光ちゃんはとっさに、思い付きで話題をズラしました。

「うーん、やっぱり魔法のステッキとかって、女の子が使う方がかわいいからとか?」
「そうなのかなぁ?でも男の子でもかわいい子なら、魔法少女になれちゃったりして?」
「どうなんだろうね?男の娘の魔法少女さんかぁ」
「見た目が女の子のようにかわいければ、男の子の魔法少女もありかもね?」
「でも男の子が魔法少女だったら、あたしはちょっと……」

空明ちゃんはなんだか、動揺しているかのような表情を浮かべています。

(空明ちゃん、どうしたのかな?)
(あれ、輝は知らなかったっけ?空明ちゃんは実はね……)

「あたし、男の人って苦手だもん……」

(そうなんだよね。空明ちゃんは昔にトラウマがあって、男性が苦手みたいなのよ)
「え、そ、そうなんだ?」

脳内の光に対して返事を返してしまっていた輝。
でもちょうどそれは、空明ちゃんへ対する返事としても捉える事ができた。

「ま、まぁちょっとね……昔、ちょっとしたトラウマがあってね」
「一体何があったの?」
「そ、それは……い、言わせないでよ!」

空明ちゃんは赤面しています……何か恥ずかしいような出来事だったのかな?

(光は空明ちゃんのトラウマ、知ってるの?)
(うん、知ってるけど……教える事はできないわ)
(何でなの?)
(作者が裏用に使うネタらしいから、こっちでは語れないのよ)
(そうなのか……ならば仕方無いよな)

なんだか色々と悟ったようで、納得してしまった輝。
近いうちにトラウマについて、分かる日が来るかもしれませんね。

「あたしね、男の人とはお話をするだけでも怖いの」
「……そ、そうなんだ」
「まあ光ちゃんは、前々から知ってたよね?」
「う、うん。光ちゃんなら知ってたみたいだけど……」
「そうだよね、光ちゃんなら……へっ?」

「あ、何でも無いのよ!き、気にしないでっ!」

(輝………)
(ご、ごめんよ……つ、つい男と言う事を意識して、考えちゃったんだよ……)

「んんっ?」

空明ちゃんはまたまた、頭の上にはてなマークを浮かべています。

(一応光の身体を共有しているし、見掛けは女の子だけれど……俺って男だもんね)
(だよね、空明ちゃんにもし輝の事がバレたら……非常にまずいかもしれないね)
(だ、だよな……明梨ちゃんだけじゃなくて、空明ちゃんにも嫌われちゃうかも)

(私は絶対、そんなの嫌だからねっ!だ、だからっ、輝!気を付けてよねっ……)
(……そうだな。俺も空明ちゃんに嫌われるのは嫌だよ。こんなに素直でいい子なのに)
(そうだよ、私は1人もお友達を失いたく無いもの)

(それに空明ちゃんってかわいいし、胸も小さくて俺好みだし……おしりも小さそうでぷりちぃだもんね)

(……ひ、輝ったらっ、ばかぁ!えっち!電撃……!)
「ぎゃああああああごめんなさい俺が悪かったですぅーーーー!」

「………えっと、光ちゃん?」

そういえば空明ちゃんが目の前に居ました。
空明ちゃんの存在を忘れて、ついつい電撃を撃ってしまった光ちゃん……。

「どうしたの?そ、それに光ちゃん、今"俺"って……」
「あ、な、何でも無い無いっ!きっと聞き間違えよっ!」

「んんっ?」

空明ちゃんは本日3回目のはてなマークを浮かべているようです。
なんだか空明ちゃんが、不思議そうな目で光ちゃんの方を見ています。

(や、やっちゃった……輝ごめんっ!上手くフォローしてっ!)
(お、おう……で、でも何言おう!?)

光に急かされて、輝は少し混乱気味のようです。

「あ、空明ちゃん気にしないでっ!ひ、光が実は男の子だなんて事は無いからっ!」
「……光ちゃんが男の子?」

(ば、ばかっ!な、何言ってるのよ!?)

「男の人格が入っているなんて事は、絶対無いからっ!!」
「……男の人格!?え、えっ……えぇーっ!?」

(……………何と言う見事なまでの、お約束的暴露展開なの)
(あ、お、俺、今何言っちゃってたっけ……)
(ちょ、輝ったら……頭、混乱してたんじゃないの!?)

「あ、あの、光ちゃん」
「は、はいっ!?何でしょう空明様!?」
「その、今の話……詳しく聞かせて欲しい」
「えっ、あ、気にしないでっ!空明ちゃん、何言ってるの?そんな訳無いでしょ!?」
「で、でもさっきの焦り方……う、嘘だとは思えないよ……」

(輝、もう終わりね……空明ちゃんに見破られたら、もう嘘は通せないわ……)
(う、うぅっ……ど、どうしよう……)
(誤魔化してもギクシャクしちゃうかもしれないし、ならば正直に全て話そっ?)

「わ、分かったよ、空明ちゃん……で、でもその前に1つお願いがあるの」
「何?光ちゃん……」
「おしっこ出ちゃいそうだから……さ、先におトイレ行かせて……」

「あ、お構い無くー;」

そんなこんなで、空明ちゃんに色々と疑いを掛けられてしまった輝。
お昼休みの時間に、空明ちゃんへ全てを打ち明ける事を決めました。

(よりにもよって、男性恐怖症の空明ちゃんに疑われるハメになるだなんて……)
(もうなるようになるしか無いよ……)
(輝ごめんねっ、私が電撃なんて放ったばかりに……)
(違うよ、光は悪く無いよ。俺がドジしたせいだから、光はそんなに1人で背負い込まないで。ね?)
(……えっ?う、うん)
(俺がどうにかするから。光の大事なお友達を失わせるような事は、絶対にさせないから。ね?)

(輝……ごめんね、ごめんねっ……)

用を足して空明ちゃんと教室へ戻り、その後2時間目以降の授業が開始されました。


そしてあっと言う間に時間は進み、遂に迎えたお昼休み。

「光さん!空明さん!聞いてくだs……あ、あれ?2人共居ないですか?」
「光と空明ちゃんなら、さっき2人で何処かへ行っちゃったわよ」
「な、何とー!?……明梨さんに話しても仕方無いし、あかりは帰りますか……\アッカリーン/」

「わ、悪かったわねっ……!ま、まぁまた後でね……(ボソッ」

「ん、明梨さん何か言いました?\アッカリーン/」
「あ、何も言って無い!早くお戻りなさい、しっしっ!」

あかりちゃんは明梨ちゃんに、追い払われてしまいました……。


そしてその頃、人気の全く無い体育館の裏側に、光ちゃんと空明ちゃんは居ました。

「光ちゃん、さっきの話だけど……」
「う、うん。大丈夫……正直にお話するから」
「光ちゃんって……男の子なの?もっこりなの?」
「それは違う、光ちゃんは正真正銘本物の女の子だよ。と言うかもっこりって……;」

「じゃあ実は男の子って……何で?やっぱり嘘なの?」

(空明ちゃんは疑ってる……きっとこのまま嘘、って言っても無駄ね。正直にお話しましょ……)
(う、うん。分かった……)

「じ、実はね。光ちゃんが魔法少女だったのは、以前知った通りだよね」
「うん、光ちゃんは魔法少女なのよね?」
「魔法少女になったばかりの頃、光ちゃんが魔法を暴走させちゃってね……俺が中へ吸い込まれちゃったんだ」
「俺って……や、やっぱりあなたは、光ちゃんでは無いの?」
「実は光ちゃんは今、頭の中で人格だけ存在しているんだ。光ちゃんに吸い込まれた俺が、身体の主導権を握っている」

「じゃ、じゃあ……今も、さっきも、今までも……あたしがずっとお話していた光ちゃんは……」
「光ちゃんの身体の主導権を握っている俺です、騙すつもりは無かったんだけど……色々とごめん」

その後輝は現在までの経緯などを、細かく空明ちゃんに打ち明けました。
光ちゃんと出会った初日の事、今までずっと光ちゃんとして代役的に振舞っていた事など。

「と言う事は……一応見た目は光ちゃんだけど、今の光ちゃんの中身は男の子……?」
「まあね、でも光ちゃんの人格は、きちんと脳内で一緒に存在してるから。ほとんど光自身みたいな物だよ」
「な、なるほど……光ちゃんの意識を、輝さんが代弁していたような物なのね?」

(まあ実際の所は、輝が勝手に喋っちゃってる事も多いけどね……)

「だ、大体はね。でも身体は光ちゃんだし、光ちゃんもきちんと中に一緒に居るから安心して?空明ちゃん」
「あ、あたし……ず、ずっと男の人と喋っていただなんて……」
「あ、あの、その……な、成り行きだったとは言え……ご、ごめん」

「……輝さんは悪く無い。で、でもあたし……どうしても男性とお話するとトラウマが……ご、ごめんなさいっ!」
「あ、待って!空明ちゃん……!」

空明ちゃんはその場から後退りして、去ってしまいました。

(………光、本当にこれで良かったの?)
(空明ちゃんは疑ったら疑い続けるから、話すしか無かったんだよ)
(ごめんな、俺、何かマズったかな……もっこりにツッコんじゃった事とか)
(輝は悪く無い、空明ちゃんの反応は最もだろうし、仕方が無い事。それともっこりはもういいから……言わせないで;)

(どうにか……どうにか今まで通りには、戻れないのかな……)

光ちゃんは、その場に呆然と立ち尽くして居ました。


『ガラーッ』
「はぁ……」

教室へ戻って来た空明ちゃん。

「あ、空明さん!何処か行ってたんですか!?」
「あかりさん……ご、ごめんねっ。今はちょっと1人になりたいの……」
「空明さん……?」

「空明ちゃん、どうしたの?」
「ごめん……今は1人にして……」

あかりちゃんと明梨ちゃんは、空明ちゃんの様子がおかしい事を気にしています。
再びあかりちゃんは、明梨ちゃんの所へ来ました。

「ねえ明梨さん、空明さんの様子が……」
「うん、分かってるわ。一体どうしたのかしら……?」
「そういえば光さんは……一緒に居たみたいですよね?」
「そうね、光と何かあったのかしら……」
「後で光さんに訊いてみます?」
「そうね、何か知ってるかもしれないわ」

「はぁ……」

空明ちゃんを心配する2人をよそに、空明ちゃんは溜め息ばかり付いていました。

「空明ちゃん……」

光ちゃんと輝も教室に戻って来ました。

「ごめん輝さ……光ちゃん。今は1人にして……」
「空明ちゃん……ごめん」

「光、空明ちゃんと何かあったの?」
「空明さん、教室へ戻ってからずっとあんな感じなんですよ……」
「そ、それは……」

(とても2人には本当の事、言えないわね……)
(あ、ああ……そうだな)

「喧嘩でもしたの?」
「違う、喧嘩じゃ無いけれど……」
「じゃあどうして?」
「ごめん、明梨ちゃん。これは私と空明ちゃんの問題だから……」
「光さん、何があったのかは言えないのです?」
「あかりちゃんも、ごめんね……」

「光さん……」


―――――――☆ 突然の視点チェンジ☆ \アッカリーン/

放課後、私は皆さんの様子が気になっていました。
今朝の明梨さん、そしてお昼休みの空明さんと光さん……皆様子がおかしいもの。
明梨さんは分からないけれど……どうも空明さんと光さんは、2人の間で何かあったようなのです。

光さんは大丈夫そうに見えたけれど……空明さんが大分落ち込んじゃってるみたい。
こういう時は魔法少女さんにでも、お願いできれば良いのですが……。

「あかりちゃん、一緒に帰ろっ」
「仕方無いから一緒に帰ってあげますわよ……」
「あの、空明さんは……?」
「空明ちゃん、1人で先に帰っちゃったんだ」
「相当何かがショックだったようね……」

「そ、そうですか……」

空明さんは本当に、1人になりたいみたいね……。
どうにか魔法少女にお願いでもできれば……魔法少女さんお願い、空明ちゃんを元気にしてあげて……。

「あ、あれ?これって……」
「光、どうしたの?」
「あ、ごめん2人共!ちょっと私、用事思い出した!先帰るね!?」
「あ、ちょ、ちょっと光っ!」
「光さん……!?」

光さん……先に行っちゃった。もしかしたら、空明さんを追い掛けようとして……?

「はぁ、あかりと2人で下校とは……」
「い、いいですよ。嫌ならあかりは1人で帰りますから……」
「だ、誰もそんな事言って無いでしょ!?ほら、とっとと一緒に帰りますわよ!」

「明梨さん……は、はい!\アッカリーン/」

明梨さんと2人で下校も、悪くは無いのかもしれないです。\アッカr……さすがにくどいですか。


―――――――☆ ひかりん参上よ☆

(今、魔法少女を呼ぶ想いを感じたわね)
「うん、誰かが俺達を呼んでいるみたいだな……とりあえずトイレへ急ごう」
(ええ、トイレで魔法少女に変身ね)

魔法少女は困っている人の想いが強いと、その想いを受信する事ができる。
そしてそれを受信した魔法少女達は、魔法で困っている人を助けたりする事もあるのです。

「しかし学校内での変身が、大抵女子トイレってのがねぇ……」
(仕方無いでしょ、確実に誰にも見られない場所って、他に無いもの……)
「せめて家に帰ってからだったら良かったのに。でも緊急かも分からないし、仕方無いのか……」

輝と光は、女子トイレの個室へ向かって行きました。

「魔法少女になれたらいいな♪」

光の身体は眩しく輝き、その後魔法少女の姿へとフォルムチェンジを遂げた。

「魔法少女、リリカルひかりん参上よ♪……トイレの個室でこれは虚しいよなぁ;」
(し、仕方無いでしょ……一応お約束なんだから)
「まあそういう物なのかな……」

(じゃあ変身も済ませたし、誰が呼んだのか探ってみましょ)
「お、おう。そうだな」

魔法少女に変身すると魔力が少し上がったり、いくつかの能力を使えるようになる。
変身する事によって、魔法少女を呼んだのが誰なのか特定する事もできるのだ。

「えーと、ステッキの示す方向は……どうやら外のようだな」
(でもさっき教室で受信した程だし、もしかしたらこの学校の生徒かしら?)
「そうかもしれないな、とりあえずステッキの示す方向へ向かってみよう」


「空明さん、元気になってくれるといいですね……」
「うん、そうだね……」

その頃下校中のお二人さん。

「魔法少女を呼んだのは、あなたかしら?」
「「えっ!?」」
「魔法少女、リリカルひかりん参上よ♪」
「えっ、ま、魔法少女!?ほ、ほら明梨さん!魔法少女は居るじゃないですか!」
「え、ええっ。い、居るわね……」

(って、あかりちゃんと明梨ちゃん!?)
(も、もしかして呼んだのはあかりちゃんか……?)
(正体バレないかな……)
(わ、分からないけど……とりあえず、魔法少女として通してみよう)

「それで私を呼んだのは、どっちの子かしら?」
「あかりじゃない?」
「あ、あのっ、ま、魔法少女さん!じ、実はですね、あかりのお友達が……」
「大丈夫、分かってるわ。空明ちゃんでしょ?」
「そ、そうなんですっ!」

「どっちが呼んだかも分からなかったのに、何でお友達の名前を知ってるのかしら……?」

明梨ちゃんが、なんだか白い目でひかりんを見ています。

(ひ、輝、もしかして明梨ちゃんにはバレたんじゃ……)
(か、かもしれないな……)
「なんだか何処かで見たような顔ね……?」
「そうですか?そんな事無いと思いますよ!まさか光さんが魔法少女な訳……ね?」
「ってかやっぱり。どー見ても光よね……?とても他人に何か見えない物」

「え?な、何の事、ですか?」

(あくまで白を通すのね……大丈夫かな)
(そうするしか無いでしょ……)

「……ま、いいわ。どうせコスプレか何かでしょ」
「多分たまたま顔がそっくりだっただけですよ!光さんな訳無いですよ!ね、光さん!?」
「う、うん……」

「……何で光さんって言われて返事するのかしら?それにひかりんって……」
「あ、あぅー……」
「えーと、やっぱり光さんなのです?」
「光……だよね?」

(ど、どうする?光……)
(もうカミングアウトしちゃうしか……)

「じ、実は……そ、そっくりなだけよ!それに魔法少女だから、何でもお見通しなのは当然なのよ!」
(輝も結構強引ね……)
(だ、だって認めちゃったら明梨ちゃんが……)

「ふーん、ま、私には関係無いですわ」
「そ、それで光さん……ひかりんさん、空明さんが……」
「空明ちゃんを元気にしたいのね?」
「そうなんです!魔法でどうにかできないですか?」
「分かったよ、どうにか空明ちゃんが元気出すように、やってみるわ」
「ありがとう光さん!じゃなくってひかりんさん!」

「……光、何か手伝える事あったら、私も協力するから言ってね。……じゃなかった、ひかりんだっけ」
「あははははー……」
(もうもろバレね……)

「じゃ、じゃあ私はとりあえず一旦帰るのでー……」

ひかりんはステッキに跨って、遠くへ飛んで行きました。

「飛んでっちゃった……ほ、ほら!本当に魔法少女は居たんですよ!」
「ま、まさか光も……」
「明梨さん?ね、見ましたよね!?」
「え?あ、う、うん。飛んでましたわね」
「凄いです!あかりも魔法少女になりたいですよ!」


「元の姿に戻れたらいいな♪」

人気の居ない道路へ降り立ち、ひかりんは元の光の姿へ戻りました。

(明日からどうしよう……明梨ちゃんにも嫌われちゃうよ……)
(ど、どうしようか……)

「あ、光さん!」
「あら、光。用事は?こんな所に居たの?」
(ギクッ!め、明梨ちゃんが……)

ちょうど下校途中だった2人と、鉢合わせしてしまった光ちゃん。

「あ、あの……も、もう分かっちゃったわよね?さっきの事は……」
「……私は別に、何も見て無いわ。で、光、用事はどうしたの?」
「あれ、さっき明梨さんも、確かに見ましたよね……?」

「……何も見て無いわ。そういう事にしといてあげる、って言ってるの……」

「め、明梨ちゃん……」
「幼なじみ舐めないでよ?秘密の1つや2つバレたからって、そんな事で関係が壊れる訳無いでしょ」
「ふふーん、把握しました!明梨さんは何も見て無いんですね!」
「ま、そういう事よ。バカバカしいから、もうこの話は振らないでちょうだい」
「承知しました!」

(あれ……意外と明梨ちゃん、平気みたいね……)
(みたいだな……)

「とりあえず空明ちゃんの件だけど、今回は光に任せて良いのかな?」
「光さんで無いと、何でこうなったのか経緯が分からないですよね?」
「うん、魔法で何とか……じゃ無くって!私がどうにかするから!」

2人にも正体がバレちゃったけれど、どうにかなったみたいな光ちゃん。
3人はこのまま、それぞれの家へ帰宅して行きました。


「おかえりだにゃん」
「リリ、ただいま。実は今日ね……」

輝は2人に正体がバレてしまった事を話しました。

「まあいいんでない?別に正体がバレたら元に戻れなくなるとか、そういう事は無いにゃん」
「そうだけど……でも明梨ちゃんが、魔法少女が嫌いみたいだから……ちょっとね」
「でも触れないでいてくれるみたいなんでしょ?ならば平気なんじゃないかにゃん?」
(明梨ちゃんが幼馴染で良かったのかも……)
「そうだにゃ、小さい頃から築き上げられた絆は、そんな簡単には壊れないって事だにゃん」

「あと空明ちゃんの件なんだけどね……実はかくかくしかじかで」
「ふむふむ……かくかくしかじかなんだにゃん?ってそれじゃ分からないにゃん」
「中身の事情がバレちゃったんだ……」
「輝の事がバレちゃったんだにゃん?」
「うん、空明ちゃんはどうも男性恐怖症みたいで……俺が光の中に居ると分かった途端、様子が一転しちゃって」
(魔法でどうにかできないかな、と思ってるんだけれどね……あかりちゃんにも一応、魔法少女として依頼されちゃったし)

「なるほどね、魔法少女として依頼されちゃったなら、仕方無いんじゃないのかにゃん?」
(でも人の気持ちを動かす魔法って、大分高度なのよね……?)
「そうだにゃ、魔力も大分消費するけれど何よりも……」
(何よりも……?)
「……な、何でも無いにゃん。依頼されたならば、後は光達に任せるにゃん」

(リリ、何が言いたかったの……?)

リリは何か言いたそうでしたが、その続きは言わずに止めてしまいました。

「とりあえず、空明ちゃんに魔法を掛けてみるしか無いのか……」
(そうね、男性恐怖症の空明ちゃんと話ができなさそうならば、そうするしか……)

光と輝は、魔法で空明ちゃんの気持ちを動かす決心をしました。


そして次の日の朝。

「光さん光さん!待ってましたよ!さあ色々とお話、してもらいますよ!?」
「……相変わらず朝から、バカなくらい元気なんだから」
「あ、あぅ……」

学校の教室へ着くなり、光はあかりちゃんから質問攻めを受けるハメになった。
勿論魔法少女の事について、色々詮索されたのは言うまでも無い。

「じゃあ新学期の時には、もう魔法少女だったんですか!?光さん凄いです!」
「……ま、まあ、聞かなかった事にしといてあげますわ」
「うぅっ……よ、良かった。私、正体がバレたら、明梨ちゃんにも嫌われちゃうんじゃないかと……」
「大丈夫よ、私だって魔法少女が居るって事くらい、本当は分かってたわ。ただ……」
「「ただ……?」」
「……ごめん、な、何でも無いのよ」

「………?」

(明梨ちゃん……本当は魔法少女の存在を知ってたの?必死に否定してたのは、何でなんだろう……)
(さあ……でも、嫌われなかったみたいで良かったじゃん?)
(うん、本当に良かったよ……)

「で、肝心な空明ちゃんだけど……」
「今日も朝から、この調子なんですよね……」

「はぁ……」

空明ちゃんは窓の外を見つめて、何度も溜め息を付いている。

「光、本当に空明ちゃんと何があったのか、言えないの……?」
「ご、ごめんね……空明ちゃんとの問題だから」
「分かったわ。じゃあこれ以上、この問題には私達は口出ししないから。あかりもそれでいいわね?」
「勿論ですよ。後は魔法少女さんにお任せするのです!」
「ちょ、ちょっとあかりちゃん……周りに聞こえちゃったらまずいから……」
「え、何でですか!?クラスに魔法少女が居るだなんて、素敵じゃないですか!」
「い、一応まあ、色々と騒がれたりしても面倒だからさ……」
「まあそういう物よ。安易に正体をバラす物じゃ無いのかもしれないわ。まあ光の場合は、もろバレだったけど」

「そういうものなんですか……わ、分かりました」

「……やっぱりいつも4人だったし、空明ちゃんが居ないとつまらないね」
「そうですね……」
「光、じゃあ後は空明ちゃんの件、お願いね?」
「分かった。どうにか空明ちゃんの気持ちを元に戻してみせるよ」

『キーンコーンカーンコーン』
「あ、じゃあまた後でね」
「あかりも戻りますね!」

学校の始まりのチャイムと共に、2人は席へ戻って行きました。


お昼休みの時間、輝は空明ちゃんの元へ行きました。

「ねえ、空明ちゃん……」
「………ご、ごめんなさい……お、お話、できそうに無い」

空明ちゃんは全身を身震いさせながら、そっぽを向いて答えた。
何かトラウマ的な物を、強く感じてしまっているのでしょうか?

「だ、大丈夫だよ……見た目は普通に光ちゃん、だから……ね?」
「ダ、ダメなの……ご、ごめんなさい……」
「空明ちゃん……」

空明ちゃんは一向に取り合う気がありません。

「空明ちゃん、ねえ……空明ちゃんは、何で男の人が苦手になっちゃったの?できれば詳しく教えてよ……」
「………」

(光、どうしよう……?)
(うーん、空明ちゃんを外に連れ出せれば……ここで魔法を使うのはまずいものね)
(どうにか上手く誘導できないかな……明梨ちゃんやあかりちゃんに、協力を呼び掛ける?)
(今の空明ちゃんの状態じゃ、きっと明梨ちゃんやあかりちゃんが話し掛けても同じよ)
(うーん、一体どうすれば良いのだろう……)
(そうだ、じゃあ学校が終わったら、直接空明ちゃんの家に行ってみる?)
(……そうだな、それが良いのかもしれない)

結局何も進展が無いまま、お昼休みは終わってしまった。


そして放課後、空明ちゃんを抜いたいつもの3人での下校。

「空明ちゃん、今日も先に帰っちゃったね……」
「うん、よっぽど何かを思いつめているみたいね」
「空明さん、心配です……」
「大丈夫よ、光が何とかしてくれるって……私は信じてるから」
「ですよね、あかりも光さんがどうにかしてくれるって、信じてますよ!」
「でも思うように上手く行かなくてね……空明ちゃん、まともに取り合ってくれなくて」
「魔法で気持ちを動かしたりはできないのですか?」
「教室で魔法を使うのはまずいもの……だからこれから、直接空明ちゃんの家に行こうかなと思って」
「でも空明ちゃん、出て来てくれるかしら……」
「それもそうですよね……」

「うーん、どうしよう……」
「じゃあ登下校中に、空明ちゃんを捕まえるしか無いんじゃない?」
「そうですね……それしか無いかもしれませんね?」
「じゃあ明日の朝……空明ちゃんに接触してみるよ」
「そうね、頑張ってね、光……空明ちゃんが居ないと寂しいもの」
「そうです、やっぱり4人一緒の方がしっくり来ますもの」

明日の登校時間、空明ちゃんを捕まえる事にした輝。果たして上手く行くのでしょうか……?


「ただいまー」
「おかえりだにゃん、空明ちゃんの件はどうだったかにゃ?」
「それが上手く行かず……教室じゃ魔法は使えないし、帰りは先に帰られちゃうし……」
「大変みたいだにゃん……」
「うん、明梨ちゃんやあかりちゃんも、心配してるんだけどね」

明日の朝、空明ちゃんに接触してみよう。そう決心した輝と光ちゃんでした。


「空明ちゃん、おはよ」

次の日の朝、輝は登校中の空明ちゃんを見つけました。

「……ご、ごめんなさいっ!」

空明ちゃんはそそくさと、早足で逃げようとしました。

「待って空明ちゃん!明梨ちゃんもあかりちゃんも、ずっと空明ちゃんを心配してる……勿論、私達も」
「………あ、あたしにどうしろと」
「今まで通り、元の関係には戻れないかな……」
「……輝さんは悪く無いけれど、あたしはどうしても男性とお話は無理なのよ……」

「空明ちゃん、どうしてそこまで男性が怖いの……?」
「……昔、男の人にレイプされた事があるの」
「………えっ!?」

(空明ちゃんはね、無理矢理男の人に襲われた過去があるのよ……小学3年生くらいの事だったかな?)
(そ、それは……トラウマになる訳だわ……)

「も、もう男の人だと考えただけで、ガクガクが止まらないの……」

空明ちゃんは必死に喋りながらも、全身をガクガクと震えさせている。

「……空明ちゃん、大丈夫だよ。今の俺は光ちゃんの身体だし、襲ったりなんて絶対しないから」
「わ、分かってる……で、でも、身震いが止まらないのよ……ごめんなさいっ!」
「あ、空明ちゃん待って……」

そう言って、空明ちゃんは走り去ってしまった。

(はぁ……もう魔法で気持ちを動かす以外、無いのかな……)
(かもしれないな……)

「光、おはよう。ダメだったみたいね……」

明梨ちゃんが後ろから声を掛けて来ました。どうやら一部始終を見ていたようです。

「明梨ちゃん、おはよ……結局ダメだった」
「魔法は使わないの?」
「うん、魔法を使えば簡単なのかもしれないけれど……でも何か引っ掛かるのよ」
「……そうよね、魔法で空明ちゃんを元気にしたって、それは本当の空明ちゃんの気持ちじゃ無いものね」
「……だよね、私も薄々考えてはいたのよ。本当に魔法に頼っちゃって良い事なのかどうか」

魔法を掛けて気持ちを変えたって、それは本物では無い偽りの気持ち。
どうやら輝は、薄々とそれに気付いていたようです。

(輝や明梨ちゃんの言う通りよね……これは魔法に頼っちゃダメな事、なのかもしれないわ)
(うん、魔法で気持ちを変えても、そんなのは本当の空明ちゃんじゃ無いものね)
(そうよね、じゃあそれならば……輝、こうするのはどう?)

光ちゃんは何か案が浮かんだようです。

(ふむふむ……上手く行くかな?でもそれに賭けてみるしか……)

「光、どうにかなりそう?ダメそうだったら、やっぱり私も協力するから」
「あ、大丈夫。とりあえず、もう少し頑張ってみるから……明梨ちゃん、ごめんね」
「………頑張ってね」

果たして光ちゃんは、何を思い付いたのでしょうか……?


―――――――☆ \アックアーン/ え?ちょっと無理あり過ぎ?

あたしが光ちゃんを避けるようになってから、早数日。
……あたし、何やってるんだろう。皆をた只困らせちゃってるだけなのに。
早く昔のトラウマなんて忘れて、皆といつも通りにお話したいのに……。

でも光ちゃんの中に男の人が居る、と考えると……あの時の記憶が蘇って来て。
どうしても身震いが止まらなくなっちゃって……光ちゃんの顔すら、まともに見れなくなっちゃう。

光ちゃんが魔法少女なくらいだから……あたしは、輝さんの言った事を信じてる。
それに輝さんは悪く無いし、悪いのはあたし……勝手に、光ちゃんと輝さんを避けてるだけだもん。

「はぁ……」

 もう溜め息を付くのも何回目だろう?
 輝さんの事で落ち込んじゃうのでは無い。皆とお話したいのに、光ちゃんが居ると上手くできなくて……。
 皆とお話できなくて、結局自然と溜め息ばかり出ちゃう。

あたし……どうすればいいんだろう……。

「あ、あの、空明ちゃん……」

あ……また光ちゃんが、あたしの所に来てくれた。あたしを気に掛けてくれて……。
きちんとお話しないと……きちんと輝さんと、頑張ってお話しないと……。

あ、ダメ……ま、また身震いが……。

「……ご、ごめんなさいっ!も、もうあたしに構わないで……」
「空明ちゃん、じゃあ一方的でもいいから……お話だけ聞いて、ね?」

「………」

お話?一体、何だろう……?

「私は嫌われたって構わない。でもせめて……明梨ちゃんとあかりちゃんとは、いつも通りにしてあげて……?」
「………輝さん、何でそこまであたしに構うの?」
「だって寂しいじゃない。何よりも空明ちゃんのこんな顔、ずっと見てなんか居られないよ……空明ちゃんの事、大好きだもん」

ドキッ!? ひ、輝さんっ……?

「空明ちゃんからすれば確かに、俺は光ちゃんの振りをしていただけの他人だろうと思う」
「………」
「でも空明ちゃんや皆と、今まで仲良くして来た事実は変わらない。だからこそ、空明ちゃんを放っとけないんだ」
「………」
「こんな空明ちゃんを見てるなんて、辛いだけだよ……だって、空明ちゃんの事が好きだから」

「………ぐすん」
「空明ちゃん!?え、えっと……」

気付いたらあたしは、涙を浮かべていた。
輝さんの想いが温かくて……あたしは、何だか嬉しくなってしまって。

「ご、ごめんっ!や、やっぱり空明ちゃん、困らせちゃったよね……」
「………ち、違うの」
「で、でも空明ちゃん、泣いてる……」

「………嬉しいの、あたし嬉しいの」

気付けばいつの間にか、あたしの身震いは止まっていて……。
輝さんの温かい想いが、あたしの心に直接届いてくれたような感じで……。

「……ひ、輝さんだったら……き、きっとあたし、もう大丈夫かもしれない……」
「空明ちゃん……」
「輝さんならば……きっと、もう受け入れられる……」


―――――――☆ \ヒッカr 明梨「くどいっ!」 光「あぅっ……」

「ふぅ、一件落着のようね」
「そうですね」

その様子を遠くから見守っていた、明梨ちゃんとあかりちゃん。
2人共光ちゃんと空明ちゃんのやり取りを見て、安心したようです。

「それにしても輝さんって、一体誰何でしょうね?」
「……さあ?私にも良くは分からないけれど……」
「でもともかく、空明さんも平気みたいだし良かったですよ!」
「そうね、また4人で一緒に仲良くできるかな?」


 放課後の下校時間。

「光ちゃん、今までごめんねっ……後、明梨ちゃんとあかりさんも」
「いいのよ、なんか良く分からないけれど、空明ちゃんも落ち着いたならばそれはそれでね」
「ですよねー!空明さんが居なくて、今まで寂しかったですよ!」
「ごめんねっ、空明ちゃん……」

今日からはまた再び、4人で一緒の下校です。
無事に空明ちゃんは復帰できたし、皆も何処と無く嬉しさを隠し切れないようです。

「空明さん良かったです、えへへっ」
「皆一緒じゃないと、しっくり来ないものね」
「いつも4人一緒が当たり前になってたものね」
「色々と迷惑掛けてごめんねっ……」
「もういいから、空明ちゃんも気にしないで?」

「魔法少女ひかりんさん!空明さんを元気にしてくれて、ありがとうございました!」
「あ……あかりったら!空明ちゃんはまだ光の正体を……」
「えっ?魔法少女ひかりん?知ってるよ、光ちゃんの事でしょ?」
「え、えーっ!?空明さんは知ってたんですか!?」
「そうだったの?」

「魔法少女は居るよーって、あたしこの前言ったもんね?」
「そういえば言ってましたね?」
「空明ちゃんは一体いつから?」
「先月起こった、空明ちゃんのブルマ事件覚えてる?」
「そういえばそんな事もありましたわね」
「ありましたねー」
「実はその頃から、もう空明ちゃんには正体がバレてたんだ……」
「うん、しかもブルマ事件の犯人は、光ちゃんだったのよ」

「「え、えぇーっ!?」」

「実は魔法で空明ちゃんのブルマを、移動しちゃったみたいで……」
「そうなのよ、別に盗んだ訳じゃ無いから、いいんだけどね」
「そ、そうだったんですか……て、てっきりあかりは、誰かが盗んだのかと……」

あかりちゃんは何だか、何処となく少し残念そうです。

「あかり、何考えてるの……」
「あ、な、何でも無いんです!誰かが空明さんのブルマで、何かやってたんじゃないかと期待してた訳じゃ」
「あ、あかりさん………;」
「へぇー、あかりって、そういうやらしい娘だったんだ……」
「ご、誤解ですよ!?だ、だって盗まれたとしたら、誰だってそう思う物じゃないですか!?」

「あははははー……」

空明ちゃんが戻って、皆にもいつもの元気が戻って来ました。


「ただいまー」
「おかえりだにゃん。空明ちゃんはどうだったかにゃ?」
「どうにかなったよ。空明ちゃん、元に戻ってくれた」
「それは良かったにゃん。何か魔法は使ったのかにゃ?」
「いや、魔法で気持ちを動かしたって、それは本当の気持ちじゃ無いから……」
「良く気付いてくれたにゃん。そうなの、魔法で気持ちを変えるって言うのは、あまり良い事じゃ無いのよ」

(リリは前、何か言おうとしてたけど……それを言いたかったのね?)
「そうよ、光。他人の気持ちをコントロールしちゃうって、ズルいと思わないかにゃ?」
(そうよね。輝と一緒にそれに気付けて、良かったよ)
「やっぱり魔法は止めようと思ったのは、明梨ちゃんのおかげでもあるよ」
「何はともあれ、一件落着みたいで良かったにゃん」

明日からはまたいつも通り、4人で楽しくやって行ける。
この時の輝と光は、そのように思っていたのだけれど……。


次の日、朝の登校時間。

「空明ちゃん、おはよー」
「ひ、輝さん……お、おはようございますっ」
「あははっ、いつも通り光ちゃんでいいよ」

(何だか空明ちゃん、やけに改まっちゃってる感じだね?)
(うん、光じゃなくて、俺を意識しての態度じゃないのかな?)

「で、でもっ、輝さんは年上の男性さんみたいですし……」
「まあそうだけど、でも今の私は光ちゃん自身だから」
「そ、そうなんですけど……」

いつもと違って、少しぎこちない感じの空明ちゃん。
そんな空明ちゃんと少し歩いていると、後ろから明梨ちゃんがやって来ました。

「光、空明ちゃん、おはよ」
「明梨ちゃん、おはよー」
「お、おはよう……」
「何だか後ろから、2人共ぎこちないように見えたけど……空明ちゃん、まだ光との事気にしてるの?」
「えっ!?き、気にしてなんか……」
「何があったのかは知らないけど、いつも通り楽しく行こうよ?」
「う、うん……そ、そうだね」
「そうそう、楽しく楽しく。ねっ?」
「は、はい……楽しくですね?」
「なんだか空明ちゃんったら、やけに改まってるのね……あかりとキャラ、被っちゃうんじゃない?」
「あかりちゃんは元気も取柄だから、それは大丈夫だと思うけど」
「……そ、そうよね?いつも通りに行きましょ!」

空明ちゃんには、どうやら元気が戻ったようです。
この時の光達には、いつもの空明ちゃんとして見えていたようですが……。


「はぁ、皆遅いですよ……」
「……それは違うわ、あかり」
「えっ!?」
「どう考えても、あかりが早過ぎるだけでしょ……」

教室では既に、光達より先に来ていたあかりちゃん。
元気さ故なのか、教室へやって来るのも割りと早いようなのです。

「まああかりちゃんは元気だものね。帰りは一緒だけれど、朝の登校ではあまり会わないものね」
「そうよ、私達と一緒に登校したかったら、もう少し遅く家を出る事ね」
「えっ、と言う事は……あかりは、朝も一緒に登校していいんですね!?これは明梨さんのデレフラグですね!?」
「バ、バカッ!そ、そんなんじゃなっ……べ、別にあかりの為何かじゃなくて、皆の為なんだからっ!」
「まあやはりあかりも居ないと、皆が寂しいですものねー!」
「そうね、昨日までは空明ちゃんが居なくて寂しかったものね……って、空明ちゃん?」

空明ちゃんはさっきから、全然話に入ろうとして来ません。

「空明ちゃん?どうしたの?元気無さそうに見えるけど」
「空明さんー?」
「んにゃ?あ、大丈夫だよっ、ちょっと考え事をしていただけで……」
「空明ちゃん、力抜いて……」
「あ、は、はいっ……」

空明ちゃんに小さく耳打ちで話し掛ける輝。

「空明ちゃん、やっぱり光には何だかやけに改まってるのね?」
「さては2人の間で何かあったんですねー!?昨日までの件でありそうな事と言えば……」
「な、何も無いよ?」
「うん、別に何も無いったら無い無い。ね?空明ちゃん」
「は、はいっ……べ、別に何も無いんですっ!」
「……怪しいですね、空明さんのその態度……もしかして空明さんって、光さんの事が……」

「えっ!?べ、別にそんなんじゃ……っ!」

何故か物凄い勢いで顔を赤くして、焦り出す空明ちゃん。

「あ、あかりちゃん、違うんだ。そんなんじゃ無くて……」
「空明さんは、魔法少女の光さんに憧れてるんですね!?」

「……へっ?あ、う、うん。そ、そうなのよ!」
「えーと、それで空明ちゃん改まっちゃってたの?」
「じ、実は……そうなんですっ!」

(って空明ちゃんは言ってるけど……絶対嘘よね、これ)
(うん、俺に対しての態度なだけ、としか思えないよね……)

「まあそうですよね!あかりだって、魔法少女の光さんを尊敬してますもの!」
「そ、そうよねっ!?光ちゃんったらカッコいいもんね!?」
「ですですー!それに魔法少女の時の服もかわいいし、惚れちゃいそうですよねー!」
「う、うんっ、思わず惚れ………」

空明ちゃんは顔を赤くしたまま、黙り込んでしまいました。

「………空明ちゃん?」
「空明さん?どうしたんですか?」
「あ、何でも無いのよっ!光ちゃんかわいいよねっ!あははははー……」

(空明ちゃんの様子が何だかおかしいよ……一体どうしたのかな?)
(昨日までの事を気にしているだけ、って感じはしないけど……)
(本当に一体、どうしたんだろう……)

「ねえ、空明ちゃん?」
「ひ、光さん!?な、何でしょうか?」
(光さんって……お前はあかりちゃんか!)
(って、ツッコミみたい物よね……)
「まあその、色々とあまり気にしないでね……」

「ほんと、光と空明ちゃんの間に、一体何があった事やら……」
「光さんだなんて……怪しいですね」
「べ、別に何も無いんだってばー!本当だよーっ!?」

『キーンコーンカーンコーン』

「あら、チャイムが鳴っちゃったわね」
「じゃああかり達は席に戻りますね!」
「うん、じゃあ皆また後でね」

「は、はい……!」

皆はそれぞれ席へ戻って行きました。

(空明ちゃん……相当固い感じだったよね)
(うん、身震いは無かったみたいだから、輝と話す事への抵抗は大丈夫みたいだったけど)
(俺には心を開いてくれたのかな……良かった)
(みたいね。空明ちゃんに嫌われなくて、本当に良かったよ)
(むしろ逆に好かれてたりして)
(えーっ、さすがにそりゃ無いでしょー。だって輝の外見って、どう見ても今は私だし)
(まあそうだよな、どう見ても光だもんね)

今日もこれから、学校生活の1日が始まります。


「皆さん、次は体育の時間ですよ!」

10分間の休み時間。あかりちゃんが着替えている光達の元へ、元気良くやって来ました。

「ええそうね、体育ね。元気なあかりにはお似合いね」
「そんなにあかりのブルマ姿がお似合いですかー?それは嫌らしい意味でですか!?」
「……この娘は何言ってるんだか」

「それにしても今では他の学校なんてハーパンなのに、うちの学校は珍しいですよね」
「そうね、機能性を重視だの云々で未だブルマだなんてね」
「でも明梨さんもブルマ姿、かわいいですよね!ツインテールに良く似合ってますよ!」

「……も、もうっ!からかわないでよっ!」

明梨ちゃんは頬を少し赤く染めて、あかりちゃんに言いました。

「あーっ、明梨さんったら満更でも無いみたいですねー」
「そ、そんな事無いわよっ!?」
「でも明梨さんだけじゃ無いですよね、光さんのブルマ姿もプリティーで、とてもかわいいです!」
「えっ……そ、そうかな?」

1ヶ月近く経って、ブルマを穿く事への抵抗はすっかり薄れつつあった輝。
でもあかりちゃんにそんな事を言われてしまった輝は……。

「あれれ?光さんも何だか顔赤いですよ?光さんも満更でも無いのでしょうか!?」
「そ、そんな事……」

ブルマ姿がかわいいだなんて言われて、輝は今女の子である事を、改めて認識してしまったようです。

(輝……私のブルマ姿って、そんなにかわいいかな?)
(さあどうでしょう?)
(……何ではぐらかすのよ)
(だ、だって素直に光ちゃんかわいいとか、萌えとか言える訳っ……)
(……って思いっきり言っちゃってるじゃん!ま、まあっ……ありがとっ、輝///)
(つまりそれは俺自身がかわいい、って事にも繋がるよね?今は俺が光なんだし)
(えーっ……か、かわいいのはあくまで私でしょ!?)
(私って誰ですか、光は今は俺なんですよーだ)

(……もうっ!またからかって)

「そして空明さんのブルマ姿は……ってあれ?」
「空明ちゃんね、家にブルマを忘れちゃったみたいなのよ」
「そうなんですか……じゃあここは是非、光さんの魔法で空明さんのブルマを!」
「い、いや……それは止めとく」
「そうね……以前失敗してたみたいだもの」
「あたしは見学するから大丈夫だよ」
「うーん、でも今日は体力テストですよ?」
「そうよね、見学だと記録無しになっちゃいますわ」

(ねえ輝、私のロッカーに予備のブルマって無かったかしら?)
(あ、そういえばあるよね。4月の時に忘れちゃった事があったから、念の為に置いといたんだよね?)
(それを空明ちゃんに、貸してあげたらどうかな?)
(ふむふむ、そうだね。そうすれば空明ちゃん、体育に出られるもんね)

「あ、あの。空明ちゃん」
「はい?な、何でしょう?」
「良ければ私の予備のブルマ、使って?」

光ちゃんはロッカーを開けて、予備のブルマを空明ちゃんに差し出しました。

「えっ……で、でもっ」
「体育できないと今日は困るでしょ?遠慮しないで使って?」
「ひ、光さんが使ってたブルマですし……」
「気にしない気にしない。だって女の子同士でしょ?」

(とか言っちゃって輝は……)
(まあでも今は俺が光だもん……)

「女の子同士……そ、そうですよねっ!じゃ、じゃあすみません借ります」
「良かったわね、空明ちゃん」
「これで空明さんのブルマ姿も拝める、ってものですね!」
「あかり……な、何で顔がにやにやしてるの」
「な、何でも無いですってば!」
「あかりって本当にやらしい娘だったのね……」
「そ、そんな事無いですよ!?決して皆のおしりを見て妄想だなんて……!」

「「「……………えっ?おしり!?」」」

「うぅっ、皆して酷いです……あかり、そんな娘じゃ無いもん」
「わ、悪かったわね。ちょっと言い過ぎたわ……」
「で、でもおしりって……」

「光、光は何も聞いて無いわよね?」
(聞かなかった事にしといてあげる、って事みたいね……)
「は、はい何も聞いて無いです明梨様」
「空明ちゃんもね?」
「う、うん。光ちゃんのおしりがかわいいだなんて思ってない」

「「「……………えっ?やっぱりおしり!?」」」

「あ、あぅ……あ、あたし、何か言ったっけ?」
「……な、何も言って無いわよ?」
「は、はい何も言って無いです空明様」
「空明さん……にやにや」

「あかりったら……何も言って無いのよ!」

あかりちゃんのやらしい娘疑惑が出たりもしたけれど……4人共無事ブルマ姿となり、体育の授業を受けました。
だけれど授業中の空明ちゃんは、何だか少しそわそわしている感じがしたのです。

(空明ちゃん、どうしたんだろう?何か下半身ばかり気にしているように見えるけど……)
(うーん、いつもの自分のブルマじゃ無いから、違和感なのかな?)
(そうなのかなぁ、でも確かにブルマを気にしているように見えるわね)

数十分後。体力テストは無事に終わり、4人共きちんと記録を録る事ができました。

(そういえば輝)
(うん、何?)
(さっきの教室での空明ちゃん……私のおしりが……って)

(……きっと気のせいだよ。空明ちゃんがそういう事、言う筈無いもんね?)
(そ、そうかな……)

果たして空明ちゃんは、一体何を考えているのでしょう……?


コメント欄

コメントを投稿するには画像の文字を半角数字で入力してください。


画像認証

  • 最終更新:2018-02-10 12:30:37

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード