マジカル1☆魔法少女の日常

 光ちゃんにおまかせ! マジカル1☆魔法少女の日常

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  • TSF 憑依 精神同居 ブルマ



4月、新たな「何か」が起こりそうな、始まりの月。

「行って来まーす」

いよいよ新学期初日、春休みが明けてこれから6年生の女の子として、魔法少女としての学校生活が始まる。
春休み中は光と色々話し合い、学校での生活の在り方を決めていた。

「そんな事、決めていたかしら?」

唯一冷静な子猫は、そう口に出すと同時に思う……あの2人、大丈夫だろうか?と。


■このお話は~~~

遅刻しそうで急いで卒業式へ向かっていた高校生の「輝」(ひかる)。
たまたま途中で出会った魔法少女の魔法暴走に巻き込まれ、自身を「光」(ひかり)の中に全て吸収されてしまう。
そして2週間の時が経ち、意識を取り戻すと……輝はその魔法少女になってしまっていたのだ。

しかし身体の主である光の意識は、きちんと脳内に残っている。
事実上輝が魔法少女の主導権を握り、脳内では光が存在している、精神同居的な魔法少女が誕生してしまった。


「とりあえず、大まかな前置きはこんな感じね。では本編へどうぞ、だにゃん♪」

いちいち語尾を変えなくてもいいですよ……。

「だってこうした方が、子猫ちゃんの台詞だって分かりやすいでしょ?」

(って、何で初日早々遅刻しそうになるのよ……)
「まだ学校へ行く道に慣れなくてさ、ごめん」
(もぅっ!私が道案内してるのに、方向音痴過ぎよ……)
「そうかな?光の道案内の仕方が悪いんじゃ無いの?」
(……電撃)

「ごめんなさーーーい僕が方向音痴でした許してぇーーー!!」

何だかんだでチャイムの鳴る5分前、ようやくよもぎ小学校へ到着した輝と、脳内から見届ける光。
輝が方向音痴過ぎて道に迷い、結局ギリギリとなってしまっていた。

(まずはクラスボードの確認ね……あ、空明ちゃんが一緒ね。明梨ちゃんも一緒だわ)
「ふむふむ、お友達?と言うか……意識だけでも、きちんと外の様子が見えてるんだね」
(空明ちゃんとは5年生からの付き合いで、明梨ちゃんとは幼なじみだったの)
「なるほど、仲の良い友達なんだ……俺がボロを出しちゃわないか心配だ」
(こら、俺とか言わない。電撃行っとく?)
「ごめんなさい私が悪かったです」

(本当に気を付けてよね……今の私達の状態がバレると、色々と厄介だろうから)
「はい、分かりましたお姫様」
(お、お姫様って何よ……う、嬉しくなんて無いんだから!!)

輝はどうでもいい事ではあるが思った、やっぱり光ってツンデレなのだろうか?

「光ちゃん、おはよー」
(あ、空明ちゃんおはよー……って、私の声は届かないよね。輝、代わりにお願いね)
(はいはい……)「おはよー」
「なんだか今日は、素っ気無いのね?」
「えっ?き、きっと気のせいよ」
「そう?それよりさ、クラス表見た?同じクラスだね!宜しくー」
「う、うん。宜しくね」(ボロが出そうで怖いなぁ……)

(ま、まあ何とか大丈夫そう……ね?)

光に声を掛けてきた彼女は、「空明」(あくあ)ちゃん。
光と小5の時に知り合って仲良くなった彼女は、心の透き通っているかのような性格の良い素直な子だ。
いつでも光の事を親身に考えてくれる、良き理解者でもある。

「じゃあ教室行こうか、チャイム鳴っちゃうもんね」
「うん、えっと私は……向こうの玄関?」
「そうでしょ?6年生になったからこっちよね」

(場所が分からなかっただけだろうけど……でもたまたま新学期だから、極自然で良かったわ)


輝は空明ちゃんと共に教室へ入った。

「あ、光、空明ちゃん、おはよ」
「おはよー明梨ちゃん、先に来てたのね」
「うん、遅刻するのは嫌だからね」
「おはよー」(光、この子は?)
(さっき言ってたもう1人のお友達、明梨ちゃんよ)

教室であいさつを交わした彼女の名は、「明梨」(めいり)ちゃん。
小さい頃からの幼なじみで、少しクールで自分の意思ははっきりと示す性格のようだ。

「光と空明ちゃんは春休みの課題、やってある?」
「えっ?課題?」(そんな物あったの?)
(あ……す、すっかりと忘れていたわ……学校から、家に届いていたのよね)
「あたしはやってあるわよ」
「お願い空明ちゃん!速攻で写させて!!」
「うーん、仕方無いわね……じゃあ、すぐ済ませてね」
「ありがとう、恩にきるよ」

明梨ちゃんって真面目な子に見えるけれど……宿題の課題をやって無かったようです。
何か理由でもあったのでしょうか?それともただ単に、サボっていただけ?

「光ちゃんはやってあるの?」
「え?わ、私は……忘れちゃった」
「じゃあ光ちゃんも、写していいよ?」
「あ、そうですか……で、でも家に置いて来ちゃって……」
「え?そうなの?」

(輝、そんな時こそ魔法よ。課題の本をイメージして、強く念じるの)
「あ、もしかしたらランドセルの中にあったかも……」

輝は課題の本を強くイメージして、頭の中で念じてみた。

「えいっ!」

「どうしたの?光ちゃん」
「あ、い、いえ何でも無いのです」
「そう?おかしな光ちゃん」

空明ちゃんに笑われてしまった。
でもどうしても魔法を使うには、最後に「えいっ!」がお約束のようだ。
ちなみに光から聞いた話によると、単純な魔法であれば変身せずに使えるらしい。
だけど魔力の強い魔法を使う場合は、魔法少女の姿に変身しないと使えないとの事だ。
物を移動するくらい魔法少女なら容易いようで、変身無しでも簡単に使える。

(これでランドセルの中に移動してる筈よ)
「うん、探して見るよ」
「光ちゃん、何ぶつぶつ言ってるの?」
「あ、何でも無いですはい」

せっせと課題を写している明梨ちゃんをよそに、空明ちゃんは不思議そうな顔をしていた。

(じゃあ探してみるかな……)

輝は真っ赤なランドセルの中を探して見た。
すると……確かにその中には、課題の冊子が入っていた。魔法が成功したのである。

「良かったー、課題あったよー」
「忘れなくて良かったね、じゃあどんどん写しちゃおっ」
「うん、頑張るしか無いのよね……」

いきなり朝から、課題の仕上げとなってしまった輝であった。

(輝ー、私の為にも頑張るのよ♪私が課題をやり忘れるなんて、恥だから)
(入院してたからできなかった、って事にはできないのか……?)
(実はね、魔法の暴走によって起きた結果だから、皆の中では私が入院してたって事実が無いみたいなのよ)
(へぇー、そうだったんだ。そりゃー知ってるならば、最初に会ってから入院の心配もしない友達ってのもおかしいよな)

光と話をしながら、せっせと課題写しを進めて行った。


その後体育館で入学式が行われて、校長の絶好調な長い話を聞かされて。
担任の発表が終わった後、教室へ戻って現在待機中なのであった。

「課題、写し切れて良かったね♪」
「うん、ありがとう。空明ちゃんのおかげよ」
「別にいいってばー」
「光も良かったね、間に合って」
「う、うん。ありがとう」

『ガラーッ』

3人で話をしていると、教室のドアが開いて先程発表されたクラス担任が入って来た。

「はい皆さん、席へ着いてくださいねー」

クラス全員がそれぞれ席へ戻り、教室は一気に静まり返った。

「今日から皆さんの担任となった先生です、先生って呼んでくださいね♪」

本名の名前が「先生」ってオチじゃ無いよね……。

「じゃあまずは自己紹介からしてもらいましょうか。先生は彼氏居ない暦……って、それ言ったら年齢バレちゃうー」

なるほど、ずっと独身で結婚できてない先生なんだな。

「本気でぶつかって来てくれる子、いつでも待ってるわよー」

ここは小学校6年生の教室何ですけれど……こんな所で彼氏募集宣言ですか。
この先生ちょっとおかしそうだけれど、大丈夫かな……と思いつつ、端の席から順に生徒の自己紹介がスタートした。
自己紹介はどんどん進み、暫くするとあっと言う間に順番が回って来てしまった。

(光、何て言えばいい?)
(うーん、じゃあ私の言う通りでお願いね)

「次は光さん、お願いしますね」
「はい。皆さん、春の風流を感じる満開の桜の中、如何お過ごしでしょうか。落ち込んだりもするけれど、私はこの学校が大好きです」

光さん……何か何処かで似た台詞、聞いた事のある気がするけど気のせい? 

「とりあえず趣味で……ま、まほ……」(ちょ、これ言っちゃっていいの?)
(良いんじゃない?別に輝との事だけ伏せれば、魔法少女の事は問題無いし?)
「ま、魔法使いの職業が選べるオンラインゲームが好きなのです、それはそれはもうゾウさんやキリンさんよりも大好きなのです」
(な、何で言わないのよ……普通に魔法少女始めました、宜しくね♪で済むじゃん……)
(だ、だってよ……普通魔法少女って、正体バラさない物じゃ無いのか?)
(えー、そ、そうなのかなぁ……)

「かわいい子猫ちゃんと一緒に住んでるにゃん、勿論恋人でもありませんし子猫ちゃんはメスだりゅん、私はレズでもありません」
(んー、もうちょっと面白く言っちゃっても良かったのよ?)
(なんつー事言わせるんだよ……)「とりあえず、仲良くしてやってくださいね。宜しくね♪」

「はい、ありがとうございました。子猫ちゃんが恋人でも無くレズでも無い光さんでした。じゃあ次は空明さん、お願いしますね」
(あ、次は空明ちゃんの番なのね)
(彼女とは俺も結構関わり持ちそうだし、良く聞いておくべきかな)

「皆さんおはようございます、空明と言います。趣味は特に無いですが、あたしの趣味は何ですか?」

逆に質問しちゃってるよ……。

「見た目で分かる通り女の子です、これで男の子だったらそれはそれでおかしいですよね」

しかし世の中には見た目は女の子なのに、中身が男って奴も居るんだよなぁ……。

「こんなあたしで良ければ、どうぞ宜しくしてやってください」
「はい、ありがとうございました。見た目通り女の子だった空明さんでした。じゃあ次は明梨さん、お願いしますね」

「初めての人は初めまして、私は明梨と言います。皆からは良く冷静そうって言われるかな?実は趣味は色々とあります」

色々あるんだ、明梨ちゃんの趣味は何だろう?

「でもここでは伏せておきますね。私の趣味を当てたら、景品出しても良いってくらいかもー」

何ですかその展開……;

「とりあえず、私は魔法少女とかそういうファンタジーのような類の物が大嫌いです、理由は語りません」

明梨ちゃんは魔法少女が嫌いなんだ?うーん、何でなんだろう?

「そんな感じでしょうか、宜しくお願いしますね」

「はい、ありがとうございました。趣味を当てたら景品をくれるそうな明梨さんでした。じゃあ次は……」

こんな調子で、その後もクラス全員分の自己紹介が続いて行ったのだ。
それにしても明梨ちゃん、魔法少女は大嫌いって……何か重大な理由でもあるのかな?

「はい、では今日はこれで終了です。明日はまだ授業は無いですが、筆記用具だけは持って来てくださいね。ではさようなら」

今日はまだ新学期初日だし、半日の日程でお昼前には学校が終了した。
放課後となって、光と空明ちゃんと明梨ちゃんが帰る準備をしていると……1人の女の子が私達の方へとやって来た。

「あ、あの……」 
「はい?私に何か用?」

クラスの女の子の1人が、明梨ちゃんに話し掛けて来た。

「私、分かったんです。魔法少女を明梨さんが嫌う理由……ふふふっ、景品は私の物です」
「あー、景品は私の趣味の話よ?魔法少女を嫌う理由が当たっても、景品は無いでーす」
「え、そんなぁ……ま、まあいいです。明梨さん、魔法少女なんて居ないからどうでもいい、とか思ってませんか?」
「魔法少女なんて居る訳無いじゃん?私はね、ただ単にそういうバカバカしい話が嫌いなだけなのよ」

「バ、バカバカしい……ですか」

話し掛けて来た女の子は、明梨ちゃんの言葉にちょっとムッとしたようだ。

「じゃあもし、魔法少女が居たりでもしたらどうします?」
「もしも亀さんも無いのよ、居る訳無いのよ」
「だから、もしもの話ですよ」
「だから居る訳無いんだってば」
「……そうですか、そこまで魔法少女を否定する訳ですね、分かりました」
「否定も何も、居ない者を居ないと言ってるまでよ」

「魔法少女は……ぜ、絶対居るんだから!いーーーっだ!!」

……女の子は、拗ねたままその場を去ってしまった。

「……何?あの子。何でそこまで魔法少女に拘るのよ。空明はどう思う?」
「さあ?魔法少女マニアだったりとか?もしくはあの子自身が、実は魔法少女とか……って、そんな訳無いわよね」
「そうよそうよ、魔法少女なんて居る訳無いのよ。ね?光」

話をこちらへと振られてしまった。

「え?あ、あ……」(ひ、光、何て答えればいい?)
(ご自由にどうぞー)
(む、無責任だなぁ……)「い、居てもおかしく無いかも?だってさ、世の中って不思議な事とかも結構多いじゃん?」
「ふーん、じゃあ光は、魔法少女肯定派なんだ?」
「え、ま、まぁ……そうなのかな?」

「明梨ちゃん、別に人それぞれだから。そんなに僻まなくても良いんじゃない?」
「……私は、魔法少女って嫌いなのよ」

光と空明ちゃんは、何かしらよっぽどの理由でもあるのでは……と察し、それ以上このお話を続けるのは止めておいた。


「ただいまー」

学校初日を終えて光の部屋へ戻った輝は、赤いランドセルを降ろしてベッドの上で寝転がった。

(こら輝、そんな寝転がり方はお行儀悪いでしょ)

光の身体なので今の下半身はスカート、にも関わらず輝は大股を広げて寝転がっていた。

「別に家の中なんだし良いじゃん?」
(もっと女の子らしくしてよね……私の身体なんだからさ。それに気を抜いてると、ボロが出ちゃうよ。本当に)
「そ、そうか……分かったよ」

珍しく妙に優しい口調で光に言われて、輝は素直に言う事を聞いてしまった。

(ボロが出て大変な思いをするのは……輝じゃなくて、わ、私なんだからね!あんたなんかの為じゃ無いんだから!)

や、やっぱりそういう事ですか……。

(で、輝は……今日の明梨ちゃんの事、どう思う?)
「あー、あの魔法少女を嫌ってる事?」
(うん、私自身が魔法少女なのに……もしそれが分かっちゃったら私、明梨ちゃんに嫌われちゃうかな……?)
「うーん、そこまで気にしなくてもいいんじゃない?考え方も好き嫌いも、人それぞれでしょ?」
(で、でもね、明梨ちゃんとはずっと幼なじみで仲良しさんだったから……やっぱり、嫌われちゃうのは寂しいな)

「そうか、じゃあ魔法少女だって、バレなければいいんでしょ?」
(そうね、でも大丈夫かしら?魔力を戻す為にも、魔法を全く使わない訳には行かないのよ)
「でも大きな魔法の場合、変身しないとダメなんだろ?変身すればバレないのでは?」
(うーん、コスチュームがそれっぽく変わって装飾が多少付くくらいだから……バレるかどうかは、実際やってみないと分からない)

「じゃあ試しに、今変身して確認してみるか?」
(え、いいの?輝)
「いや、俺だって魔法少女の恥ずかしい格好なんて嫌だけれど……でも、今は俺が光なんだし仕方無いよ」
(そう……じゃあ、試しに変身してみて)
「うん、ところでさ」
(何?)

「……変身って、どうやるんだ?」
(あれま……し、知らないのね)
「当然だろ……俺、今まで普通の男子高校生だったんだし。魔法少女でも無かったんだ」
(まあ、そうよね。えっとね、変身の仕方はね……私の携帯電話を使うのよ)
「何か、何処かで聞いたようなパターンだな;」
(で、携帯電話の画面に向かって呪文を唱えるの。魔法少女になれたらいいな♪ってね)
「そ、それも何処かで……も、もうツッコむのは止めるか……」
(そうするとあーら不思議。七つ色に輝く宝石の光が全身を包んで、"魔法少女リリカルひかりん"に変身するのよ)

「リリカルひかりん、ですか……」

もうツッコむのは止める事にした輝であった……。

「じゃあとりあえずやってみるか。えーっと、まずは携帯電話を取り出して……って、あれ?」
(ん、どうしたの?輝)
「携帯電話って……今朝、スカートのポケットに入れていたよね」
(うん、そうよね?)
「……落としたみたい」

(えーーーーーっ!?な、何ですってーーーっ!!)

「それは大変だにゃ、携帯電話が無いとリリカルひかりんに変身できないんだにゃん」
(あ、リリ……って、本当に語尾変えたのね;)
「誰かに拾われたら大変だにゃん、光の個人情報が漏れちゃうんだにゃん」
「な、何か現実的だなおい;」
(と、とりあえず探しに行こうよ。輝、急いで!!)
「お、おう!……っと、その前に」
(何?)

「とりあえず、おトイレ」
(……あれま;)


一方その頃、帰り道を歩いていた先程の女の子。

「あれー、何か落ちてるですよー?これ、携帯電話ね?名前は書いて無い……しょうがない、画面開けちゃいましょ」

謎の女の子は、落し物の携帯電話を拾っていた。
そして落とし主を調べる為、画面を開いてみる。

「え、これってもしかして!?な、何かまじかるちぇんじ☆とかそういうメニューが!も、もしや魔法少女さんの落し物!?」

女の子は携帯電話を眺めながら、興奮してしまっていた。

「わーい!おうちに持って帰って早速私が使うんだー♪」

女の子は落し物だった事も忘れて、携帯電話を家に持ち帰ってしまった。
ひとの ものを とったら どろぼう ! 良い子は決してマネしちゃダメよ。


一方その頃の輝達。

(もぅっ!トイレなんて後で良かったじゃなーい)
「し、仕方無いだろ……女の子って、トイレ近いみたいだし。帰り道からずっと我慢してたんだ」
(まあそれはそうだけれど……で、でも一刻を争うのよ!あの携帯電話が無くなったら……私)

光に取っては欠かせない魔法少女としてのアイテム、確かに一刻を争うのかもしれない。

(私の個人情報が漏れちゃうんだから!そしたら変な勧誘電話や、出会い系のメールとかが来るかもしれないじゃない!)
「だ、だから現実的過ぎるだろ……;」
「まあ、実際そんな物だにゃん」
「まあそうだけれどな……」

とりあえず通学路で通って来た道を戻るように、携帯電話の落し物を探して行った。


「きゃうーーーん!なーにこれぇーかーわいー」

携帯をパクって家へ持ち帰った女の子は、悦に浸って携帯を弄っていた。

「何でこんな画像が入ってるのー、魔法少女のお供の精霊ですかー?」

女の子は携帯に保存してあった画像を眺めていた。
何やら画面には子猫のような動物?が写っているみたいだ。

「よーし、明日学校へ持って行って、あの子に自慢しちゃうんだー!そして今日の事、謝らせる!!」


「見つからなかった……」
(もう時間も遅いし……切り上げましょ?)
「いや、でも絶対必要な大事な物だよね?もう少しだけ……」
(ダメよ、今の輝は私自身なんだよ?小学生の女の子が、こんな遅くまで外を1人でうろついていたら……)
「そうか、じゃあ仕方無いよな……」
(うん、仕方無いのよ……R指定になっちゃってもまずいし)
「……何を考えていたんだよ;」

(くどいようだけど、掲載当初はまだ18禁サイドが無かったんだにゃ)

すっかりと日も沈んでしまい、結局携帯電話の落し物は見つからず諦めた輝と光。
家へ戻って来てベッドに寝転がる。

「ん、何か背中の下にあるのかな……?」

背中の下に固い感触を感じた輝、毛布の下を見てみると……。

「あ、携帯あったじゃん」
(え、こんな所に……って事は、輝のせいよー!)
「えー、お、俺のせい!?」
(さっき帰って来て寝転がった時、携帯がきっとスカートのポケットから出て、毛布の下へ入ったのよ!)
「あー、そう言われればそうだったかもしれないな」

(私に心配させておいて……こんなオチだなんて、許さないんだからー!電撃!)
「ぎゃあーーーーま、またかーーーーいっ!!」

「やれやれ、青年も大変だにゃん……そういえば、物を移動する魔法で携帯を移動すれば良かったのでは?」
(あ、その手があったわね。簡単な魔法ならば、変身していなくても使えるものね)
「そ、そういう事は先に言ってくれってば……」

ところで携帯が見つかったならば、あの女の子が拾った携帯は一体……?


次の日、学校の教室。

「じゃーん!見て見てー!私は遂に力を手に入れたのよー!!」
「また来たよこの子」

明梨ちゃんが嫌々そうに言う。

「この携帯電話!魔法少女の必須アイテムなんですよ!」
「は?本当に……」
「そうですよ!この目で良く調べて見てくださいよ!」

そう言って女の子は明梨ちゃんに携帯を渡し、明梨ちゃんは嫌々受け取る。

「……私の事、からかってるの?これ、只のおもちゃじゃん」
「お、おもちゃですって!?か、からかってるのはそっちじゃ無いの!?」
「……後ろのラベル」
「ラベル?えっと……魔法少女変身アクセサリーNo5 販売:株DAMBAI」

「……おもちゃね」

空明ちゃんも釣られて、おもちゃと言い切る。

「な、何とー!?」
「バカバカしいわ、魔法少女なんて居る訳無いのよ。ね?光」
(また話を振られた……)「あ、あぅー……」
「何?やっぱり光は肯定なの?」
「ま、まあ居ないとは言い切れないかな……って」

「そう!魔法少女は絶対居るんですよ!光さんでしたか?私はあかり、宜しくですよ!\アッカリーン/じゃ無いですからね!?」

女の子はあかりと名乗った。
名前の通り、とても性格の明るい女の子なのかな?

「あ、でも別に私、居るとも言って無い」
「居るよね?居 る わ よ ね !?」
「は、はい居ます\アッカリーン/様の仰る通りです」

なんだか威圧感に負けてしまった輝であった……。

「光さんを味方に付ければこっちのものですね!じゃあまた後で来るですよ!ばいばいー!」

アッカリーン……じゃなくて、あかりちゃんは去って行った。

「アッカリーン……もう来なくていいよ……」

明梨ちゃんは疲れたような表情で呟いた。

「でも本当に変な子よね」
「うん、面白いかも」
「ま、まあまた来るんだったら、また相手してあげてもいいかな……」

何だかんだで、3人に新しいお友達が1人増えました。

(あかりちゃんかー、よっぽど魔法少女が大好きみたいね。もしかしてあかりちゃんって)
(どうした?光)
(あ、何でも無いよ)
「そろそろ先生来るし、席戻ろっか」

明梨ちゃんと空明ちゃんと光は、席へ戻って行った。


放課後、3人で帰る準備をしていると、例の如くあかりちゃんが現れた。

「やっほー!約束通り来ましたよー!」
「あーはいはい、私達これから3人で帰るのよ。良かったらご一緒させても宜しくてよ」
「じゃああかりも一緒に帰る!」

何だかんだですっかり、明梨ちゃんとあかりちゃんは仲良しさん(?)になっていた。

「あかりさんは、何で魔法少女に拘るの?」
「あかりね……実は、小さかった頃、魔法少女に助けられた事があるんですよ!」
「へぇー、それ本当?」
「バカバカしい……」

「それであかり、魔法少女目指したいなって思っているんですよ!」
「そうなんだ、なれるといいね♪」
「TVの見過ぎじゃないの……?」

会話に入る隙もない輝。
あかりちゃんは魔法少女の話になると、熱くなってしまうようだ。

「光、光はやっぱり、魔法少女って居ると思ってる?」
「え、まぁ……さっきも言った通り、居ないとは言い切れないかも」
「ですよね!魔法少女は絶対実在するもん!あかり、助けてもらったんですから!」
「はいはい、ゲームの世界だけにしてくださいね」

「んもぅっ!本当に居るんですよ!?」

なんだかあかりちゃんがちょっと可哀想に思えてきた輝。
この場で変身でもして、明梨ちゃんに魔法少女は居ると教えてあげようかと考えていたら。

「実はこの中にも、魔法少女が居たりして」
『ギクッ!!』
「なーんて、そんな訳無いわよね……あれ、光?どうしたの?」
「あ、いえ全然問題無いですはい」
(輝……分かりやす過ぎ)

「もう、バカバカしくて付き合ってられないわ」
「じゃあ……明梨ちゃんは、逆にどうしてそこまで魔法少女を否定するの?」

今度は逆に輝から質問を投げ掛けてみた。

「わ、私は……理由は語らない、って言ったでしょ?」
「うーん……分かった、ごめんね」

「………」

やはり何かしら、深刻な理由があるのかな。
輝は答えまで分からずとも、その事だけは改めて察したのであった。


「ただいまー」
「おかえりだにゃん、光と青年♪」
「その語尾、まだ続ける気なのね……」
「だって私の台詞が分かれば、3人のやり取り中分かりやすいでしょ?」
「まあ、そうだけれどね……」

(リリ、今は私の声聞こえる?)

リリからの反応は無い。

「光が声聞こえてるー?って言ってるよ」
「あ、今はテレパシー状態にして無いから、受信できないのよ」
「あー、そういえば魔力をそれなりに使うから、常にやってるのは無理って言ってたね」
「そうそう、使い続けると魔力の大きな消耗で、以前の光みたいに倒れちゃうんだにゃん」
「ふむふむ。ところで魔力って、どうやればまた増えて行くの?」
「魔法少女の魔力は、時間の経過と共に少しずつ戻って行くにゃん。そしてそれは魔法少女の経験によって、回復量も違うにゃん」
「なるほど。溜まった疲れが取れるけど人によって取れ方が違う、と同じような物なのね」
「分かりやすく言えばそういう事だにゃん。ところで、光は何か話でもあるんじゃ?」

(あ、そうなのよ。実はクラスメートのあかりちゃんって子が、以前魔法少女に助けられたらしいの。私以外にも、魔法少女って居るのかな?)
「と、言う事みたいだよ」
「ふーん、まあ魔法界に行けば私みたいな精霊は沢山居るからね。人間界で他にも魔法少女が居たって、おかしくは無いにゃん」
(なるほど。皆やっぱり私の時みたいに、最初はペットとして一緒に居るのかな?)
「と、光は言っています」

「パターンは色々よ。時には他の魔法少女の協力者としてスカウトされたり、魔法少女から自ら魔法技術を受ける、と言うケースもあるみたいね」
(へぇー、そういう場合もあるんだね)
「もし魔法少女が他にも身近に居るならば、きっといつかしら会う事になるかもしれないにゃん」
(え?そうなの?)
「そうなの?だってさ」
「魔法少女って変身して出て来ると、絶対目立つじゃん?だから自然と遭遇しちゃうんじゃない?って事よ」
(なるほど、そういう事なのね)

光以外にも、もしかしたら魔法少女は居るかもしれない。
その上いずれ遭遇する可能性も十分考えられる、との事だ。


そして更に次の日、新学期3日目の朝。

「あ、おはよ、光」
「おはよー」
「一緒に学校行こ」
「うん」

通学路の途中で明梨ちゃんと出会い、一緒に登校です。

「おはよー光ちゃん、明梨ちゃん」
「おはよ、空明ちゃん」
「おはよー」

途中から空明ちゃんも加わり、3人で学校を目指します。

そして学校へ到着し、教室に着いた早々……。

「3人共来るの遅いですよー。あかり、もう待ちくたびれたわよー!」
「……まだ開始15分前だし、私達を待ち伏せしていたの?」
「待ち伏せなんて人聞きの悪い!1人じゃつまらないのですよ……」

「ふーん、じゃあ仕方無いから、相手してあげるわよ」

2人を見ながら、空明ちゃんと光は苦笑いを浮かべていた。

「あ、そういえばですね光さん。今日は魔法少女が現れるかもしれないのです!」
「え?何で?」
「あかり、今朝夢を見たんですよ。魔法少女が、あかりの忘れた体育着を届けてくれたんです」
「何それ?バカバカしいわね……って、今日ってそういえば身体測定よね?」
「うん、そうよね」
「……体育着忘れちゃった」
「……あらら」

先生が帰りの会で「明日は身体測定なので体育着を忘れずに」と、確かに言っていた。

「夢を見たって言う、肝心のあかりちゃんは?」
「あかりはきちんと持って来ました!」
「……じゃあ、届けてもらう必要無いよね;」
「そうですよねー、あははははー」

うーむ、本当にあかりちゃんって変な子かもしれないな。
でもなんだか、魔法少女を便利屋さんみたいに思っているのかも;

(そういえば、輝はきちんと持って来たの?)
(うん、バッチリ服の下に着ているよ)
(あれ、おかしいな……輝、今朝ブルマなんて穿いていたかしら?)
(え、タンスの中にハーフパンツっぽいのがあったから、それを穿いて来たけれど……)
(じゃあそれって、私の私服よ。この学校の体育着は、半袖とブルマなのよ)
「な、何と!?」

「光、どうしたの?」「光ちゃん、どうしたの?」
「あ、いやいや何でも無いですはい……」

突然の衝撃の事実で、思わず声を張り上げてしまった。
まさかこの学校の女子はブルマだったなんて……TS界のお約束的展開ですか;

(確か当校では、運動時の機能性を高く評価してブルマ採用を続けてるだとか……)
(そ、そうだったのか……)
(更に女は女らしく、恥じらいも身に付けてほしいので、男の視線から耐える事も重要だと)
(……それについては、教員か校長の趣味じゃないのか?;)
(ともかく女の子の魅力を大きく引き出すブルマは、運動時に必要不可欠なんだってさ)
(はぁ……そ、そうなんですか)

(なんだか元気無いのね、ブルマは嫌い?)
(男として見るならばいいさ……で、でも俺が、女の子として穿くとなると……)
(私は元々女の子だから何とも思わないけれど、男の子からすればそういう物なのかな?)
(光は恥ずかしく無いんだ、珍しいね。女の子でも恥ずかしがって嫌がる人、多いみたいだけれど)
(だ、だって見られるのを気にしてたって、穿かなくちゃなんだし仕方無いでしょ!)

光って……つ、強い子なんだな;

「……光ちゃん?」
「あ、何?空明ちゃん」
「何か考え事?さっきから、ずっと黙ってるからさ」
「あ、大丈夫だよごめん」
「うん、別にいいのよ」

「あれ、明梨ちゃんは?」

いつの間にか、明梨ちゃんが居なくなっていた。

「明梨ちゃんならば、保健室へ体育着を借りに行ったわよ」
「あ、そうだったんだ。じゃあそれならば私も……」
「え?光さんも体育着忘れたですか?」
「う、うん。ちょっと手違いでね……」

(じゃあ魔法を使って移動すればいいじゃん?)
「あ、そうだよね」
「何がそうなの?」
「あ、いえいえこっちの話です」
「んんっ?おかしな光ちゃん」

また空明ちゃんに軽く笑われてしまった。
実際周りから見れば3人しか居ないのに、脳内に居る4人目と会話をしている状況。
おかしく見えるのは、まあ仕方無いのだろうけれど。

(でも魔法って、こんなにも私利私欲の為に使ってもいいの?人を助ける為に使うんじゃないの?)
(もーぅ!人聞き悪いなぁ。私利はあっても私欲はある?それに自分の為にも使えるのは、魔法少女の特権なのよ)
(特権ねぇ、ちなみに自分の事に使う場合でも、魔力は消費するの?)
(勿論、当然よ♪)

「駄目じゃん!!」
「何がダメなの?」
「あ、何でも無いです至って問題無しです」

ついつい大きな声で、ツッコミを入れてしまった。

(だって魔力を溜めるのに、こんなくだらない事で減らしちゃうなんて……)
(く、くだらないって何よ……わ、私の為なんだから!)
(元々今朝着替える時、光がまだ寝ぼけてたから普通にハーパン穿いても、ツッコまなかったのが悪いんだよ)
(わ、私のせいにするって言うの?一体誰のおかげで魔法少女ができると思って!?神聖なブルマが穿けると思って!?)
(やりたくてやってる訳じゃ無いし、ブルマなんて好きで穿く訳でも無い。男だし、見る側で十分)
(なっ、ブルマの素晴らしさが分からないの!?あの機能性!あのフィット感!そしてあのエロさ!ブルマのおしり撫で撫でなんて、それはもうさいk)
(あ、あんまり調子乗るとR指定入っちゃうから……なっ?)
(うぐっ……し、仕方無いわね……)

(仕方無いから今日は明梨ちゃんみたいに、保健室へ借りに行った方が無難では?)
(だ、大丈夫よ。魔法で出しちゃって?)
(だって魔力減っちゃうんだろ……)
(平気よ。変身しなくてもできる程度の魔法、数値にして5程度しか減らないわ)
(5円玉使うみたいな物か……じゃあ大丈夫なのかな)
(うん、大丈夫よ。それで無ければ私だって、そんなにちょくちょく魔法使えないもの)
(そうか……じゃあここは……)


 →・光を信じる
  ・やっぱり借りに行く


うん、光を信じて魔法で出す事にしよう。
それにしても何か今、ルート分岐みたいな物が見えたのは気のせい……?

(うん、きっと気のせいだよ、お兄ちゃん♪)
(……前回の設定?;)
(まあふざけるのはこのくらいにしておいて……空明ちゃん達に不思議に思われちゃうと面倒だから、魔法は別の場所で使うのが良いかもね)
(そうだな、トイレとかで良いんじゃないかな?)
(そうね、トイレの個室内ならば恐らく大丈夫でしょうね)

「私、ちょっとお手洗いに行って来るね」
「うん、行ってらっしゃーい」
「あ、ならあかりもご一緒したいです!」
「あ、ごめん……1人で行って来ていいかな?」
「えー、何でですかー?……怪しいですねー」
「別に怪しくなんか無いよ……だって一緒に行って、時間掛かっちゃうと悪いでしょ?」
「まるであかりを着いて来させたくないような言い方ですね……光さん、もしかして!?」

(ま、まさかバレたんじゃ!?)

「お通じの調子が、あまり良く無いんですか?」
「え?あ、あははははー……そ、そんな所よ」
(こら、輝!それじゃあ私がまるで、便秘女みたいじゃないの!;)
(で、でも他に言い訳あるかよ!?)
(うぐっ……)

「光ちゃん……頑張ってね」
「無理しないでくださいね、まだチャイムまで時間はありますから、どうぞごゆっくりと!」
「あ、ありがとう……はぁ」

何か良く分からないけれど、2人に同情されてしまったようだ……。


(よし、ここでならば大丈夫ね)

トイレの個室内へやって来た光。
2人にお通じが悪い、と勘違いされたままなのもなんだか嫌なので、ぱっぱと手短に済ませて早く教室へ戻ろう……。

「えーと、半袖は今制服の下に着ているから、ブルマだけをイメージすればいいんだな」
(そうね、ブルマを強く頭の中でイメージするのよ)
「うん、やってみる」(そういえば空明ちゃん、お通じの件やっぱり誤解しちゃってるかな……)

頭の中でそんな事を考えつつ、ブルマをイメージしてみた。

「えいっ!」

掛け声の直後、光の手元には1枚のブルマが何処からともなく現れた。

(成功したのね!)
「みたいだな、良かった良かった」
(じゃあついでだから、ここで穿いちゃおっか)
「うっ……や、やっぱり穿かないと、ダメ?」
(そりゃ勿論、これから使うんだから穿かないとダメでしょ)
「やっぱり男の心のまま穿くのは、どうしても抵抗がある……」

(じゃあ女の子の心になってみる?)
「え、そんな事できるの?」
(魔法少女舐めないでよ?べ、別にあんたの為じゃなくて、あたしがドジしないように見せる為なんだから……!)
「でもさ、そういう事できるならば、最初からそうしてれば良かったんじゃない?そうすれば俺も、ボロ出さずに済むし」
(心を書き換えるって高度な魔法なのよ?長時間続けるなんて無理よ)
「なるほどな……じゃあ、ブルマを穿く身体測定の時間だけならば平気なのかな」
(そうね、まあ否応無しにブルマは今穿いてもらうけど。早く戻らないと、お通じが悪いって思われちゃうでしょ!?)
「あ、ああ……そうだな」

ブルマを手に持ったまま教室に戻ると言うのも、変な風に見えるかもだしな……。

「で、でもやっぱり心の準備って物が」
(輝ー、電撃……撃ってもいいかな?)
「すみませんでした光さん今すぐ穿かせて頂きます」

もやもやした気持ちをぐっと抑えて、スパッツを脱ぎ、ブルマに両足を通して一気に穿き上げた。

「何だこのフィット感は……」

光の身体になってしまってからは、女児ショーツの感覚には既に慣れていた。
しかしブルマはまたそれとは違った、未知の感覚……心地良く温かいフィット感。

「これが、ブルマの感覚なんだな……」
(何悦に浸ってるのよ、端から見たら私が変態みたいじゃない……早くスパッツ穿いて戻るわよ!)
「あ、そ、そうだな」

そそくさとスパッツを穿き直し、トイレの個室を後にして光は教室へ戻って行った。


「あれー?おかしいなぁ」
「空明ちゃん、どうしたの?」

そして迎えた身体測定の時間、ちょっとした事件が起きたのだ……。

「ロッカーにしまっておいた筈なのに、あたしのブルマが見当たらないの……」
「え!?空明さんのブルマが無くなったですか!?これはもしかして、魔法少女が届けてくれるフラグ!?」
「はいはい、そんなありえない事は置いといて……奥とか良く見たの?」
「うん、きちんと全部確認したけれど、やっぱり無い」
「うーん、となると考えられる可能性って……」
「実はあたしが忘れてただけで、本当に魔法少女さんが届けてくれるのかなぁ?」
「きっとそうですよ!魔法少女さんが届けてくれるんです!」

うーん、ここはツッコむべきなのだろうか……。

「いや、普通に考えて盗まれたのでは……」
「そうよね、絶対に間違い無くしまったのならば、それしか考えられないわ」
「え、盗まれたの……?何であたしのブルマなんて、盗むんだろう……」

「さ、さぁー……?」

空明ちゃんはどうやら、そういう危ない方面には疎い感じなのかな。
ここははぐらかすような対応の方が良さそうだ。

「ロッカーにしまったのは、絶対に間違い無いのね?」
「うん、朝の時点で、光ちゃんがトイレに行った時くらいかな?ランドセルから出してしまったのよ」
「はいはい!あかり、間違い無くしまったの見てました!」

どうやらしまったのは間違い無いらしい。
となると、やっぱり盗まれたとしか考えられないよね……空明ちゃんを狙う男子の仕業?

(でもなんだか妙ね……)
(妙って何が?)
(空明ちゃんは朝にしまったのよね、それから私達がトイレへ行ってる間、ずっとクラスに居たとするよ)
(うん、それで?)
(身体測定までの時間、教室から離れた時ってあったかな?)
(あ……無いよね、じゃあ誰かがロッカーを弄ってたならば、絶対に気付く筈)
(そうそう、それを言いたかったのよ)
(もしそれが間違い無いとしたら、誰も弄って無い筈のロッカーから物を消せるのって……)

「じゃあ盗まれたのかもしれないね?もう測定始まっちゃうし、とりあえず今回は保健室行って借りてこよ?」
「それが良いですよ!犯人と盗まれたブルマを探すのは、とりあえず後です!」
「う、うんー……」

空明ちゃんは、なんだか納得行かなさそうな様子だ。
自分のブルマが盗まれて、色々と不安な気持ちになってしまっているようだ。

「空明ちゃん、元気出して?きっと大丈夫だよ。まだ盗まれたって決まった訳じゃ無いし」

気付けば、」思わず空明ちゃんを励まそうとしていた。
何だろう、空明ちゃんの不安そうな顔を見ていたら、なんだか放っておけなくて……。

「……うん。ありがとう、光ちゃん」
「ですよねー!盗まれたと決まってはいませんよね!」
「さっきは犯人探しとか言ってたくせに、あかりは調子いいんだから……」
「良いじゃないですか!きっと魔法少女が後で、こっそり見つけてくれるんですよ!」
「はいはい、魔法少女がねー……バカバカしい」

(輝って優しいんだね……)
(いや、ただ単に空明ちゃんを見てたら、なんだか放っておけなくてさ)
(どうにかして私達で、空明ちゃんのブルマを見つけ出せないかな?)
(うーん、でももう身体測定始まっちゃうよ?学校が終わってからじゃないと)
(まあそうよね。じゃあ学校が終わったら、魔法で探してみよ?)

空明ちゃんのブルマは行方不明のまま、結局そのまま身体測定の時間を迎えてしまった。


学校3日目との事もあり、まだ授業が本格的に始まっていないので、お昼頃には放課後となった。

「さあ魔法少女にお願いして、空明さんのブルマを探しますよ!」
「はいはいもう分かったから。で、どうやってお願いするって言うのよ?」
「魔法少女さんお願いします、空明さんのブルマを探してください!!」

あかりちゃんの元気な声が、教室内へと響く。

「あかりさん、は、恥ずかしいからいいわよ……」
「うぐぅ……」
「まったくもう、この子ったら」

「皆、もういいよ。なんだかあたしのせいでごめんね、帰ろっか」

空明ちゃん、なんだかまた不安そうな顔をしている。
自分が原因で、皆に迷惑を掛けちゃっているのが嫌なのかな。

「空明ちゃんのせいじゃ無いよ。しまったのが間違い無いならば、不可抗力じゃないかな?」
「そうですよ!空明さんは悪くありません!」
「そうよね、空明ちゃんが謝る必要なんて無いんだから」
「皆、ありがとう……」

(空明ちゃん、なんだか可哀想……どうにかしてあげたいね)
(……そうだな)

帰り道、いつもの4人組で下校して行く。

「それにしても、本当に何処行っちゃったんだろう?」
「明日になれば、ロッカーに戻ってたりして」
「それもそれでなんだか怖いかな……」
「大丈夫ですよ!魔法少女さんが探してくれたと思えば」
「分かった分かった、もういいわよ」

帰り道でも結局、空明ちゃんの無くなったブルマの話で持ち切りだった。


「ただいまー」

家に帰って光の部屋へ戻り、赤いランドセルを床に降ろす。

「おかえりだにゃん」
「やっぱりその語尾、変えないつもりなのね……」
「見た目は普通に猫なんだし、いいでしょ?」
(とりあえず、まずは制服を着替えましょ)
「うん、そうだね」

学校の制服から私服に着替えようと、タンスの引き出しを開ける。

(あれ……?)
「ん、どうしたの?」
(私のブルマ……きちんと3枚ある)

開けたタンスの中には、しまってあった3枚のブルマが目に付いた。

「それがどうかした?」
(私、ブルマ3着しか持ってない。今日トイレでブルマ、移動した筈だよね?)
「あ……おかしいよね、それならば2着の筈」
(と言う事は今、私が穿いているブルマって……一体誰の?)
「ま、まさか」

光と輝は何かを察したようで、慌ててスパッツを脱ぎ、穿いているブルマも脱いでみる。
内ポケットの所にある名前欄を確認してみると……。

(これ、どうみても空明ちゃんのブルマだよね……)
「な、名前に空明って書いてあるものな……」
(と言う事は……わ、私達が犯人だったの!?な、何でー!?)
「ひ、光、とりあえずまずは落ち着こう……リリに訊いてみようよ」
(う、うん……)

「と、言う訳なんだ」

リリに事の経緯を説明してみた。

「簡単だにゃ。ただ単に、魔法が失敗したんだにゃ」
(え、失敗だったの……?)
「ブルマが出て来たからてっきり成功かと思ったけど、名前の確認まではしないで穿いちゃったものね」
「恐らくブルマをイメージする時、空明ちゃんの事を考えてたんじゃないかにゃ?」
「うーん、そ、そういえば……そんな気がしてきた」

あかりちゃんの一言でお通じが悪い、と勘違いされてしまった光ちゃん。
ブルマをイメージする時、空明ちゃんは誤解してるかな……って、確かに考えてた。

(はぁ、輝のせいなのね……)
「ま、まさかちょっと空明ちゃんの事を考えてただけで、こんな事になるとは」
(まあ過ぎた事は仕方無いわね。いい?輝。イメージするのは、集中力が大事なのよ)
「そうだにゃ。違う事を考えちゃうと、イメージがそれと結び付いちゃうんだにゃ」
「それでブルマと空明ちゃんが結び付いちゃって、空明ちゃんのブルマが出て来たのか……」

どうやら輝が余計な事を考えてしまったせいで、誤って空明ちゃんのブルマを出してしまったとの事。

(どうしよう、空明ちゃんに届けるしか無いよね……)
「うん、魔法でどうにか戻せないの?」
「まだ光の魔力じゃ、手元に移動させる事くらいしか無理だにゃ。他の場所へ移動させるには、魔力が足りないにゃ」
(じゃあ直接、空明ちゃんに手渡して戻すしか無いのかな……)
「明日の朝早めに学校行って、こっそりロッカーに戻すのは?」
(帰り道で明日の朝も皆と一緒に行こう、って約束したわよね……)
「うーん……そうだなぁ」

「じゃあ変身して、直接返しに行けばいいにゃん」
「ふむふむ、変身して返しに行くのか……って、バレないかなそれ……」
(うーん、どうだろう……いくら手違いとは言え、私達が犯人ってバレるのは気まずいものね)
「魔法の事の説明だって色々と面倒だろうし、まあ一か八かやってみる?」
(う、うんー……)

そんなこんなで魔法少女になって、空明ちゃんの家までブルマを届けに行く事になったのだ。


午後3時頃、洗濯機で洗ったブルマを脱水して、急ぎ足で念入りに乾燥させた。
光の携帯電話を手に持ち、画面に向かって変身の準備を整える。

(じゃあ変身するわよ)
「えーと、変身の呪文は……魔法少女になれたらいいな♪」
『ピカーッ!』

「うぉ、眩しっ!」

呪文を唱えると、眩しい光が辺り一面に溢れ出した。
携帯電話の画面には七つ色に輝く宝石が映し出され、その宝石が光を発しているようだ。
たちまち宝石の光は光の身体を包み込み、魔法少女へのフォルムチェンジを始めた。

「魔法少女、リリカルひかりん参上よ♪って、この台詞恥ずかしいなぁーおい;」

右手には何処からとも無く現れた、いかにも魔法少女らしいかわいいステッキ、左手はピースをしておでこの前で決めポーズ。

「魔法少女の登場決めポーズはお約束だにゃ。変身とセットで、デフォルト完備になってるんだにゃん」
(と言う訳みたいね、まあ私の代わりに頑張って……)
「変身の度に毎回これなのかい……」
(とりあえず姿を確認してみましょ、私も変身は今回が初めてなのよ)
「お、おう……」

姿見の前へ立ってみて、変身後の姿を初めて目の当たりにする。

(か、かわいい……)
「マ、マジでこれが俺……?」
「まあ光の身体だにゃん、かわいくて当然だねん」

頭には大きなねこみみカチューシャと赤い装飾リボン、服はメイド服みたいな物をピンク色にしたようなもこもこ仕様。
スカートはひらひらでこれはかわいい、としか言い様がない……。
このかわいい子が今は俺の意識で動かせる、と言うのが未だに信じがたい。

「あ、ちょっと気になったんだけど」
(何?)
「スカート、捲ってみても良い?」
(……な、何でよ!?)
「いやー、魔法少女のスカートの中って、どうなってるのか気になって」
(も、もうエッチね!中身は何故か知らないけど、スクール水着らしいわよ!?)
「何かスク水な魔法少女って、何処かで聞いた事あるような……」
「気にしたら負けだにゃん」

(万が一事故で服が破けたりしても平気なように、特殊なコーティングが施されたスク水で身体を守ってくれるそうよ)
「ふむふむ、じゃあただ単に変身って、スク水の上に魔法少女用の服と装飾が現れるだけなのか」
(そういう仕様なのかなぁ)

「ちなみに元の服って、何処に行ったのかな」
「元の服はそのステッキに格納されてるにゃん。ステッキを無くしたら、変身が解けた時素っ裸になっちゃうにゃん」
(素っ裸……輝!絶対そのステッキ、無くしちゃダメよ!?)
「はいはい、大丈夫だよ。俺だって今は身体を共有してるんだし、そんな恥ずかしい思いはごめんだ……」

(じゃあ空明ちゃんの家へ向かおうか)
「あ、せっかく変身したんだから、空を飛んで行くといいにゃん」
「おお、いかにも魔法少女っぽいな」
(ステッキに跨って、飛ぶイメージをすればそのまま空中に浮いてくれるみたいね)
「じゃあせっかくだし、空から空明ちゃんの家へ向かおうか」

洗っておいたブルマを小さなポーチにしまい、肩に掛ける。
そのまま窓を開けて、ステッキに跨り家を飛び出した。


「また魔法少女の本買っちゃった♪\アッカリーン/」

どうやら本屋の帰りらしい1人の少女、魔法少女マニアのあかりちゃんだ。

「私って本当に魔法少女大好きですよね、やはり昔助けられたからなのかなー」

そんな事を言いながら、ふと空の遠くの方を何となく見上げてみる。

「……あれ?何か飛んでるですよ!?あれは人みたいにも見えるけど……もしや魔法少女!?」

偶然空を飛んでいた魔法少。あかりちゃんは慌てて、魔法少女の向かう方へ足を速めて走り出した。

「すっごーい!やっぱり魔法少女って本当に居るんだー!」


(風が気持ち良いわねー)
「だなー、魔力でどうにかなってるからなのか、意外と普通に飛べちゃうんだね」
(うん、まあ魔法少女だものねー)
「ところで、さっきから1つ気になってるんだけどさ」
(うん、なあに?)
「……これ、地上から見たら凄い目立たない?」
(ま、まあね……でも良いんじゃない?魔法少女なんだし)
「はぁ、そんな物なのかな。スカートの中も見られちゃいそうだけど」
(い、いいのよ!そういう為のスク水だもの!?)
「はぁ、そうなんですか……」
(とりあえず、このまま空明ちゃんの家を目指そうー!)

『ピンポーン』

空明ちゃんの家に到着して、玄関のチャイムを鳴らした。
さすがにこのまま窓から入る訳にも行かないし、魔法少女とは言えども人様の家への訪問は普通通りだ。

「はあい、どちら様ですかー?」

空明ちゃんの声がする、その直後空明ちゃんが玄関のドアから出て来た。

「あ、どうもすみません。通り掛かりの魔法少女ですー……」
「……あ、えーっと、光ちゃん?」
「あ、あぅ……ま、魔法少女なんですー;」
(そ、即効でバレたんだけど……)

「えーっと、魔法少女さんなのね?」
「あ、そ、そうなんですー。魔法少女ですー」
「あたしに何か用ですかー?」
「あの、実は無くしたって言ってたブルマを見つけたので、届けに来ました……」
「え、えっ!?あかりさんの言ってた事が本当に……!」

ポーチからブルマを取り出し、空明ちゃんに手渡した。

「ありがとう、光ちゃん!……じゃなくて、魔法少女さん!」
「あははははー……」

なんだか苦笑いするしかできなかった……。

「えーっと、せっかくだから上がって行く?」
(この格好のまま長居するのもなんだかね……)
「あ、今日はもう帰るからごめん、また今度ね」
「う、うんー。じゃあ光ちゃん、また明日学校でね!……あ、魔法少女さんだったね」
「うん、ま、また明日ー……あはは……」

用件を終えると、そそくさとステッキに跨り飛び立った。

「わぁー凄い、本当に飛んでる……光ちゃん凄いなー」

空明ちゃんには、すっかりとバレてしまっているようだ。
まあ輝達がブルマ事件の犯人だ、とは思って無いみたいだしいいかな……。

(ふぅ、空明ちゃんには即バレだったけど……大丈夫なのかな色々と)
「まあバレたって、特に不都合が無ければ良いんじゃない?」
(うん、まあそうかな)

輝ことひかりんは、このまま光ちゃんの家へ飛び立って行った。


『ピンポーン』
「あら、またお客さん?どなたですかー」

再び空明ちゃんの家のチャイムが鳴り渡る。

「あ、空明さん!ここ空明さんの家だったのですねね!?」
「あ、そうだけどー、あたしに何か用なのかな?」
「今、この家から魔法少女らしき子が飛んで行ったみたいですけど、心当たりあるですか!?」
「えーと、うーんと……」(光ちゃん、何故か隠そうとしてたみたいよねぇ……)

「見てないですか?」
「光ちゃんなら、さっきうちに来たよー」
「え、光さんが?」
「うんー、他には特に誰も来て無いし、あたしはステッキに跨って飛んで行く魔法少女なんて見て無いよー」
「そうですかー……残念」

あかりちゃん……色々と気付いて無いみたい;

「じゃああかりはまた捜そうかな、まだそこら辺に居るかもしれないですし……空明さん、じゃあね!」
「お気を付けてー」

あかりちゃんは空明ちゃんの家を後にして、再び駆け出した。


「元の姿に戻れたらいいな♪」

呪文を唱えると光の身体を激しい光が包み込み、ステッキが消えて元の服装へ戻って行った。

「ふぅー、何とか届けられて良かった」

家に着いてようやく一安心な輝と光ちゃん。
空明ちゃんには輝達が犯人だとバレて無いみたいだし、一件落着かな。

(でも明日から、空明ちゃんと学校でどう接すれば良いだろう?)
「うん、まあなるようになるしか……でも光って最初は自己紹介の時、皆に魔法少女の事、言うつもりだったんでしょ?」
(そうだったよ、でも明梨ちゃんの件もあるし、今となっては……)
「そうか、空明ちゃんにバレたなら、明梨ちゃんにも知られちゃうかもね」
(そうしたらきっと、明梨ちゃん……私の事、嫌いになるかも)
「うーん、そうだなぁ……。まあ空明ちゃんにバレた件は、明日学校で様子を見よう」

空明ちゃんは光ちゃんが魔法少女だと言う事を、どう思っているのだろう?




 ※容量制限規制が掛かるようで全文投稿できません
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  • 最終更新:2018-02-10 12:08:58

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